電子工学

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子工学
科目番号 74103 科目区分 専門 / 選択必修5
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電気・電子システム工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「電子物性の基礎とその応用」,下村武 著(コロナ社),ISBN978-4-339-00468-7
担当教員 杉浦 藤虎

到達目標

(ア)原子,電子についての基礎的な性質を理解し,説明できる。 (d)
(イ)原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる。 (d)
(ウ)固体の構造を理解し,エネルギバンド図から金属,半導体,絶縁体の違いを説明できる。 (d)
(エ)金属や半導体の電気的性質を説明し,移動度や導電率などを計算できる。 (d)
(オ)光や電子物性に関する基礎的な問題を計算できる。 (d)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目(ア)原子,電子についての性質を理解し,応用問題を解くことができる原子,電子についての初歩的性質を理解し,基礎的な問題を解くことができる原子,電子についての初歩的性質を理解し,基礎的な問題を解くことができない
評価項目(イ)原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる原子構造や電子のエネルギ状態などを説明できる原子構造や電子のエネルギ状態などを説明できない
評価項目(ウ)固体の構造を理解し,金属,半導体,絶縁体の違いをエネルギバンド図,電気的性質から説明できる金属,半導体,絶縁体の違いをエネルギバンド図から説明できる金属,半導体,絶縁体の違いをエネルギバンド図から説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-3 エレクトロニクスに関する知識,特にICを構成している電子素子の動作原理を理解し,それを応用した電子デバイスの利用技術や計測技術を身につけている.
JABEE d 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
本校教育目標 ① ものづくり能力

教育方法等

概要:
我々の身の回りはたくさんの電子製品であふれている。電子製品の中枢として利用されている電子素子の特性や機能を知る上で電子の基礎物性を理解することは極めて重要である。本講義では電子の性質などの初歩的な話からはじめ,原子構造,固体構造,固体中の電子の振舞いへと進捗し,物質の電子物性に起因した巨視的(マクロ)な物理現象が微視的(ミクロ)な電子の振舞いからどのように解明されているのかを理解する。
授業の進め方・方法:
一つの単元終了後は,演習問題を通じて諸現象の理解を深め,応用力を養成する。
注意点:
授業内容は講義の進み具合により,多少追加、変更することがある。(自学自習内容)授業内容に該当する項目について必ず復習し,学習内容の理解を深めること。また与えられた自習課題は確実に解いておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子物性とは:固体中のミクロな物理現象と電子素子のマクロな物理現象の関わり,電子とその性質,電荷量と質量 原子,電子についての基礎的な性質を理解し,説明できる
2週 物性論の基礎:エネルギの表現,エレクトロンボルト,光と電子の二重性(粒子性と波動性) 原子,電子についての基礎的な性質を理解し,説明できる
3週 原子の構造(1):水素原子モデルにおける電子軌道とエネルギ 原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる
4週 原子の構造(1):水素原子モデルにおける電子軌道とエネルギ 原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる
5週 原子の構造(2):ゾンマーフェルトモデルと量子条件,パウリの排他律 原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる
6週 原子の構造(2):ゾンマーフェルトモデルと量子条件,パウリの排他律 原子構造,電子配置,電子のエネルギ状態や排他律などを説明できる
7週 固体の構造(1):結晶構造とその結合力,X線回折とブラッグの反射条件 固体の構造を理解し,説明できる
8週 固体の構造(1):結晶構造とその結合力,X線回折とブラッグの反射条件 固体の構造を理解し,説明できる
2ndQ
9週 固体の構造(2):固体中の電子の振舞い,エネルギバンドの形成 固体の構造を理解し,エネルギバンド図から金属,半導体,絶縁体の違いを説明できる
10週 固体の構造(2):固体中の電子の振舞い,エネルギバンドの形成 固体の構造を理解し,エネルギバンド図から金属,半導体,絶縁体の違いを説明できる
11週 固体の構造(3):エネルギバンド図から見た金属,半導体,絶縁体の違い,フェルミ準位とは 固体の構造を理解し,エネルギバンド図から金属,半導体,絶縁体の違いを説明できる
12週 固体の構造(3):エネルギバンド図から見た金属,半導体,絶縁体の違い,フェルミ準位とは 固体の構造を理解し,エネルギバンド図から金属,半導体,絶縁体の違いを説明できる
13週 金属と半導体の性質:導電率,移動度,電子の平均自由行程,散乱の緩和時間 金属や半導体の電気的性質を説明し,移動度や導電率などを計算できる
14週 金属と半導体の性質:導電率,移動度,電子の平均自由行程,散乱の緩和時間 金属や半導体の電気的性質を説明し,移動度や導電率などを計算できる
15週 総まとめ 光や電子物性に関する基礎的な問題を解くことができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3前11
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3前3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3前13
化学(一般)化学(一般)原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前5,前6
価電子の働きについて説明できる。3前5,前6
原子のイオン化について説明できる。3前4
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前6
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前6
イオン結合について説明できる。3前7
共有結合について説明できる。3前7
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3前7,前8
金属の性質を説明できる。3前11
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前1
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3前2
原子の構造を説明できる。3前3,前4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前5
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前9,前10,前11,前12
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前13
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3前14

評価割合

中間試験定期試験合計
総合評価割合4060100
専門的能力4060100