半導体工学

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 半導体工学
科目番号 75145 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気・電子システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「基礎から学ぶ半導体電子デバイス」,大谷直毅 著(森北出版),ISBN978-4-627-77621-0/自作プリント
担当教員 杉浦 藤虎

到達目標

(ア)波の概念と特性を理解し,簡単な波動方程式を解くことができる。 (d)
(イ)固体中での,電子の統計的分布,エネルギバンドの形成などを認識できる。 (d)
(ウ)半導体pn接合や各種トランジスタの構造,動作原理を理解し,説明できる。 (d)
(エ)金属半導体接触について理解し,その特性を説明できる。 (d))
(オ)半導体物性に関する基本問題を計算できる。 (d)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目(ア)シュレディンガー方程式を用いて固体中の電子の統計的分布,エネルギバンドの形成などを理解し,簡単な波動関数を導出できる固体のエネルギバンド図と簡単な波動関数を導出できる固体のエネルギバンド図と簡単な波動関数を導出できない
評価項目(イ)半導体pn接合や半導体接触,それを用いた各種デバイスの特性,動作原理を理解し,説明できる半導体pn接合や半導体接触の特性,動作原理を説明できる半導体pn接合や半導体接触の特性,動作原理を説明できない
評価項目(ウ)半導体物性に関する応用問題を解くことができる半導体物性に関する基礎的な問題を解くことができる半導体物性に関する基礎的な題を解くことができない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-3 エレクトロニクスに関する知識,特にICを構成している電子素子の動作原理を理解し,それを応用した電子デバイスの利用技術や計測技術を身につけている.
JABEE d 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
本校教育目標 ① ものづくり能力

教育方法等

概要:
半導体は現在,あらゆるエレクトロニクスを支える重要な役割を担っている。半導体を理解することは電気・電子工学を学ぶ上で避けて通れない必須である。まず,電子の持つ二面性(粒子性と波動性)を理解するため,量子力学の初歩を解説する。次いで固体論の骨格を構成するバンド理論や半導体のいろいろな性質を定量的な取り扱いを通して理解を深める。また,電子および半導体の特性を積極的に活用して人類に恩恵をもたらしている代表デバイスの動作原理とその特徴,応用について概説する。
授業の進め方・方法:
一つの単元が終了するごとに確認のための演習を配布し,理解の補助とする。半導体・素子の基本原理・特性,および実際の応用例について解説する。
注意点:
本科「電子工学」の科目の内容をを習得しているものとして講義を進める。(自学自習内容)授業内容に該当する項目について必ず復習し,学習内容の理解を深めること。また与えられた自習課題は確実に解いておくこと。

選択必修の種別・旧カリ科目名

選択必修5

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 波の表現と運動 :波の概念とその表示,Newton方捏式からSchroedinger方程式へ 波の概念と特性を理解し,波動関数を立式できる
2週 量子論の基礎:波の特性と波動方程式,量子化と状態密度
(復習:波の方程式の演習と理解)
波の概念と特性を理解し,簡単な波動方程式を解くことができる
3週 量子論の基礎:波の特性と波動方程式,量子化と状態密度
(復習:群速度と位相速度,ドブロイ波長に関する課題と理解)
波の概念と特性を理解し,簡単な波動方程式を解くことができる
4週 固体のバンド理論:固体のエネルギバンド構造と波動方程式によるバンド理論の導出(復習:エネルギバンド理論) 固体中で,電子がエネルギバンドを形成することを認識できる
5週 固体のバンド理論:固体のエネルギバンド構造と波動方程式によるバンド理論の導出(復習:電子波の透過と反射に関する演習と理解) 固体中で,電子がエネルギバンドを形成することを認識できる
6週 半導体の基礎物性:半導体のエネルギ準位(復習:エネルギバンド理論) 半導体のエネルギ準位を理解できる
7週 半導体の基礎物性:半導体のエネルギ準位(復習:群速度と有効質量,バンドギャップに関する演習と理解) 半導体のエネルギ準位を理解できる
8週 半導体の電導機構:半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位
(復習:キャリア濃度の求め方とガンマ積分)
半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位を導出できる
2ndQ
9週 半導体の電導機構:半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位
(復習:キャリア濃度とフェルミ準位に関する演習と理解)
半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位を導出できる
10週 半導体の電導機構:半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位
(復習:キャリア濃度の温度依存性)
半導体中のキャリア濃度とフェルミ準位に関する問題を解くことができる
11週 半導体のpn接合 :整流作用,pn接合中のキャリアの振る舞いと接合容量,降伏現象(復習:pn接合の性質) pn接合の構造,動作原理を理解し,説明できる
12週 半導体のpn接合 :整流作用,pn接合中のキャリアの振る舞いと接合容量,降伏現象(復習:pn接合容量の演習と理解) pn接合の構造,動作原理を理解し,特性を説明できる
13週 金属-半導体接触:オーミック接触とショットキー接触(復習:金属と半導体接触)
金属半導体接触について理解し,その特性を説明できる
14週 各種トランジスタの動作原理とその特性,およびまとめ(復習:各種トランジスタの特性の理解) 各種トランジスタの構造,動作原理を理解し,説明できる
15週 総まとめ 半導体および素子の特性と原理を理解し,説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

中間試験定期試験合計
総合評価割合4060100
専門的能力4060100