社会科学特論Ⅱ

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 社会科学特論Ⅱ
科目番号 05208 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 特に指定しない。適宜レジュメを配布する。/全体に関わる参考書籍として『ここから始める政治理論』田村哲樹ほか(有斐閣)ISBN 978-4-641-15042-3 『政治学』田村哲樹ほか(勁草書房)ISBN 978-4326302833を挙げる他、講義中に適宜紹介する場合がある。
担当教員 松山 聡史

到達目標

(ア)政治学の基本的概念について理解できる。
(イ)現実の(特に日本の)政治の仕組みについて、その構造と実態を把握することができる。
(ウ)現実の政治の仕組みを自分なりに擁護できる。もしくは、現実とは別の「ありうる別の可能性」を構想することができる。
(エ)上記三点について、表面的なレベルだけでなく、その原理のレベルから理解し、論じることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目(ア)政治学の基本的概念の原理について、説明できる。政治学の基本的概念について、表面的なレベルで理解している。政治学の基本的概念について理解できていない。
評価項目(イ)現実の政治の仕組みについて、原理的に説明できる。現実の政治の仕組みについて、表面的なレベルで理解している。現実の政治の仕組みについて理解できていない。
評価項目(ウ)自らの原理的な理解を用いて、現実の政治の仕組みを自分なりに説明できる。または別の可能性を構想することができる。自らの理解を用いて、現実の政治の仕組みを自分なりに理解できる。または別の可能性を理解することができる。自らの思考を用いて、現実の政治の仕組みを自分なりに理解することも、別の可能性を構想することもできない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C2 世界の文化・歴史を理解し,人間に対する配慮を怠らない.
JABEE a 地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
JABEE b 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対して負っている責任
本校教育目標 ① ものづくり能力

教育方法等

概要:
 本講義で扱うのは「政治」である。「政治」に登場する人々の行動や、様々な制度の仕組みは、多くの人にとって、よくわからない。しかし、「政治」はその本質故に、「よくわからないから私は帰ります」という選択を許さず、「政治」に巻き込まれる可能性が、全ての人についてまわる。であれば人はどうするか。多くの場合、黙り込んで政治の影響をなかったことにするか、表面的な理解でわかったつもりになって政治に抵抗するかの、どちらかとなる。前者の場合は、一方的に自分が我慢し続けることになり、疲れ果ててしまう。後者の場合は、その抵抗がほとんど意味をなさず、やはり疲れ果ててしまう。
 本講義の目的は、そういった事態を回避することにある。つまり、「政治」のよくわからなさを少しでも減らすべく、その基本的概念や制度について、(表面的なレベルよりも根本的な)原理的なレベルに軸を置いて解説する。ニュースやSNSで言われているような「政治の問題」について、(「それは本当に問題なのか?」を含んだ、)自分なりの別の可能性を見出せるようになることが、本講義の目標である。
授業の進め方・方法:
 講義内容の理解度の確認および文章能力の向上のために、後期期間中に小レポートと課題提出を各一度ずつ求める。適宜予習・復習を行っておくことが望ましい。また、初回のイントロダクション以外でも適宜、受講者に簡単なアンケートをとり、その興味関心・講義の理解度を把握する。講義内容・レポート・課題・試験問題に影響を与えるため、協力されたい。
注意点:
 本講義では現実の政治も扱うが、その扱い方はもっぱら哲学的・理論的観点からのものとなるため、必ずしも時事問題には直接対応しない。各自現実のニュースや議論を見ることで、講義内容と時事問題のどこが同じであり、どこが異なるかを把握するよう努めること。

選択必修の種別・旧カリ科目名

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 講義概要解説:原理的な理解について
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
物事の表面的な理解とは異なる、物事の根本原理を捉えた理解の重要性を理解する。
2週 政治(1):政治とは何か?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
「集合的に拘束する正統な決定の作成」という政治の原理を理解する。
3週 政治(2):政治には何が伴い、何に支えられるのか?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
政治に必然的に伴う諸要素と、政治を支える「政治的なるもの」という概念を理解する。
4週 自由と平等(1):自由主義とは何か?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
自由主義の概要と現代の展開について理解する。
5週 自由と平等(2):自由主義ではないものはあるのか?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
自由主義とは異なる考え方について理解する。
6週 政府と国家:政府や国家はなぜ必要か?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
政府・国家の存在理由と現実での役割について理解する。
7週 前半のまとめと課題講評
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
講義前半の内容を整理し、理解を深める。また文章作成能力の向上を図る。
8週 民主主義(1):民主主義とは何か?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
民主主義の概要について理解する。
4thQ
9週 民主主義(2):民主主義とは何でありうるか?
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
一般的に認識されている民主主義と異なる解釈について理解する(参加民主主義・熟議民主主義)。
10週 民主主義(3):民主主義とは何でありうるか(続編)
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
一般的に認識されている民主主義と異なる解釈について理解する(闘技民主主義等)。
11週 代表/選挙(1):なぜ代表を選ぶのか
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
代議制民主主義における代表の役割を理解する。
12週 代表/選挙(2):代表をどうやって選ぶのか
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
代議制民主主義における選挙の仕組みを理解する。
13週 代表/選挙(3):代表は何をするのか
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
代議制民主主義における政府の仕組みを理解する。
14週 市民:市民であるとはいかなることか
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
国民・人民とは異なる「市民」という概念について理解する。
15週 後半のまとめとレポート講評
(配付資料を元に予習・復習に努めること)
講義前半の内容を整理し、理解を深める。また文章作成能力の向上を図る。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会公民的分野自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後7,後15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後7,後15
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3後7,後15
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3後7,後15
複数の情報を整理・構造化できる。3後7,後15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3後7,後15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3後7,後15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3後7,後15
事実をもとに論理や考察を展開できる。3後7,後15
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3後7,後15

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力6040100