概要:
この講義の目的は、インターネット基盤技術の理解することで企業等の情報ネットワークを構築運用する基礎知識を身につけることである。まず、インターネットワーキングとプロトコル階層化の概念を理解し、応用層プロトコルである Hypertext Transfer Protocol (HTTP) ならびに Domain Name System (DNS) を学ぶ。トランスポート層プロトコルである User Datagram Protocol (UDP) とTransmission Control Protocol (TCP) の詳細を学習したのちに、ネットワーク層プロトコルである Internet Protocol (IP) と経路制御(ルーティング)とパケット交換ネットワークについて学ぶ。最後にデータリンク層と物理層のプロトコル、ネットワークセキュリティ、基本的なサーバ構築とリモートアクセスの方法を学ぶ。本講義はプロトコル解析ソフトウェアで実通信データを解析することで、机上の理論を実システムの通信データと関連づけて理解できるようにする。この科目は企業でインターネットサービスを開発していた教員がその経験を生かし、インターネット工学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
注意点:
「情報科学」教育プログラムの必修科目である。継続的に授業内容の予習・復習を行うこと。授業内容について、決められた期日までの課題(レポート)提出を求める。ノートパソコンを持参すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
シラバスを用いた授業の説明,ユビキタス情報社会とインターネット: インターネットの歴史,構成要素,ネットワークサービス |
インターネットの歴史,構成要素,ネットワークサービスを説明できる。
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2週 |
ネットワークアーキテクチャ: パケット交換,プロトコル,OSI参照モデル,TCP/IP階層モデル,中継システム |
パケット交換,プロトコル,OSI参照モデル,TCP/IP階層モデル,中継システムを説明できる。
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3週 |
応用層(1): Simple Mail Transfer Protocol (SMTP),Hypertext Transfer Protocol (HTTP) |
電子メール,WWWの応用層プロトコルの概略を説明できる。
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4週 |
応用層(2): Domain Name System (DNS), ビデオ配信 |
ドメイン名システム,動画配信システムの概略を説明できる。
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5週 |
トランスポート層(1): User Datagram Protocol (UDP) |
トランスポート層,とくに UDP の仕組みを説明できる。
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6週 |
トランスポート層(2): Transmission Control Protocol (TCP) の 3-way handshake によるコネクション確立とデータ転送 |
トランスポート層,とくに TCP のコネクション確立とデータ転送を説明できる。
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7週 |
トランスポート層(3): Transmission Control Protocol (TCP) の TCPウィンドウによるフロー制御、輻輳ウィンドウを用いた輻輳制御 |
トランスポート層,とくに TCP のフロー制御と輻輳制御の仕組みを説明できる。
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8週 |
中間試験 |
中間試験
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2ndQ |
9週 |
インターネット層(1): Internet Protocol (IP) によるアドレッシングと経路制御の基本 |
IP のアドレッシングと経路制御の基本を説明できる。
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10週 |
インターネット層(2):経路制御プロトコルと Internet Control Message Protocol (ICMP) |
経路制御プロトコルの基本を説明できる。
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11週 |
データリンク層: Local Area Network (LAN) でのフレーム配送 |
LAN でのフレーム配送の仕組みを説明できる。
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12週 |
物理層: 銅線、光ファイバ、電波、符号化方式 |
物理層の伝送媒体を説明できる。
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13週 |
Wide Area Network (WAN): 専用線、Virtual Private Network (VPN)、Point-to-Point Protocol (PPP) |
WAN での専用線、VPN、PPPの仕組みを説明できる。
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14週 |
セキュリティ: 機密性・完全性・可用性の考え方、サーバ構築の基本とリモートアクセスの方法、サーバプログラムの開発手法の基本 |
機密性・完全性・可用性の考え方、サーバ構築の基本とリモートアクセスの方法、サーバプログラムの開発手法の基本を説明できる。
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15週 |
定期試験対策の演習、総まとめ |
定期試験対策の演習、総まとめを理解できる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 情報通信ネットワーク | プロトコルの概念を説明できる。 | 4 | 前2,後1,後2,後3 |
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。 | 4 | 前2,後1,後2,後3 |
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。 | 4 | 前11,後11 |
インターネットの概念を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前9,前10,後9,後10 |
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。 | 4 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10 |
主要なサーバの構築方法を説明できる。 | 4 | 前14 |
情報通信ネットワークを利用したアプリケーションの作成方法を説明できる。 | 4 | 前14 |
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。 | 4 | 前1,前2,後1,後2 |
無線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 4 | 前12,後13 |
有線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 4 | 後11,後12 |
SSH等のリモートアクセスの接続形態と仕組みについて説明できる。 | 4 | 後14 |
基本的なルーティング技術について説明できる。 | 4 | 後9 |
基本的なフィルタリング技術について説明できる。 | 4 | 後14 |
その他の学習内容 | 基本的な暗号化技術について説明できる。 | 3 | 後14 |
基本的なアクセス制御技術について説明できる。 | 3 | 後14 |
マルウェアやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。 | 3 | 後14 |