情報ネットワーク論

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 情報ネットワーク論
科目番号 34117 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「情報ネットワーク (未来へつなぐ デジタルシリーズ3) 」 白鳥則朗著(共立出版) ISBN: 978-4320123038/「マスタリングTCP/IP」竹下隆史他著(オーム社)ISBN: 978-4274068768、「TCP/IPによるネットワーク構築〈Vol.1〉」Douglas E. Comer (著), 村井純, 楠本博之(翻訳)(共立出版) ISBN: 978-4320120549
担当教員 平野 学

到達目標

(ア)インターネットワーキングの概念、パケット交換、プロトコルの階層化について説明できる。
(イ)応用層のプロトコルについて説明できる。
(ウ)トランスポート層プロトコルについて説明できる。
(エ)TCP のコネクション確立、確認応答、フロー制御のしくみを説明できる。
(オ)IP によるアドレッシングと基本的な経路制御のしくみを説明できる。
(カ)データリンク層について説明できる。
(キ)ネットワークセキュリティの基礎的事項を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安
評価項目(ア)インターネットワーキングの概念、パケット交換、プロトコルの階層化について詳細に説明できる。インターネットワーキングの概念、パケット交換、プロトコルの階層化について説明できる。インターネットワーキングの概念、パケット交換、プロトコルの階層化について説明できない。
評価項目(イ)応用層プロトコル、トランスポート層プロトコル、TCPのコネクション確立・確認応答・フロー制御、データリンク層について詳細に説明できる。応用層プロトコル、トランスポート層プロトコル、TCPのコネクション確立・確認応答・フロー制御、データリンク層について説明できる。応用層プロトコル、トランスポート層プロトコル、TCPのコネクション確立・確認応答・フロー制御、データリンク層について説明できない。
評価項目(ウ)TCP/IPのネットワークセキュリティに関する応用的事項を説明できる。TCP/IPのネットワークセキュリティに関する基礎的事項を説明できる。TCP/IPのネットワークセキュリティに関する基礎的事項を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A3 コンピュータネットワークの動作を通信理論の観点から数理的に解析できる.
JABEE d 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
本校教育目標 ② 基礎学力

教育方法等

概要:
この講義はインターネット基盤技術である TCP/IP の仕組みを学ぶことで、企業や官公庁でネットワークを構築・運用するのに必要な基礎を習得することを目的としている。この講義では、まずインターネットワーキングとプロトコル階層化の概念を理解し、応用層プロトコルである Hypertext Transfer Protocol (HTTP) ならびに Domain Name System (DNS) を学ぶ。トランスポート層プロトコルである User Datagram Protocol (UDP) とTransmission Control Protocol (TCP) の詳細を学習したのちに、ネットワーク層プロトコルである Internet Protocol (IP) と経路制御(ルーティング)について学ぶ。最後にデータリンク層と物理層のプロトコル、ネットワークセキュリティの基礎的事項を学ぶ。この科目は企業でインターネットサービスを開発していた教員がその経験を生かし、インターネット工学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
毎週プリントを配布し、そのプリントにノートを記入していく形式で授業を進める。本講義ではプロトコル解析ソフトウェア(Wireshark)で実通信データを解析することで、机上の理論を実システムの通信データと関連づけて理解する。シスコ 社の提供するシスコ ネットワーキングアカデミー https://www.netacad.com の最新教材で自学自習を行うことで、教科書に記載されていない新しいトピックや実践的な内容を補完しながら授業を進める。
注意点:
「情報科学」教育プログラムの必修科目である。継続的に授業内容の予習・復習を行うこと。授業内容について、決められた期日までの課題(レポート)提出を求める。ノートパソコンを持参すること。

選択必修の種別・旧カリ科目名

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスを用いた授業の説明
ユビキタス情報社会とネットワーク: ネットワークの構成要素,プロトコル、アクセスネットワークと物理メディア、サービス品質、セキュリティ、コンピュータネットワークの歴史
(自学自習内容)1章の内容を復習
ネットワークの構成要素,プロトコル、アクセスネットワークと物理メディア、サービス品質、セキュリティ、コンピュータネットワークの歴史を説明できる。
2週 ネットワーク・サービスの事例: 社会インフラ、ビジネスと商取引、エンターテインメントとソーシャルネットワーク
(自学自習内容)課題を提出
ネットワーク・サービスの事例として、社会インフラ、ビジネスと商取引、エンターテインメントとソーシャルネットワークを説明できる。
3週 ネットワーク・アーキテクチャ: パケット交換,OSI参照モデルとインターネットのTCP/IP階層モデル,中継システム
(自学自習内容)課題を提出
パケット交換,OSI参照モデルとインターネットのTCP/IP階層モデル,中継システムを説明できる。
4週 応用層(1): Simple Mail Transfer Protocol (SMTP)、Wireshark を用いた電子メール通信の解析
(自学自習内容)課題を提出
Simple Mail Transfer Protocol (SMTP)、Wireshark を用いた電子メール通信の解析を説明できる。
5週 応用層(2): Hypertext Transfer Protocol (HTTP) と Domain Name System (DNS)、Wireshark による HTTP通信とDNS通信の解析
(自学自習内容)課題を提出
Hypertext Transfer Protocol (HTTP) と Domain Name System (DNS)、Wireshark による HTTP通信とDNS通信の解析を説明できる。
6週 トランスポート層(1): User Datagram Protocol (UDP)、Wireshark を用いた UDPヘッダの解析
(自学自習内容)課題を提出
User Datagram Protocol (UDP)、Wireshark を用いた UDPヘッダの解析を説明できる。
7週 トランスポート層(2): Transmission Control Protocol (TCP) の 3-way handshake によるコネクション確立、Wireshark による TCP 3-way handshake の 解析
(自学自習内容)課題を提出
Transmission Control Protocol (TCP) の 3-way handshake によるコネクション確立、Wireshark による TCP 3-way handshake の 解析を説明できる。
8週 トランスポート層(3): Transmission Control Protocol (TCP) のフロー制御と輻輳(ふくそう)制御、Wireshark による TCP フロー制御と輻輳制御の解析
(自学自習内容)中間試験の対策
Transmission Control Protocol (TCP) のフロー制御と輻輳(ふくそう)制御、Wireshark による TCP フロー制御と輻輳制御の解析を説明できる。
2ndQ
9週 中間試験
(自学自習内容)中間試験の復習
中間試験
10週 インターネット層(1): Internet Protocol (IP) によるアドレッシング、ルータによる経路制御、ネットワークアドレス変換
(自学自習内容)中間試験で間違えた問題の復習、授業の復習
Internet Protocol (IP) によるアドレッシング、ルータによる経路制御、ネットワークアドレス変換を説明できる。
11週 インターネット層(2): Internet Control Message Protocol (ICMP)、Wireshark による IPヘッダの解析と ICMP 通信の解析
(自学自習内容)課題を提出
Internet Control Message Protocol (ICMP)、Wireshark による IPヘッダの解析と ICMP 通信の解析を説明できる。
12週 インターネット層(3):経路制御プロトコル、Packet Tracer による経路制御のシミュレーション
(自学自習内容)Packet Tracer を用いたシミュレーションを自宅で復習
経路制御プロトコル、Packet Tracer による経路制御のシミュレーションを説明できる。
13週 データリンク層と Local Area Network(LAN): MACアドレス、Address Resolution Protocol(ARP)、全二重通信、トポロジーとデータリンク制御方式、イーサネットフレーム、中継装置としてのスイッチとルータ、Packet Tracer による ARP のシミュレーション
(自学自習内容)課題を提出
MACアドレス、Address Resolution Protocol(ARP)、全二重通信、トポロジーとデータリンク制御方式、イーサネットフレーム、中継装置としてのスイッチとルータ、Packet Tracer による ARP のシミュレーションを説明できる。
14週 Wide Area Network (WAN): 専用線、Virtual Private Network (VPN)、Point-to-Point Protocol (PPP)、IPsec-VPN
物理層: 通信媒体、符号化方式
ネットワークセキュリティ: 機密性・完全性・可用性の考え方、共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハッシュ関数の基礎的事項、Transport Layer Security (TLS) の基本的な仕組み、ファイアウォールによるフィルタリング
(自学自習内容)WANとセキュリティについて教科書で復習
専用線、Virtual Private Network (VPN)、Point-to-Point Protocol (PPP)、IPsec-VPNを説明できる。
通信媒体、符号化方式を説明できる。
機密性・完全性・可用性の考え方、共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハッシュ関数の基礎的事項、Transport Layer Security (TLS) の基本的な仕組み、ファイアウォールによるフィルタリングを説明できる。
15週 定期試験対策の演習、総まとめ
(自学自習内容)定期試験の対策
定期試験対策の演習、総まとめを理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報通信ネットワークプロトコルの概念を説明できる。4前1,前2,前3,後1,後2,後3
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,後1,後2,後3
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。4前13,後11
インターネットの概念を説明できる。4前1,前2,前3,前10,前11,前12,前13,前14,後9,後10
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10
無線通信の仕組みと規格について説明できる。4前1,後13
有線通信の仕組みと規格について説明できる。4前1,前13,後11,後12
基本的なルーティング技術について説明できる。4前12,後9
基本的なフィルタリング技術について説明できる。4前14,後14
その他の学習内容基本的な暗号化技術について説明できる。3後14
基本的なアクセス制御技術について説明できる。3後14
マルウェアやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。3後14

評価割合

中間試験定期試験課題合計
総合評価割合305020100
専門的能力305020100