人文科学特論Ⅰ

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 人文科学特論Ⅰ
科目番号 05109 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 特に指定しない。予め作成したプリントを使用する。
担当教員 林 泰正

到達目標

(ア)制度や信念といった制度論における基礎的な概念について理解できる。
(イ)所有権・財産権の歴史について理解できる。
(ウ)所有の状況が実際の土地利用に与える影響や、所有状況に影響を与えうる要因について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
「制度」という概念について理解できる。制度論的な意味での「制度」を理解でき、信念との相互関係について説明できる。制度論的な意味での「制度」についておおまかに理解できる。「制度」や「信念」といった基礎的な概念について理解できない。
所有権について理解できる。所有権制度の確立過程や、日本における所有権制度の歴史などについて適切に説明できる。所有権の成立過程についておおまかに説明できる。所有権について説明できない。
土地の利用と所有との関わりについて理解できる。土地の利用形態の変遷について所有状況やその背後にある制度・信念を踏まえた説明ができる。土地の利用形態について所有の状況を踏まえた説明ができる。土地の利用形態について適切に説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A1 社会の変化と要請を的確に捉え、人の生活を支える社会基盤の役割をよく理解する
JABEE d 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
本校教育目標 ① ものづくり能力

教育方法等

概要:
本講義は、土地の利用形態が歴史的にどのように変化していくかについて、制度論的に理解することを目指すものである。土地の利用形態は、最終的にはその土地を所有する人々によって決定される。そしてその意思決定の背景には制度的な要因や、土地所有者ないし社会全体が有する信念が存在する。そこで本講義では、まずはダグラス・ノースによる諸理論・枠組みについて理解を深めた上で、ノースが注目するような制度や信念が実際の土地利用にどのように反映されていったかについて議論してゆく。
授業の進め方・方法:
講義、ディスカッション等。
注意点:
講義中、可能な限り受講者に発言を求め、その発言・議論をふまえて講義を展開していきたい。議論に参加できるよう、継続的に授業内容の予習復習を行うことを期待する。必要に応じて、講義の終わりに予習に関する指針を提示するので参考にして欲しい。
なお、本講義のうちとくに前半は、主として、ダグラス・ノースの各著書に沿って行う。そのため、ダグラス・ノースの著書(とくに『西欧諸国の勃興』や『ダグラス・ノース 制度原論』)、また制度派経済学(新制度論)に関する入門書などを講義に先んじて(ないし併行して)読んでおくと理解が促進される可能性がある。

ダグラス・ノース(速水融・穐本洋哉訳)(1980)『西欧諸国の勃興』ミネルヴァ書房。
ダグラス・ノース(瀧澤弘和・中林真幸監訳)(2016)『ダグラス・ノース 制度原論』東洋経済新報社。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 人文科学とは何か?
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
人文科学とは何かについて議論できる。
2週 マルクスとルイセンコ
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
唯物史論の基礎的な概念について理解できる。ルイセンコ学説について理解できる。
3週 制度論
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
制度派経済学の基礎的な概念について理解できる。
4週 所有権の歴史(1)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
近代ヨーロッパの勃興の要因となった所有権制度の成り立ちについて理解できる。
5週 所有権の歴史(2)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
近代ヨーロッパの勃興の要因となった所有権制度の成り立ちについて理解できる。
6週 所有権の歴史(3)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
近代ヨーロッパの勃興の要因となった所有権制度の成り立ちについて理解できる。
7週 ソ連の成立と崩壊
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
適応効率性について理解できる。
8週 農地・住宅と所有(1)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
農地や住宅に関わる所有権について理解できる。
2ndQ
9週 農地・住宅と所有(2)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
農地や住宅に関わる所有権について理解できる。
10週 交通と所有(1)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
交通に関わる所有権について理解できる。
11週 交通と所有(2)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
交通に関わる所有権について理解できる。
12週 観光と所有(1)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
観光に関わる所有権について理解できる。
13週 観光と所有(2)
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
観光に関わる所有権について理解できる。
14週 鉱山と所有
(自学自習内容)講義の振り返りと次回の予習
鉱山に関わる所有権について理解できる。
15週 総括
(自学自習内容)これまでの講義や議論の内容を適切に復習する
これまでの内容を整理し、理解を深める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
複数の情報を整理・構造化できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100