水環境工学

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 水環境工学
科目番号 43229 科目区分 専門 / 必履修,選択必修4
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 環境都市工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「環境水質学」/「よくわかる水環境と水質」 武田育郎 著 オーム社
担当教員 江端 一徳

到達目標

(ア)水中における水の物性,循環を説明でき,物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟する。
(イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系および公害の歴史とその内容を理解する。
(ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる。
(エ)一般的な物理および化学,生物的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
(カ)環境と人の健康との関わりを説明できるとともに,水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
(キ)物質循環と微生物の関係を説明できる。
(ク)水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。
(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(ア)水中における水の物性,循環について図を示しながら説明でる。様々な現象について化学変化を量的に表示できるとともに,物質濃度を表示できる。水中における水の物性,循環を説明でる。物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟している。水中における水の物性,循環を説明でない。物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟していない。
到達目標(イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系を,公害の歴史の側面から述べることができる。わが国の水環境に関する法的規制の体系および公害の歴史とその内容を理解する。わが国の水環境に関する法的規制の体系および公害の歴史とその内容を理解できていない。
到達目標(ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を図を用いながら説明でき,その場所からの原単位,発生負荷を含めた計算ができる。水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる。水質汚濁の発生源と移動過程が説明できず,原単位,発生負荷を含めた計算ができない。
到達目標(エ)一般的な物理および化学,生物的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を,指標間の関連性を含めて説明することができる。一般的な物理および化学,生物的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。一般的な物理および化学,生物的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができない。
到達目標(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を,数値を用いながら説明できる。生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できない。
到達目標(カ)環境と人の健康との関わりをそのメカニズムを含めて説明できるとともに,水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を科学的な知見を含めて説明できる。環境と人の健康との関わりを説明できるとともに,水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。環境と人の健康との関わりが説明できず,水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴が説明できない。
到達目標(キ)物質循環と微生物の関係を化学式を用いながら説明できる。物質循環と微生物の関係を説明できる。物質循環と微生物の関係を説明できない。
到達目標(ク)水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、化学,生物学的な知見を含めて説明できる。水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できない。
到達目標(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明し,現状に合わせた提案ができる。水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

本校教育目標 ② 基礎学力

教育方法等

概要:
多岐にわたる環境工学分野のなかでも、水域における水質状況の把握とその管理を行うことは最も重要である。本講義では、河川や湖沼などにおける水環境状態を示す水質指標の理解を主たる目的とする。
授業の進め方・方法:
まず、水中物質の濃度計算と化学反応式に習熟し、我国における水質に関する様々な基準についてその法体系を学ぶ。次に、基礎的な水質指標および有機汚濁に関する指標の測定意義と測定方法とを学ぶ。最後に、水環境中の有害物質指標とその評価、閉鎖性水域における富栄養化のメカニズムとそれに関する水質指標、大腸菌群などの生物的水質指標について理解する。
注意点:
化学Ⅰ、化学Ⅱの履修を前提として講義を進める。関数電卓を持参のこと。教科書については初回授業時に担当教員より説明がある。継続的に授業内容の予習・復習を行うこと。適宜、授業内容に関する課題を決められた期日までに提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 水質に関する基準(環境基準、排水基準、水道水質基準) (イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系および公害の歴史とその内容を理解する。
(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。
2週 水中物質の濃度(モル濃度、重量分率、単位容積重量、規定度、グラム当量)、化学反応式(化学量論、物質平衡) (ア)水中における水の物性,循環を説明でき,物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟する。
3週 物理的水質指標(濁度、透視度、透明度、色度、pH、ORP、電気伝導度、懸濁態物質量) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
4週 物理的水質指標(濁度、透視度、透明度、色度、pH、ORP、電気伝導度、懸濁態物質量) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
5週 化学的水質指標(硬度、アルカリ度) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
6週 生物学的水質指標(一般細菌、大腸菌群、糞便性大腸菌群) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
7週 毒性の評価、環境有害物質指標(重金属類、農薬類) (イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系および公害の歴史とその内容を理解する。
(カ)環境と人の健康との関わりを説明できるとともに,水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
8週 閉鎖性水域における富栄養化メカニズム (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる。
(キ)物質循環と微生物の関係を説明できる。
(ク)水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。
4thQ
9週 有機汚濁に関する指標(DO、BOD、COD、TOC) (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
10週 有機汚濁に関する指標(DO、BOD、COD、TOC) (オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
11週 有機汚濁に関する指標(DO、BOD、COD、TOC) (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
12週 閉鎖性水域における富栄養化メカニズム、富栄養化に関する水質指標(窒素類、リン) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
(ク)水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。
13週 有機物汚濁の発生源および移動過程とその対策 (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。
14週 有機物汚濁の発生源および移動過程とその対策 (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。
15週 有機物汚濁の発生源および移動過程とその対策 (ウ)水質汚濁の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と現状を説明できる。
(ケ)水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。4
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。4
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。4
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4
イオン式とイオンの名称を説明できる。4
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。4
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。4
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。4
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。4
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。4
中和反応がどのような反応であるか説明できる。4
酸化還元反応について説明できる。4
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境環境と人の健康との関わりを説明できる。4
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。4
水の物性、水の循環を説明できる。4
水質指標を説明できる。4
水質汚濁の現状を説明できる。4
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。4
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。4
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。4

評価割合

定期試験課題小テスト合計
総合評価割合501040100
専門的能力501040100