環境水質学

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 環境水質学
科目番号 44113 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「環境水質学」/「よくわかる水環境と水質」 武田育郎 著 オーム社
担当教員 松本 嘉孝

到達目標

(ア)水中における物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟する。
(イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系を理解する。
(ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と程度を説明できる。
(カ)水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
(キ)大腸菌群と水環境の関係を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
水中物質の濃度計算と化学反応式に習熟し、我国における水質に関する様々な基準についてその法体系が説明できる水質指標の濃度表示を説明でき,さらにその濃度換算ができる。加えて,我が国における水質に関する基準が述べられ,その法体系を説明できる。水質指標の濃度表示の意味を説明できると共に,我が国における水質に関する基準を述べれる。水質指標の濃度表示の意味が説明できない,もしくは我が国における水質に関する基準を述べれない。
基礎的な水質指標および有機汚濁に関する指標の測定意義と測定方法が説明できる基礎的な水質指標が5つ挙げられ,その測定意義と測定方法を説明できるとともに,その水質濃度算出ができる。基礎的な水質指標が5つ挙げられ,その測定意義と測定方法を説明できる。基礎的な水質指標が5つ挙げられず,その測定意義と測定方法をも説明できない。
水環境中の有害物質指標とその評価、閉鎖性水域における富栄養化のメカニズムとそれに関する水質指標、大腸菌群などの生物的水質指標について説明できる水環境中の有害物質指標を3つ挙げ,その排出源と人体への影響を説明できるとともに,その評価方法も説明できる。加えて,富栄養化のメカニズムをフローを使って説明でき,富栄養化に関する指標を全て挙げられ,それらの測定方法が説明でき,濃度算出もできる。水環境中の有害物質指標を3つ挙げ,その排出源と人体への影響を説明できる。加えて,富栄養化のメカニズムをフローを使って説明でき,富栄養化に関する指標を全て挙げることができる。水環境中の有害物質指標を3つ挙げられず,その排出源と人体への影響を説明できない。加えて,富栄養化のメカニズムをフローを使って説明できず,富栄養化に関する指標も全て挙げることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B2 工学の基礎理論に裏打ちされた専門知識を身につける
JABEE d 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力
本校教育目標 ② 基礎学力

教育方法等

概要:
多岐にわたる環境工学分野のなかでも、水域における水質状況の把握とその管理を行うことは最も重要である。本講義では、河川や湖沼などにおける水環境状態を示す水質指標の理解を主たる目的とする。
授業の進め方・方法:
まず、水中物質の濃度計算と化学反応式に習熟し、我国における水質に関する様々な基準についてその法体系を学ぶ。次に、基礎的な水質指標および有機汚濁に関する指標の測定意義と測定方法とを学ぶ。最後に、水環境中の有害物質指標とその評価、閉鎖性水域における富栄養化のメカニズムとそれに関する水質指標、大腸菌群などの生物的水質指標について理解する。
注意点:
化学Ⅰ、化学Ⅱの履修を前提として講義を進める。関数電卓を持参のこと。教科書については初回授業時に担当教員より説明がある。継続的に授業内容の予習・復習を行うこと。適宜、授業内容に関する課題を決められた期日までに提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水中物質の濃度(モル濃度、重量分率、単位容積重量、規定度、グラム当量)、化学反応式(化学量論、物質平衡) (ア)水中における物質濃度表示、化学変化の量的関係に習熟する。
2週 水質に関する基準(環境基準、排水基準、水道水質基準) (イ)わが国の水環境に関する法的規制の体系を理解する。
3週 物理的水質指標(濁度、透視度、透明度、色度、pH、ORP、電気伝導度、懸濁態物質量) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
4週 物理的水質指標(濁度、透視度、透明度、色度、pH、ORP、電気伝導度、懸濁態物質量) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
5週 化学的水質指標(硬度、アルカリ度) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
6週 生物学的水質指標(一般細菌、大腸菌群、糞便性大腸菌群) (キ)大腸菌群と水環境の関係を説明できる。
7週 毒性の評価、環境有害物質指標(重金属類、農薬類) (カ)水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
8週 毒性の評価、環境有害物質指標(重金属類、農薬類) (カ)水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
2ndQ
9週 閉鎖性水域における富栄養化メカニズム、富栄養化に関する水質指標(窒素類、リン) (オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と程度を説明できる。
10週 有機汚濁に関する指標(DO、BOD、COD、TOC) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と程度を説明できる。
11週 有機汚濁に関する指標(DO、BOD、COD、TOC) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(オ)生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機炭素(TOC)が表す水質汚濁の傾向と程度を説明できる。
12週 閉鎖性水域における富栄養化メカニズム、富栄養化に関する水質指標(窒素類、リン) (カ)水環境における毒性物質の評価手法と主たる水環境有害物質の特徴を説明できる。
13週 物理的水質指標(濁度、透視度、透明度、色度、pH、ORP、電気伝導度、懸濁態物質量) (エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
14週 化学的水質指標(硬度、アルカリ度) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
(エ)一般的な物理および化学的水質指標について、各項目の特徴とその測定方法を説明することができる。
15週 閉鎖性水域における富栄養化メカニズム、富栄養化に関する水質指標(窒素類、リン) (ウ)水質汚濁の種類と各々の特徴や発生原因を説明することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3前1,前2,前7
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前1
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前1
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前1
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前1
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前1
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3前1
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前1
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3前1
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前1,前3,前4,前13,前14
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前1,前13,前14
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3前1,前5
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3前1,前5
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3前1,前4
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3前1,前5
酸化還元反応について説明できる。3前1
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境環境と人の健康との関わりを説明できる。3前2,前6,前7
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。3前2,前7,前11
水の物性、水の循環を説明できる。3前9,前15
水質指標を説明できる。3前3,前4,前5,前6,前7,前9,前13,前14
水質汚濁の現状を説明できる。3前3,前4,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前14
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。3前8,前10,前11,前12,前15
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。3前8,前11,前12,前15
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。3前2,前8,前12
物質循環と微生物の関係を説明できる。3前9,前10,前11

評価割合

定期試験課題小テスト合計
総合評価割合501040100
専門的能力501040100