基礎船舶工学

科目基礎情報

学校 鳥羽商船高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 基礎船舶工学
科目番号 12202 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 商船学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「これ一冊で船舶工学入門」 海文堂
担当教員 山田 智貴

到達目標

1. 船舶独特の測度法であるトン数や、船の主要目の決め方について説明することができる。
2. 鋼船構造について構造様式、構造部材名称を説明することができる。
3. 複雑な船体の構造がどのような荷重に対してどのように耐えうるように設計されているのか説明することができる。
4. 船舶の運用に当たって基本的な事項である復原性やトリムの各種計算法がどのような原理に基づいて導かれたものであるかを学習し、その前提や仮定、限界について理解する。
5. 船舶の抵抗や推進についてその概要を理解し、抵抗の分類や推進効率の計算を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋼船構造について構造様式、構造部材名称を十分に説明することができる。鋼船構造について構造様式、構造部材名称を説明することができる。鋼船構造について構造様式、構造部材名称を説明することがでない。
評価項目2船舶独特の測度法であるトン数や、主要目の決め方について十分に説明することができる。船舶独特の測度法であるトン数や、主要目の決め方について説明することができる。船舶独特の測度法であるトン数や、主要目の決め方について説明することができない。
評価項目3復原性やトリムの各種計算が十分にできる。復原性やトリムの各種計算ができる。復原性やトリムの各種計算ができない。
評価項目3
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育目標 (B2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
船舶を運航する上で必要な船舶工学の基礎知識を学習し、船舶がどのような技術要素の上で設計・建造されているかを理解する。特に技術の背景と、その限界について正しい理解を持つようにする。
授業の進め方・方法:
前期はTeamsを用いた遠隔方式で行い、後期は講義形式の授業を行う。
注意点:
2単位で広範な船舶工学の基礎を学ぶので、少なくとも復習は欠かせない。
小テストを適宜実施する。

成績評価に記載の割合は年度当初のものとなり、令和2年度は以下の評価割合とする。
*学年成績は前期成績・後期成績の平均とする。
【前期】ポートフォリオ(課題提出)60点満点+前期期末試験40点満点=100点満点
【後期】試験70点満点+小テスト・ポートフォリオ20点満点+出席状況・授業態度10点満点=100点満点

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 船の基礎知識1
船・海運の役割と特徴、船の分類
船を用途・航走状態により分類することができる
2週 船の基礎知識2
船の主要目と基本用語1
船の大きさや性能の概略を主要目表から知ることができる
3週 船の基礎知識3
船の主要目と基本用語2
肥せき係数・総トン数の計算をすることができる
4週 船の基礎知識4
船に関わる法律
船に関わる法律の概要を説明することができる
5週 船舶の復原性及び損傷制御1
船体形状
線図について説明できる。排水量等曲線図から排水量等を求めることができる
6週 船舶の復原性及び損傷制御2
排水量等計算
排水量等曲線図から排水量、水線面積、浮面心等を求めることができる
7週 1~6週の復習及び応用
8週 船舶の復原性及び損傷制御3
重心移動
重量物の移動による重心移動を計算することができる。
2ndQ
9週 船舶の復原性及び損傷制御4
復原力
復原性及びトリムに関する理論及び要素について説明できる。外力による傾斜と復原力を計算することができる。
10週 船舶の復原性及び損傷制御5
復原性、トリム及び応力に関する図表
大傾斜時の復原力について説明することができる。復原力曲線より復原力消失角、復原力最大角を求めることができる。
11週 船舶の復原性及び損傷制御6
重心移動による横傾斜(ヒール)
重心移動による横傾斜を計算することができる。
12週 船舶の復原性及び損傷制御7
重心移動による縦傾斜(トリム)
重心移動による縦傾斜を計算することができる。
13週 船舶の復原性及び損傷制御8
自由水影響
自由水が復原力に及ぼす影響について説明できる。
14週 船舶の復原性及び損傷制御9
トリム及び復原性を安全に保つための措置
トリム及び復原性を安全に保つための措置について説明することができる。
15週 8~14週の復習及び応用
16週
後期
3rdQ
1週 船舶の復原性及び損傷制御10
損傷制御
区画室に損傷が生じ、その区画浸水がトリム及び復原性に及ぼす影響並びにこれに対応してとるべき措置について説明することができる。
2週 船舶の復原性及び損傷制御11
応力計算機の使用法
船体応力計算機の使用法について説明できる。
3週 船舶の復原性及び損傷制御12
船舶の復原性に関するIMOの勧告についての知識
非損傷時復原性に関する国際基準「2008年の非損傷時復原性に関する国際規則. (2008 ISコード)」について説明できる。
4週 船の抵抗1
船体の抵抗
船体に働く抵抗の概要を説明できる。
5週 船の抵抗2
船体抵抗成分の構成
船体抵抗成分の構成を説明できる。
6週 船の推進1
船の推進方法
船の推進方法及び推進器を分類することができる。
7週 中間試験
8週 船の推進2
プロペラ装置
スクリュープロペラの各部名称、動作原理や性能について説明できる。
4thQ
9週 船の推進3
船の出力と効率
船の出力と各種効率を計算することができる。
10週 船の構造と強度1
船体材料、船体強度
鉄鋼材料の分類、船体の横強度・縦強度について説明できる。
11週 船の構造と強度2
船体応力
船体の曲げ応力を計算することができ、船体応力を許容限度内に保つための貨物の積付け及びバラスト調整について説明できる。
12週 船の構造と強度3
船体構造の概要
船構造の概要及び重要体構成部の名称を説明できる。
13週 船の構造と強度4
船体構造部材1
船舶の主要な構造部材について説明できる。
14週 船の構造と強度5
船体構造部材2
船舶の主要な構造部材について説明できる。
15週 期末試験の解答解説
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前2,前3,前5,前8,前9,前11
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3前2,前3,前5,前9,前11
分数式の加減乗除の計算ができる。3前2,前3,前5,前8,前9,前11
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前3,前5,前8,前9,前11
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前2,前3,前5,前8,前9,前11
簡単な連立方程式を解くことができる。3前3,前5,前8,前9,前11,前12,後2
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3前3,前5,前8,前9,前11,前12
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3前3,前5,前8,前9,前11,前12,後2
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3前5,前8,前9,前11,前12,後1
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前5,前8,前9,前11,前12,後1
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3前2,前3,前8,前9,前11,前12
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前3,前8,前9,前11,前12,後4
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前3,前8,前9,前11,前12,後4
角を弧度法で表現することができる。3前8,前9,前11,前12,後4
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前8,前9,前11,前12,後4
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前8,前9,前11,前12,後4
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3前8,前9,前11,前12
一般角の三角関数の値を求めることができる。3前8,前9,前11,前12
2点間の距離を求めることができる。3前8,前9,前11,前12,後4
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3前3,前8,前9,前11,前12,後1
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3前8,前9,前11,前12
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3前8,前9,前11,前12
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3前5,前8
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
自然科学物理力学物体に作用する力を図示することができる。3前8,前9,前11,前12
力の合成と分解をすることができる。3前8,前9,前11,前12
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前8,前9
慣性の法則について説明できる。3前12,後5,後6
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前9,前11,前12,後5,後6
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前8,前9,前11,前12
重心に関する計算ができる。3前8,前9,前11,前12
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後11
化学(一般)化学(一般)イオン化傾向について説明できる。3後10
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3後10
人文・社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。2前1
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。2前1
専門的能力分野別の専門工学商船系分野(航海)船舶工学船の種類、主要目、船型、主要寸法について説明できる。3前2,前3
船体の主要目比、肥せき係数について説明できる。3前2,前3
鉄鋼材料について、その性質を説明できる。3後10
静定はりについて、せん断力の計算方法及びSFDの作図方法を説明できる。3後11
静定はりについて、曲げモーメントの計算方法及びBMDの作図方法を説明できる。3後11
船体に作用する応力について説明できる。3後10,後11
船体に必要な強度について説明できる。3後10,後11
船体の構造について説明できる。3後10,後11
水の物理的性質(重量、 圧縮性、 粘性)について説明できる。3後4,後5
基礎的な静水力学(アルキメデスの原理、パスカルの原理)について説明できる。3前1,前5,前6
基礎的な動水力学(層流と乱流、流量と流速、ベルヌーイの定理)について説明できる。3後4,後5
船体抵抗の種類、船体抵抗に影響を与える要素について説明できる。3後4,後5
推進器の種類、出力と推進効率について説明できる。3後6,後8,後9
商船系分野(機関)流体力学流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を、説明できる。3後5
浮揚体に作用する力のつり合いについて認識し、浮力を計算できる。3前5
層流と乱流の違いを説明できる。3後5
船体に作用する抵抗の種類(摩擦抵抗、造波抵抗など)について、説明できる。3後4,後5
流れの中に存在する物体に作用する抗力および揚力について説明できる。3後4,後5
キャビテーションについて説明できる。3後11
材料力学はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4後11
各種の荷重が作用するはりのせん断力図と曲げモーメント図を作成できる。4後11
断面二次モーメント、断面係数の意味を認識し、任意の断面についてそれらの値を求めることができる。4後11
曲げ応力あるいははりの断面の任意の箇所に生じる応力を計算できる。4後11
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4
船舶基礎工学船体構造に関する各部の名称および構造について認識し、その特徴について説明できる。3後12,後13,後14
船体用鋼材の種類および接合方法について認識し、その特徴について説明できる。3後12,後13,後14
船体に関する主要寸法の名称および違いについて説明できる。3前2,前3
船舶に関する各種重量(総トン数、純トン数、排水トン数など)の違いについて説明できる。3前2,前3
船体に加わる力について認識し、その特徴について説明できる。3後10
船体に働く応力(せん断応力、曲げ応力など)について認識し、それらを計算できる。3後10
船体に加わる抗力の種類について説明できる。3後4,後5
推進器および船尾管の種類および構造について認識し、その特徴について説明できる。3後6,後8,後13,後14
推進器の性能を表す各種効率について認識し、求めることができる。3後8,後9
工学系の専門英文を読む力を習得し、内容について概要を把握できる。2後3
推進装置の種類および構造について、説明できる。3後6,後8
推進システムの性能、評価に必要な基礎知識を習得し、適用できる。3後6,後8

評価割合

試験小テスト・ポートフォリオ授業態度合計
総合評価割合702010100
基礎的能力001010
専門的能力7020090
分野横断的能力0000