到達目標
海技教育機構での長期乗船実習までに下記の船舶運航に関わる運用術の中の「操船」の基礎知識を習得する。特に実習中の操船が関係する業務の場面で自ら説明できるようになりましょう。
細目
(1)船舶の操縦性能「舵及びスクリュープロペラの作用、停止距離、旋回圏、横揺れ及び縦揺れによる余裕水深の減少、操船に及ぼす浅い水域、風、波及び流潮の影響、航過する船舶間の相互作用、側壁影響、損傷回避のための減速航行、操船上の各種推進機関の特徴」
(2)一般運用「入出港、岸壁及び係船ブイの係留及び解らん、びょう泊、びょう地の選定、伸出びょう鎖長及び走びょう、いかり作業、いかりの利用、タグ使用上の注意、
(3)特殊運用「水先船又は水先人乗下船場所に接近する場合における操船、浅い水域、礁海、氷海、流氷海域、狭水道、河川、河口等における操船、狭視界、荒天及び空船の場合における操船、荒天時に救命艇又は救命いかだを降下する場合における操船上の注意、救命艇からの生存者の収容方法、曳航、曳航準備、曳航索、曳航中の注意、分離通航方式のとられている水域における操船
(4)捜索及び救助「IMOの国際海上捜索救助マニュアル(IAMSAR)に関する知識」
目標
1.各種ある錨とその歴史を理解し、現在主流の錨の利点、欠点を説明できる
2.天候に適した錨泊法を選択し、適切な錨鎖伸出量を求めることができる
3.船がどのような用具、設備、施設に係留されているか説明が出来る
4.係留用施設への入港、出港の操船計画を立案できる
これら、鳥羽丸や「実験実習」で必要な知識を習得し、数多くある専門用語の意味を自分の言葉で説明できるようにすることで、三等航海士の業務内容の一部を理解できるようにする。
前期の「操船」および実習等で得られた知見を基礎に、下記の船舶運航に関わる運用術の中の「操船」の基礎知識の習得を目標とします。
特に洋上での操船が関係する業務の場面で自ら説明できることが求められます。
1.風と波との関係を説明できる。
2.波浪中および荒天中の操船方法を計画できる。
3.制限海域での操船方法を計画できる。
4.操縦性性能指数を理解し、操船に役立てることができる。
鳥羽丸や「実験実習」で必要な知識を習得し、数多くある専門用語の意味を自分の言葉で説明できるようにすることで、三等航海士や二等航海士の業務内容の一部を理解できるようにする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 静穏から荒天時までの錨泊の計画を立案できる。 | 把駐力がどのような項目で構成されていて、船にどのような影響を与えるか説明できる。 | 把駐力を説明できない。 |
評価項目2 | 大型船から小型船、潮汐有無、喫水の大小で利用する港内施設・設備の
違いを説明できる。 | 港内の施設・設備を説明できる。 | 港内の施設・設備を説明できない。 |
評価項目3 | 大型船から小型船までの港内操船の計画を順序立てて説明できる | 港内を操船する場合に必要な事象を説明できる。 | 港内操船を説明できない。 |
評価項目4 | 風と波とが船に与える影響と対応方法について説明できる。 | 風と波との関係を説明できる。 | 風と波との関係を説明できない。 |
評価項目5 | 洋上で変化する事象に対応する操船計画・運航計画を立案できる。 | 洋上での操船に必要な事象を説明できる。 | 洋上操船を説明できない。 |
評価項目6 | 操縦性能指数を算出することができる。 | 操縦性能指数を説明でき、それぞれの値の意味を説明できる。 | 操縦性能指数を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
前期
海技教育機構での長期乗船実習までに下記の船舶運航に関わる運用術の中の「操船」の基礎知識を習得する。特に実習中の操船が関係する業務の場面で自ら説明できるようにする。
1.各種ある錨とその歴史を理解し、現在主流の錨の利点、欠点を説明できる
2.天候に適した錨泊法を選択し、適切な錨鎖伸出量を求めることができる
3.船がどのような用具、設備、施設に係留されているか説明が出来る
4.係留用施設への入港、出港の操船計画を立案できる
鳥羽丸や「実験実習」で必要な知識を習得し、数多くある専門用語の意味を自分の言葉で説明できるようにすることで、三等航海士の業務内容の一部を理解できるようにする。
後期
大洋を航海する大型船舶の最下級の海技士として3級海技士(航海)の国家試験レベルを最低限に設定し、航海士として一人で当直業務に就くために必要な知識について学びます。
授業では航海士として船橋と機関室との関係を意識した、船の運航の仕組みの理解ができるようにし、授業毎に実施される小テストを中心に、必要な事項について確実にしながら新しいことを学んでいき、2級海技士(航海)以上の国家試験の内容も説明します。
特に操縦性能の理解と、大洋上での船の運用法を、海技試験の内容を加味しながら学びます。
授業の進め方・方法:
この単位は、TEST(小テスト)、EXAMINATION(中間・期末テスト)を解くことで海技試験のような記述試験に適用できるような実力をつけるように工夫されている。
授業では講義の他、予習を必要とする課題や前回までの授業から出題する小テストを行います。課題は、指示された予習指示箇所を読み、また課題として出されている問題を自ら解くことが事前に求められます。
また、小テストは、講義の内容の他、講義で説明された箇所を良く読み自ら説明できるようにしておいてください。
中間試験・定期試験は、ノートや教科書、実施してきた小テストを活用して勉強するとよいでしょう。
注意点:
試験は、海技試験を模擬した記述形式で行うので、学習内容を自ら文字にして説明できるように日頃から解答用紙を作成するようにすること
適宜、小テストを行うので、前回の講義または既に学んだことを復習しておくこと。
長期休暇にはレポート課題を課す場合もあるので、期限に遅れずに提出すること。
小テスト、レポート、その他(ノート提出)等がすべてなされていることを条件に評価する。
上記評価割合は授業回数によって異なり、最終的に中間試験・定期試験で6割、ポートフォリオ(課題等:小テスト、課題、ノート提出等)で4割、となるように評価する。
関連する科目
海技実習、鳥羽丸実習、運用額実験、航海学実験、気象通論
なお、遠隔による場合、別に定める方法により成績とする。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
運用術と航海術と船員 |
航海術との関係を説明できる
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2週 |
錨の種類 |
歴史と種類を説明できる
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3週 |
把駐力と把駐係数 |
把駐係数を使って比較できる
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4週 |
錨泊法 |
錨泊法とその適用範囲を説明できる
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5週 |
錨泊中の航海士の仕事 |
いかりを使った作業、びょう地および錨泊を継続するための手法を説明できる
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6週 |
錨地進入および入港操船と速力逓減基準 主機の違いとまとめ
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減速して投錨するまで方法を説明できる。減速方法と主機による違いを説明できる。これまでの知識を整理し自ら文章で試験に臨める。また、過去に出題されたこの科目の問題が解ける
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7週 |
中間試験 |
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8週 |
中間試験返却・解説 |
試験の出題の意図と解答のための解説を聞き、自らができなかった項目について改めて解説できる。
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2ndQ |
9週 |
係留施設と設備 |
施設と操船計画の関係を説明できる
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10週 |
係留用設備 |
岸壁や桟橋、係船ブイといった係留に利用される設備名を説明できる
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11週 |
入港操船に使用される手段 |
主機、推進装置、スラスター、舵、係留索、タグボートの特色や注意点を説明できる
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12週 |
入港操船法 |
舵およびスクリューがどのように作用し、「CPP右回り1軸船の出船右舷係留」を説明説明できる
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13週 |
入港操船手段と利用 |
どのように入港すべきか説明できる
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14週 |
出港操船 さまざまな船の入出港と船員 まとめ |
出港時の舵と、主機の利用を説明できる。入出港と船員の動きおよび水先人や水先船の利用を説明できる。過去に出題されたこの科目の試験問題が解ける。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験の返却、解説、まとめ |
それぞれの事象についての解説を理解できる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
船舶運航と気象 天気図のうち地上解析図の読み取り技術を習得し、洋上の船にとっての気象海象とは何であるかを学ぶ。
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定期試験の出題の意図と解答のための解説を聞き、自らができなかった項目について改めて解説できる。
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2週 |
船舶運航と気象 天気図のうち地上解析図の風向風速、雲量、気温を読み取り、その場所の様子を想像できる。
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各地の気象観測結果から、現在の気象状況を説明できる。
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3週 |
平水と洋上 海域によって船の運航の仕方や対応がどのように変わってくるかを学ぶ。
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海域によって船の運航の仕方や対応について説明できる。
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4週 |
洋上操船 洋上において関係してくる波浪と風の強さと操船の関係について学ぶ
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ウェザールーティングの意味と、船橋の位置やトリムによって操縦性が変わってくることを説明できる。
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5週 |
波と船体の動揺 揺れる船と波や風との関係により船が不安定になることを知る。
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波と船体の動揺がどのように操船に影響を及ぼすか説明できる。
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6週 |
荒天中の操船 とまとめ 台風や急速に発達した低気圧付近での操船および避航法、機関の種類の概要と荒天回避について学ぶ。
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荒天操船のための計画や避航の方法を説明できる。これまでの知識を整理し自ら文章で試験に臨める。また、過去に出題されたこの科目の問題が解ける
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7週 |
中間テスト |
それぞれ設定された場面に応じた解答を法令や技術的に正しい内容を記述できる。
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8週 |
中間試験の返却、解説 |
中間試験の出題の意図、解答の解説を聞き、自らができなかった項目について改めて解説できる。
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4thQ |
9週 |
洋上での捜索および救命艇等を利用する場合と曳航を行う場合の操船
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捜索に利用されるIAMSARの知識、荒天および小型である救命艇・救命筏を利用する場合の操船方法および操船の危険性と生存者の収用方法について説明できる。 曳航時の操船運用について説明できる。
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10週 |
船形と操船の要素 特殊な船型(自動車専用船など)や喫水が大きく変化する船は条件により操縦特性が変わることを学ぶ。
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波を受けた場合の、操縦特性の変化について説明できる。
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11週 |
総合操船 波、風のある中、および特殊海域(氷海、礁海、流氷)での操船方法について学ぶ。
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高波高中の操船計画および特殊海域でのおよび対応について説明できる。
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12週 |
狭水道・浅い水域の操船 同じ船でも水深や可航幅が制限される場所だと、操縦特性が変わることを学ぶ。
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余裕水深や2船間相互影響、側壁影響とスコット現象について説明できる。
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13週 |
操縦性能 Z試験で求められるTとKの値の意味を学び、操縦特性の理解に努める
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TとKを使って定常旋回角速度と旋回径を求めることができる。
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14週 |
Z試験の結果から、大型船や小型船との比較、また、操縦性の違いを学ぶ。 過去に出題されたこの科目の試験の解説を聞き、知識の整理を行う。 |
TとKの値から、旋回性能を説明できる。また、過去に出題されたこの科目の問題が解くことで、これまでの知識を整理し自ら文章でめる。
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15週 |
期末試験
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中間試験で理解が進まなかった分野も含め理解できる
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16週 |
試験の返却および解説 |
試験で不明だった点について理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 商船系分野(航海) | 操船論 | 船舶の旋回運動に関する名称を説明できる。 | 2 | 後13,後14 |
操縦性試験または船舶の操舵法を説明できる。 | 2 | 後13,後14 |
出力と効率について説明できる。 | 2 | 前13,後11 |
プロペラの作用と操船の関係について説明できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
船の速力、抵抗について説明できる。 | 2 | 前6,前12 |
惰力と停止性能について、発動惰力と停止惰力の違いを説明できる。 | 2 | 前6,前13 |
船舶の受ける風圧力を説明できる。 | 2 | 前4,後5,後6,後11 |
船舶が受ける風及び波浪の影響について説明できる。 | 2 | 後2,後5,後6,後11 |
航走中に起こる船体沈下現象について説明できる。 | 2 | 後10,後12 |
水深の浅い水域を航行する時の余裕水深について説明できる。 | 2 | 後10,後12 |
バンクサクションについて、その現象を説明できる。 | 2 | 後10,後12 |
2船舶間の相互作用について説明できる。 | 2 | 後10,後12 |
入出港計画について、入港コース、入港前の減速位置についてその意味を説明できる。 | 2 | 前6,前9,前11,前12,前13 |
タグボートの使用方法、係留索の名称について説明できる。 | 2 | 前13,前14 |
曳航に関して船舶の動きまたは分離通航方式について、その必要性を説明できる。 | 2 | 前13,前14 |
評価割合
| 試験 | ポートフォリオ | | | | | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 40 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 |
専門的能力 | 30 | 40 | 0 | 0 | 0 | 0 | 70 |
分野横断的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |