到達目標
1:実社会に関心を持ち、これからの社会を担っていく主権者としての自覚を養う。
2:社会科学の基本的な素養を身につけ、社会を見る目を養う。
3:現代社会において生じる様々な問題について、主体的に考察し、多角的な観点から捉える力を身につけると共に、自身の意見を論理的に記述できる能力を身につける。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持ち、きちんと自身の意見を持ち、また、行動しようとしている。 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持っている。 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持っていない。 |
評価項目2 | 学習した事項について十分な知識を有している。 | 学習した事項についてひととおりの知識を有している。 | 学習した事項についての知識が不十分である。 |
評価項目3 | 現代社会における諸問題に対する自身の意見を十分な根拠を挙げ、論理的に表現することができる。 | 現代社会における諸問題に対する自身の意見を持ち、その理由を挙げることができる。 | 現代社会における諸問題に対する自身の意見を持っていない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
・社会が抱える諸問題について社会科学的観点から主体的に考察し、自分の意見を論理的に記述する手法を学ぶ。
授業の進め方・方法:
・講義形式で行う。
・講義で解説を行う9つのテーマのなかから2つ選び、レポートを書くこと。
・11週~15週は提出されたレポートについて教員が講評を行う。
・扱うテーマは変更する可能性がある。
注意点:
【授業日程】
・試験のない授業であるため、試験期間中の授業(7週目と15週目)は通常とは異なる日程で行われる。
【成績評価】
・レポート:80点(40点×2=80点)
・態度:15点(提出物の遅れ、私語、真面目な授業態度がみられない場合などは減点する。)
・相互評価:5点(講評を聞き、学生間でレポートを採点しあう。)
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス・レポートの書き方 |
この授業の到達目標、履修上の注意点、評価方法などについて説明できる。レポートの書き方について説明できる。
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2週 |
コピペは不正か |
すべての学習は模倣から始まる。一方で模倣は他者が積み上げてきた学習に対する冒とくにもなりえる。近年科学技術の発達によって模倣の形式は変化しており、その結果模倣の持つ社会的意味も変わりつつある。本講義では模倣の中でもコピペに注目し、現代的な意味と不正となりえる根拠はあるか考察することを目標とする。
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3週 |
グローバル人材は本当に必要か |
「グローバル人材」という語がつかわれるのは日本と韓国だと言われている。なぜ日本政府は「グローバル人材」が重要だと主張するのだろうか。英語が話せれば「グローバル人材」なのか。人間を「人材」とみなすことに問題はないのか。人間として重要な発達目標について世界との関係を前提に考察することを目標とする。
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4週 |
福島原発事故は日本固有の問題か |
福島原発事故は日本固有の問題であって、他国では起きないと主張する人がいる。それは原発事故の原因を、科学技術的要因ではなく、社会文化的要因とみなすからである。実際本件事故は日本独自の社会問題を反映した結果発生したといえる部分を多く含んでいる。一方でこの主張にはオリエンタリズム(西洋を中心とした場合の東洋に対する偏向したものの見方)が含まれるといわれている。本講義では事故原因を分析する際に我々が逃れることのできない偏向性について理解することを目標とする。
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5週 |
芸術作品に客観的価値はあるか |
芸術作品の価値はどのように決まるのか。仮に価格がついたとして、それは芸術作品の価値といえるか。そもそも芸術作品について価値を決定することは可能なのか。人によって作品に感動することもあれば感動しないこともあるならば、客観的に価値を決定することは不可能とはいえないか。価値創造のメカニズムについては古くから研究があるが、本講義ではブルデューとポーターの議論を参考にしながら考察することを目標とする。
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6週 |
代理出産は許されるか |
科学技術の発達によって我々は自分のDNAを受け継ぐ子の出産を他者に依頼することが可能となった。しかし、出産は母体が死に至ることもある危険なものであることに変わりなく、こうしたリスクを金銭によって取引することは身勝手ではないだろうか。また事実上依頼する側が経済的に豊かで、依頼を引き受ける側が経済的に不利な立場にあるとき、貧富の差による身体搾取が行われているといえないか。仮に貧富の差がなかったとしても、人体を何かの目的のために「使用」することは倫理的に認められるか。本講義では科学技術の発達によって発生している生命倫理の問題について考察することを目標とする。
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7週 |
飢えた子どもを前に文学は役に立つか |
この問いはフランスの作家・哲学者であるサルトルに由来する。実際文学が腹を満たすことはないので、考察を深めていない場合は必然的に単純な文学無用論につながる。しかしなぜサルトルは作家でありながらこうした問いを発したのか。文学の必要性はどこにあるか、必要性がなぜ文学に求められるのか。役に立たなければならないという前提を放棄したくなるが、それは身勝手な自己正当化ではないのか。本講義では文学に限らず学問全体に対する無用論について考え、「必要」の本質的意味を考察することを目標とする。
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8週 |
真理は一つか |
何らかの社会的決定を下すとき、根拠が必要であるが、その根拠は一つに定まらないことは多くある。また、社会が何らかの意思決定をするとき「科学的な答え」を根拠にすることがある。果たして科学的な答えは一つか。専門家同士で意見が異なるとき、どちらを選択するべきか。分野ごとに知識が妥当かどうかを判断する基準は異なるのではないか。本講義では自らが経つ立場を相対化し、再考せざるを得ない状況を理解するとともに、選択の重みについて理解することを目標とする。
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4thQ |
9週 |
国民は全てを知る権利があるか |
2013年12月13日に公布された特定機密保護法は国民の知る権利を制限するものとして世論を二分する議論を巻き起こした。実際日本では1972年に日米政府の密約に関する極秘文書を毎日新聞記者の西山太吉が入手したことによって政府の国民に対する説明が大きく誤っていたことが明らかになったことがある。知る権利は憲法によって直接保障されているものではないが、同時に憲法が保障する基本的人権―表現の自由―を規定する問題である。本講義では情報の流出と管理がますます困難になりつつある社会における問題として知る権利について考察することを目標とする。
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10週 |
学問は社会に対して責任を負わねばならないか |
この問いは、「学問は役に立たなければならないか」という問いも同時に考えなくてはいけない。そもそも役に立つとはどういうことか。現実的直接的に役に立つということと、間接的に存在意義が認められるということの間には隔たりがある。同様に、学問が社会に対して負う責任にも、さまざまな階層や形態があるはずである。本講義ではまず科学者の社会的責任について考察するとともに、社会と一定の距離を保ちコミットしながら決して同化しない自立精神の重要性について考察することを目標とする。
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11週 |
講評① |
学生から提出されたレポート課題について順に講評を行う。
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12週 |
講評② |
上に同じ。
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13週 |
講評③ |
上に同じ。
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14週 |
講評④ |
上に同じ。
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15週 |
講評⑤ |
上に同じ。
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16週 |
なし |
なし
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | レポート | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 0 | 0 | 5 | 15 | 80 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 5 | 15 | 80 | 0 | 100 |