科目基礎情報

学校 鳥羽商船高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 法学
科目番号 0177 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 なし(資料は授業中に配布)
担当教員 深見 佳代

到達目標

1.憲法の基本的概念を習得する。
2.基本的人権と裁判規範性の可能性と限界を理解する。
3.市民として必要な規範意識をみにつける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1憲法の基本的概念について説明できる。憲法の基本的概念について理解し、中間試験・期末試験において合格点をとることができる。憲法の基本的概念を理解できていない。
評価項目2基本的人権と裁判規範性の可能性と限界を説明できる。人権問題について裁判上の限界を説明できる。法的問題について考えようとしていない。
評価項目3市民として必要な規範意識をみにつけている。市民として最低限の規範意識を持っている。市民としての規範意識をもっていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
社会を構成する市民として、社会を貫く法的原則を理解し、人間の権利を守るための法的発展を学ぶとともに、更なる発展のための道筋を発見する。
授業の進め方・方法:
1.講義形式で行う。
2.基本的人権の保障にかかる重要な事件と判例を各回で取り上げる。
3.この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてポートフォリオを課す。
注意点:
1.取り上げる事件については、変更する可能性がある。
2.事件の内容によっては、授業中の私語を厳しく制限する。
3.参考図書:『憲法 Cases and Materials 人権』初宿正典(編)、有斐閣、 第2版 (2013/5/31)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス この授業の到達目標、履修上の注意点、評価方法などについて説明できる。
2週 バイク免許取得事件(人権の享有主体・未成年) 未成年については成年者とは異なるため、しばしば「保護」が行われる。しかし「保護」にはもう一つの側面として「人権の制約」が伴う。他方で、今日未成年者が成年者と同様に憲法の保障する人権の享有主体であることには争いがない以上、その人権に対する制約は簡単に認められるべきではない。それにもかかわらず「保護」や「制約」がなされる根拠は何か。これについて説明できる。
3週 外国人の地方参政権(人権の享有主体・外国人) 外国人は各種人権行使の前提となる「日本での在留」が、出入国管理及び難民認定法という法律に基づく在留資格の付与により規定されているという根本的な問題を理解する。また、外国人の人権にかかるマクリーン事件の判断枠組みを用い、各種の人権が外国人どう保障されるか、憲法の他の諸原理との関係に注意を払いながら説明できる。
4週 神戸牧会活動事件(信教の自由) 憲法20条で保障されている信教の自由が具体的にどのような内容を持つか考えると同時に、その限界を巡る問題を考察する。すなわち、憲法上の保障が認められる宗教活動の範囲、信仰の自由と一般的な義務との関係などについて説明できる。
5週 筋ジストロフィー症患者高校入学不許可処分事件(教育を受ける権利) 憲法26条1項では教育を受ける権利を「能力に応じて、ひとしく」有すると規定しているが、普通学校で教育を受けることができる能力の有無の判断が保護者・子供と教師の間で別れた場合、どちらが優先されるのか。このことについて説明できる。
6週 ポポロ事件(学問の自由) 大日本帝国憲法には「学問の自由」を規定した条項はなかった。そのため国家権力による侵害・抑圧事件が発生した。これを受けて新憲法では学問の持つ独自の意義を認識し、これを明文で規定することで学問的研究及びその成果の発表が公権力によって妨げられないことを特に保障するに至っている。このように憲法19条の思想及び両親の自由と23条の学問の自由については総則的意義にとどまらない独自の意義があることを理解できる。
7週 中間試験 合格点をとる。
8週 返却 試験の結果を踏まえ、自身の取り組みを振り返ることができる。
2ndQ
9週 エホバの証人輸血拒否事件(自己決定権) 憲法典に明示的に列挙されていなくても、人権は天賦の権利である以上憲法上の権利として認められる可能性がある。こうした権利のうち幸福追求権の保障範囲について、具体的に、どのような権利が含まれていると考えるべきか。これについて自己決定を事例とし、自らの生命・身体の処分に関する自由を考察できる。
10週 チャタレー事件(表現の自由) 表現の自由は民主主義の根幹をなすものとして基本的人権の中でも特に優越的地位にある権利であり、表現内容基づく規制は「犯罪の煽動の処罰」と「わいせつ表現の禁止」が典型である。禁止される表現物の定義について考察するとともに、禁止の正当な根拠について説明できる。
11週 学資保険訴訟(生存権) 憲法25条の1項2項は一般に生存権と呼ばれ、この権利性や1項2項の関係が問題とされてきた。食糧管理法違反事件、朝日訴訟、堀木訴訟などを通じ、生存権の権利性を巡って従来対立してきたプログラム規定説、抽象的権利説、具体的権利説のそれぞれの内容と「最低限度の生活」のあるべき意味を考え、説明することができる。
12週 死刑合憲判決(残虐な刑罰の禁止) 日本国憲法は31条以下に比較的詳細な人身の自由に関する規定を置き、主として刑事手続きを統制しようとしている。被疑者・被告人等の権利と国家の刑罰権の敵世知な実現との間で憲法規定の果たすべき役割は何か。これについて考察するため、残虐性が問題となる死刑の合憲性について取り上げ、論点を整理できる。
13週 尊属殺人被告事件①(法の下の平等) 憲法14条1項の定める平等原則を具体的に解釈・適用する際の論理構成について学ぶ。平等審査の方法の観点から尊属殺人重罰規定意見判決について取り上げ、「尊属に対する尊重」という道徳を法律でどこまで区別して扱うことができるか考察することができる。また、本事件については判旨が長いため2回に分けて行う。
14週 尊属殺人被告事件②(法の下の平等) 上に同じ
15週 期末試験 合格点をとる。
16週 返却 試験の結果を踏まえ、自身の取り組みを振り返ることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力60000400100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000