概要:
専攻科の授業では、日本文化の史的な特徴を、さまざまなジャンルの資料を用いて知見を深めることを目指す。この分野での「資料」とは、研究対象となりうる文献一般を指す。特に専攻科の授業では、活字化された現代の書籍より、原本に近いレプリカや影印本を資料として用いることが多い。手に取れる資料はなるべく実際に触って、その扱い方を学び、資料の構造を観察できる。自分の専門以外の分野でも、対象物を的確にとらえ、私見を持つことを目指している。
授業の進め方・方法:
1.古典の分野は、高校卒業程度の一般的な知識で対応できる。
2.授業は、実際にレプリカに触ったり、資料を題材にして作業することもある。積極的かつ丁寧に取り組むこと。
3.授業内に課題が作成できなければ、宿題として後日の提出を認めることもある。
注意点:
1.評価はすべて課題作成によることとする。計9回の課題と態度とで評価する。
2.課題の基準は、その課題内容により、着眼点、観察力、丁寧さ、類推力、情報収集力、分量などで評価する。
3.貴重な資料を取り扱うこともある。対象とする資料を正しく扱えるかを「態度」の項目で評価する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
・授業の取り組み方、諸注意などの説明を受ける。 ・日本文化論の位置付けを確認することができる。
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2週 |
研究方法の提示・1 |
・研究方法について、アプローチの仕方を提示し、ディスカッションすることができる。
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3週 |
研究方法の提示・2 |
・研究方法について、アプローチの仕方を提示し、ディスカッションすることができる。
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4週 |
資料別各論・1概論 装丁の種類と史的変遷 |
・装丁の種類と史的変遷を知る。 ・レプリカを扱って、装丁に関する課題①に取り組む。装丁の特性を正しく認識することができる。
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5週 |
資料別各論・1概論 料紙の種類と資料との関係 |
・料紙の種類と資料との関係を学ぶ。 ・実際に継色紙のサンプルを手に取って、その構成を観察し、図示することができる(課題②)
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6週 |
資料別各論・2絵巻物 絵巻物の種類と資料的価値 |
・絵巻物の種類と、資料的価値、研究対象としての諸問題を認識することができる。
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7週 |
資料別各論・2絵巻物 絵巻物を対象とした研究の可能性 |
・絵巻物を研究の対象とした場合のアプローチの方法を提示することができる(課題③)。
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8週 |
資料別各論・3古辞書(漢字字典類) |
漢字字典に属する古辞書の特徴を学び、解読することができる。 ・次週の課題の準備をする。漢和辞典を用いて検索することができる。
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2ndQ |
9週 |
資料別各論・3古辞書(漢字字典類) |
・観智院本類聚名義抄本を用いて課題④に取り組む。古辞書を解読することができる。
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10週 |
資料別各論・3古辞書(国語辞典類) |
・国語辞典に属する古辞書を解読することができる。
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11週 |
資料別各論・3古辞書(百科事典ほか) |
・百科事典に関する古辞書を解読することができる。 ・辞書の特性と語彙の配列に注目して、課題⑤を完成させることができる。 ・次回の予習として、百人一首を題材に事前に学習の準備を行う。
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12週 |
資料別各論・4歌集、歌合、歌論 歌論の資料的価値と研究の可能性 |
・歌集、歌合、歌論の関係を学び、代表的な歌合を認識することができる。 ・課題⑥として百人一首に関する発表を行い、レポートにまとめることができる。
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13週 |
資料別各論・4歌集、歌合、歌論 歌集の資料的価値 |
・前回に引き続き課題⑥を発表し、レポートにまとめることができる。 ・藤原俊成・定家父子の功績を学ぶ。 ・課題⑦の準備として、評価される歌語の組み合わせ考える。
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14週 |
資料別各論・4歌集、歌合、歌論 歌論と評価される和歌との関係 |
・課題⑦として、評価される歌語の組み合わせを発表し、相互評価することができる。
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15週 |
資料別各論・5角筆文献 資料の扱い方と調査の方法 |
・課題⑧として和装本の調書を作成する。 ・最終課題⑨としてこれまでの知見の成果をレポートとしてまとめることができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 国語 | 国語 | 論理的な文章を読み、論理の構成や展開の把握にもとづいて論旨を客観的に理解し、要約し、意見を表すことができる。また、論理的な文章の代表的構成法を理解できる。 | 4 | |
代表的な文学作品を読み、人物・情景・心情の描写ならびに描写意図などを理解して味わうとともに、その効果について説明できる。 | 4 | |
文章を客観的に理解し、人間・社会・自然などについて考えを深め、広げることができる。 | 4 | |
文学作品について、鑑賞の方法を理解できる。また、代表的な文学作品について、日本文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。 | 4 | |
鑑賞にもとづく批評的な文章の執筆や文学的な文章(詩歌、小説など)の創作をとおして、感受性を培うことができる。 | 4 | |
読書習慣の形成をとおして感受性を培い、新たな言葉やものの見方を習得して自らの表現の向上に生かすことができる。 | 4 | |
現代日本語の運用、語句の意味、常用漢字、熟語の構成、ことわざ、慣用句、同音同訓異義語、単位呼称、対義語と類義語等の基礎的知識についての理解を深め、その特徴を把握できる。また、それらの知識を適切に活用して表現できる。 | 4 | |
代表的な古文・漢文を読み、言葉や表現方法の特徴をふまえて人物・情景などを理解し、人間・社会・自然などについて考えを深めたり広げたりすることができる。 | 4 | |
古文・漢文について、音読・朗読もしくは暗唱することにより、特有のリズムや韻などを味わうことができる。 | 4 | |
代表的な古文・漢文について、日本文学史および中国文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。また、それらに親しもうとすることができる。 | 4 | |
教材として取り上げた作品について、用いられている言葉の現代の言葉とのつながりや、時代背景などに関する古文・漢文の基礎的知識を習得できる。 | 4 | |
情報の収集や発想・選択・構成の方法を理解し、論理構成や口頭によるものを含む表現方法を工夫して、科学技術等に関する自らの意見や考えを効果的に伝えることができる。また、信頼性を重視して情報を分析し、図表等を適切に活用・加工してコミュニケーションに生かすことができる。 | 4 | |
他者の口頭によるものを含む表現について、客観的に評価するとともに建設的に助言し、多角的な理解力、柔軟な発想・思考力の涵養に努めるとともに、自己の表現の向上に資することができる。 | 4 | |
相手の意見を理解して要約し、他者の視点を尊重しつつ、建設的かつ論理的に自らの考えを構築し、合意形成にむけて口頭によるコミュニケーションをとることができる。また、自らのコミュニケーションスキルを改善する方法を習得できる。 | 4 | |
社会で使用される言葉を始め広く日本語を習得し、その意味や用法を理解できる。また、それらを適切に用い、社会的コミュニケーションとして実践できる。 | 4 | |