到達目標
1.社会政策に関心を持ち、社会政策を構成する様々な学問領域を横断的に理解する。
2.社会政策が必要とされてきた歴史的背景とその課題を理解し、今後の社会に必要な社会政策を考察できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持ち、きちんと自身の意見を持ち、また、行動しようとしている。 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持っている。 | 現代社会における諸問題に対し、当事者意識を持っていない。 |
評価項目2 | 学習した事項について十分な知識を有している。 | 学習した事項についてひととおりの知識を有している。 | 学習した事項についての知識が不十分である。 |
評価項目3 | 現代社会における諸問題に対する客観的なデータ分析の能力を十分身に着けている。 | 現代社会における諸問題に対してある程度のデータ分析能力を身に着けている。 | 現代社会における諸問題に対して分析能力を持たない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
福祉国家・社会保障の問題群は、マクロな全体像を構成する場合であれ、個別の制度構想を描く場合であれ、思想的・理念的な思考を要する課題である。また、福祉国家の再編成が迫られている現在のような時代であるからこそ、そもそも福祉国家を支える根本的な理念とは何であるのかを検討しなおし、新たに福祉国家・社会保障を支える理念の全体像や、そこから導きだされる制度の展望について描くことが求められている。本講義では、福祉国家・社会保障の発展の経緯について振り返り、理念的・歴史的な視点から検討するとともに、将来的な制度展望を論じる。
授業の進め方・方法:
・教科書の購入が必須である(中古可)
・教科書を参加者で順に輪読していく形式の授業である。参加者は担当する章を授業中に報告すること。また、報告日でない場合は予習をして授業日に積極的に発言すること。
注意点:
・参加者の人数や理解度に応じて授業内容や進行速度は変更する可能性がある。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
この授業の到達目標、履修上の注意点、評価方法などについて説明できる。
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2週 |
1.社会保障の理念をめぐって |
既存の福祉国家のもとでの社会保障の問題点とそれに代わる社会保障の理念を考察できる。
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3週 |
2.社会的なものの歴史 |
19世紀から20世紀前半のヨーロッパ諸国と日本を取り上げ、伝統的救貧行政、近代市民社会、そして「社会」の発見から福祉国家への形成へという三段階にわけて理解し、比較思想史に基づいた説明ができる。
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4週 |
3.ヨーロッパ福祉国家の現在とゆくえ |
相対的に福祉国家の発展したヨーロッパにおいても、イギリス、大陸諸国、北欧諸国の間では大きな違いを抱えている。このような違いが産まれた理由について説明できる。
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5週 |
4.日本型福祉レジーム論をめぐる対話 |
日本はしばしば「日本型福祉国家」というかたちでその特殊性と由来が大きな論点となるとともに、ヨーロッパ諸国を対象の中心として形成されたレジーム類型論のどこに位置付けるかが問題になってきた。近代の欧米における日本福祉国家研究を批判的に検討しながら、日本に関する福祉レジーム分析を行う意義を説明できる。
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6週 |
5.アメリカ福祉国家の理念的展開 |
アメリカは「福祉国家」と呼ばれることは少ないが、一つの社会保障レジームとして独自の携帯を持つ。その中でも貧困対策について、コミュニティの性格と労働市場への参加の形態について説明できる。
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7週 |
中間試験 |
これまで学習したことを復習し、理解の程度を確認する。
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8週 |
試験返却
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試験結果を踏まえ、より深く内容を理解できる。
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2ndQ |
9週 |
6.社会保障の再編構想と新しい争点 |
「二十世紀型福祉国家」の行き詰まりの原因をおさえ、ワークフェア、アクティベーション、ベーシックインカム、ライフ・ポリティクスなどの展開を理解し、他国と日本における現状と展望を説明できる。
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10週 |
7.福祉国家財政の基本理念と構想 |
制度構想を語る際、避けられない課題の一つが財源の問題である。財政の観点から考える場合、最も重要な論点は「どのように福祉国家は正当性を確保するのか」であり、そのカギは再分配と課税における「公平性」である。政府活動の有する公共性への疑念と、その正当性を再構築する議論について説明できる。
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11週 |
8.年金制度改革 |
年金改革は日本だけでなく先進諸国が共通して直面する課題である。改革の類型を「パラダイムシフトタイプ」と「パラメトリックタイプ」に整理し、先進諸国における改革の方向性を説明できる。
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12週 |
9.ワーク・ライフ・バランス |
日本は、制度的にはワークライフバランスへとむけた試みは進みつつあるが、その効果は十分上がっていない。欧州、特にオランダとの比較の中で、長時間労働の規制と非正規雇用労働者の待遇改善が課題であることを説明できる。
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13週 |
10.社会的排除からみた若者の現在 |
「フリーター」や「ニート」など、近年の若者の社会的地位は不安定である。これらの問題郡を、教育・雇用・社会保障にまたがる「社会的リスク」としてとらえ、イギリスなどの例を参考に「社会的排除」として説明できる。
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14週 |
11.「ホームの喪失」と福祉国家 |
「ネットカフェ難民」などの形で表出している「ホームの喪失」の状況に注目し、日本における住宅保証政策を検討できる。
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15週 |
期末試験 |
これまで学習したことを復習し、理解の程度を確認する。
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16週 |
返却 |
試験結果を踏まえ、より深く内容を理解できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 態度 | 相互評価 | ポートフォリオ | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 40 | 40 | 20 | 0 | 0 | 100 |