環境化学

科目基礎情報

学校 鳥羽商船高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 環境化学
科目番号 0040 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 役にたつ化学シリーズ9 地球環境の化学 村橋俊一・戸嶋直樹・安保正一編  (朝倉書房) ISBN-10 4254255993 ISBN-13 9784254255997
担当教員 澤田 圭樹

到達目標

 「環境化学」とは人間活動が生むさまざまな環境問題に立ち向かうサイエンスで対象は広いが,どのような学問かの定義は曖昧である。しかし人間が生きていくうえで最も大切な学問になりつつあることは確かである。環境問題を批判的に捉えるのではなく,問題を科学的にしっかりと把握し,環境問題に対する的確な判断と評価能力を身につけるための「環境化学」の基礎知識を得ることを目的とする。その結果として環境問題に対する最善の解決方法を考え,建設的に対応する基礎力を付けるとともに,社会に貢献し,日本の活力を生み出す人材へと成長することを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
科学的概念について化学と人間生活の関わりについて,科学的概念や化学の法則などを用いて説明できる。化学と人間生活の関わりについて,用語や概念の誘導をされると説明ができる。化学と人間生活の関わりについて,説明できない。
環境問題の科学的捕捉について環境問題を批判的に捉えるだけでなく科学的に把握するのに十分な環境化学の基礎知識を得ている。科学的に把握するのに必要な,最低限の環境化学の基礎知識を得ている。科学的に把握するのに必要な,環境化学の基礎知識を得ていない。
環境問題の解決について環境問題に対する最善の解決方法を考え,建設的に対応する基礎力を付けている。環境問題に対するいくつかの解決方法を考えるための基礎力を付けている。環境問題に対する解決方法を考えるための基礎力を付けていない。

学科の到達目標項目との関係

教育目標 A1 説明 閉じる
教育目標 B1 説明 閉じる
教育目標 B2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
指定教科書を用いて講義し,時間内に学んだ内容や問題についてまとめる。
授業の進め方・方法:
試験: 期末試験のみを実施する,中間試験は実施しない。
ポートフォリオ: 授業中に指示された宿題や課題の提出等で確認する。
注意点:
学習上の留意点
・自然の事物・現象に関することを題材にして,基本的な概念,原理,法則を理解するよう務めること。
・欠席や遅刻,従業への集中度が著しく低い場合は,総合点より大きく減点する。
・学習事項の練習問題・発展問題などを適宜課題とする。また,既習事項の確認のため小テストを課すことがある。
・提出物やその他課題についてはそれぞれの指示に従い,提出期限を厳守すること。
・授業中に他人に危害を加えたり,授業の妨害を行ったりした場合は単位を習得できない。
関連する科目
・高等専門学校本科課程の化学系,生物系科目全般を履修済みであることが望ましい。
学習上の助言
・教科書や副教材などを用いて,復習を中心とした自学自習を行なうこと。

2022年 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により,状況を鑑みて授業形態を遠隔授業等に適宜変更する。
また,試験についても実施方法を変更する場合があるので,授業時の指示に従うこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 環境化学とは 科学的思考方法について理解している。
2週 1 地球大気環境問題
1.1 成層圏オゾン
1.2 地球温暖化
成層圏オゾンの生成機構を知っている。
地球温暖化の現象を科学的に説明できる。
温暖化防止の必要性について説明できる。
3週 1.3 オキシダント増加 光化学オキシダントの構成物質とその生成について知っている。
オゾン層が地球環境に与える影響を理解している。
4週 2 水圏の環境
2.1 水資源 
2.2 水の浄化 
地球上の水の分布量を環境問題に絡めて説明ができる。
水の浄化システムや技術について説明ができる。
5週 2.3 湖沼・湿地・河川・地下水 
2.4 水圏と地球温暖化 
各水圏の水資源の固有の問題を知っている。
温室効果を地球規模の水循環に関連させて説明することができる。
6週 3 土壌圏の環境
3.1 土壌圏の環境と汚染 
3.2 食料と肥料 
土壌の汚染にさまざまな化学物質が関係していることを知っている。
人間の食料生産・循環などの経済活動が地球環境に強く影響していることを説明できる。
7週 3.3 食料生産と農薬 
3.4 農薬の行方と安全性 
さまざまな農薬が土壌に与える影響を知っている。
農薬の毒性や安全性について科学的に説明することができる。
8週 4 生物圏の環境
4.1 環境分析と精度管理 
4.2 化学物質のヒトの健康への影響 
4.3 化学物質の環境生物への影響 
生物モニタリングをつかった化学物質による汚染を対象とした環境分析について知っている。
化学物質のヒトや生物に対する安全性の評価方法について説明ができる。
2ndQ
9週 4.4 ダイオキシン類 
4.5 外因性内分泌撹乱物質 
4.6 化学物質のリスクアセスメント 
ダイオキシン類の問題点とその歴史を知っている。
いくつかの環境ホルモンについて,その影響の例を説明できる。
リスクアセスメントの実際について,具体例を知っている。
10週 5 化学物質総合管理
5.1 化学物質管理の社会的仕組み 
5.2 化学物質総合管理の基本的考え方と方法 
5.3 化学物質総合管理を支える法律体系 
化学物質総合管理について,リスク・ハザードの評価や情報管理の観点から説明することができる。
化学物質総合管理について,リスク管理・低減の方法やその法律体系を知っている。
11週 6 グリーンケミストリー
6.1 グリーンケミストリーとは何か 
6.2 グリーンケミストリーの基本的な考え方 
6.3 グリーンケミストリーの根幹をなす入り口処理とアトム・エコノミー 
グリーンケミストリーとは何かを,人間活動と環境の観点から説明ができる。
アトム・エコノミーの考え方を説明でき,クリーン度の評価方法やその反応例を知っている。
12週 6.4 化学合成に関するグリーンケミストリー 
6.5 化学製品および化学事故とグリーンケミストリー 
化学物質をめぐる環境問題で,人間や環境を守るために考えなければならない具体例をいくつかあげられる。
13週 7 廃棄物とリサイクル
7.1 廃棄物の処理・処分の状況と課題 
7.2 循環型社会形成のための法体系 
廃棄物の処理・処分の状況と課題について説明ができる。
廃棄物処理に関する法体系について説明ができる。
14週 7.3 プラスチック廃棄物 
7.4 プラスチック廃棄物のリサイクル技術 
7.5 生分解性プラスチック 
7.6 リサイクル技術の選択 
主なプラスチック廃棄物とその処理法やリサイクル技術について説明することができる。
いくつかのリサイクル技術について,それぞれの利点と問題点を知っている。
15週 定期試験
16週 試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。4
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。4
物質が原子からできていることを説明できる。4
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4
純物質と混合物の区別が説明できる。4
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。4
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。4
水の状態変化が説明できる。4
物質の三態とその状態変化を説明できる。4
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。4
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。4
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。4
同位体について説明できる。4
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。4
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。4
価電子の働きについて説明できる。4
原子のイオン化について説明できる。4
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。4
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。4
イオン式とイオンの名称を説明できる。4
イオン結合について説明できる。4
イオン結合性物質の性質を説明できる。4
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。4
共有結合について説明できる。4
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。4
金属の性質を説明できる。4
原子の相対質量が説明できる。4
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。4
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。4
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4
気体の体積と物質量の関係を説明できる。4
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。4
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。4
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。4
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。4
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。4
酸化還元反応について説明できる。4
イオン化傾向について説明できる。4
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。4
ダニエル電池についてその反応を説明できる。4
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。4
一次電池の種類を説明できる。4
二次電池の種類を説明できる。4
電気分解反応を説明できる。4
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。4
ファラデーの法則による計算ができる。4
ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。4
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。4
陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。4
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。4
マグマの生成と火山活動を説明できる。4
地震の発生と断層運動について説明できる。4
地球科学を支えるプレートテクトニクスを説明できる。4
プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて説明できる。4
地球上の生物の多様性について説明できる。4
生物の共通性と進化の関係について説明できる。4
生物に共通する性質について説明できる。4
大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。4
大気の熱収支を理解し、大気の運動を説明できる。4
大気の大循環を理解し、大気中の風の流れなどの気象現象を説明できる。4
海水の運動を理解し、潮流、高潮、津波などを説明できる。4
植生の遷移について説明でき、そのしくみについて説明できる。4
世界のバイオームとその分布について説明できる。4
日本のバイオームの水平分布、垂直分布について説明できる。4
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。4
生態ピラミッドについて説明できる。4
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。4
熱帯林の減少と生物多様性の喪失について説明できる。4
有害物質の生物濃縮について説明できる。4
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。4
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。4
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。4
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。4
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50000500100
基礎的能力50000500100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000