機械工学実習は,機械技術者にとって重要な機械加工およびメカトロニクスの基礎を実際に体験し,その経験をもとに機械工学での授業とともに実社会での生産技術および研究・開発の各分野において活用することを目的とする.
概要:
機械工作実習は,機械技術者にとって重要なものづくりを実際に体験し,その経験をもとに機械工学での授業とともに実社会での生産技術および研究・開発の各分野において活用することを目的とする.
授業の進め方・方法:
・本科目の内容は,すべて学習・教育到達目標(B)<専門>に相当する.
・「授業計画」における「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
・クラスを3グループ(6班)に分け,それぞれの班が以下の1~7のテーマを実施することで,機械加工およびメカトロニクスの基礎的な知識と作業スキルを習得する.ただし,第1週目は,クラス全体での機械工作実習における目標と心構え,災害防止と安全確保のためにすべきこと,作業日誌の作成方法などの学習を行う.
1. 家電分解:さまざまな家電製品を分解,内部構造や構成部品を実際に手に取って理解する.
2. ワンボードマイコン演習:Arduino演習キットを用いてワンボードマイコンの仕組みと能力の基礎を学ぶ.
3. 産業用ロボット演習:実際の産業用ロボットの操作と基礎的なプログラミングを学ぶ.
4. 三次元CAD:三次元CADの概念とSOLIDWORKSの基礎的な操作方法を理解する.
5. モーターを用いた工作:スイッチで正転/逆転する回路を半田付けしてモーター制御の基礎を学ぶ.
6. NC加工:NCフライスを用いたNC加工を行うことにより,NC加工機の言語,構造と原理など習得する.
7.機械加工実習:旋盤,ボール盤,フライス盤を用いた応用課題を行う.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
授業計画における「到達目標」1~11について実習報告書の内容により評価する.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>
実習報告書の内容を100%(100点)として評価する. 実習報告書の未提出分がある場合には,学年末評価を59点以下とする.
<単位修得要件>
与えられた実習テーマの報告書を全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
テキストおよび機械工作の教科書で勉強しておくこと.
<レポート等>
毎週の実習内容を報告書にまとめ提出する.疑問点,参考書で調べた内容を記述する.
<備考>
最初の時間に行う実習に対する安全教育の講義を理解しておくこと.対象が工学全分野にわたるため,積極的な取り組みを期待する.疑問が生じたら直ちに質問すること.本教科は後に学ぶ「総合実習」,「メカトロニクス演習」,「創造工学」の基礎となる教科である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス:安全講習,授業目的・計画・テーマ説明 家電分解(1):身近な家電製品を自分の手で徹底的に分解 |
1.安全に実習を行うための注意事項を結果と対策含めて理解する.
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2週 |
家電分解(2):各製品の仕組みや特徴的な部品をよく観察する |
2.基礎的な工具を用いて安全確実に機械を分解する技術を習得する. 3.家電製品の機能と仕組みの関係を理解する.
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3週 |
3グループ(6班)に分かれて4週単位で以下のテーマを実施する 1A.ワンボードマイコン演習:Arduino演習キットを用いた実習 |
3.ワインボードマイコンの概念,機能,性能,開発環境を理解し,説明できる.
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4週 |
1B.産業用ロボット演習:手動操縦および教示操作 |
4.6軸垂直多関節ロボットの構成,操作方法とプログラミングを理解して一人でも操作できる.
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5週 |
1C.SOLIDWORKS入門(1):基本的な操作方法 |
5.三次元CADの概念,SOLIDWORKSの基本操作(部品,アッセンブリーの作成,合致)をマスターし,簡単なモデルならば一人で作成できる.
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6週 |
1C.SOLIDWORKS入門(2):チュートリアルの実施 |
上記5に同じ
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7週 |
2A.リモコン操縦ロボットの製作(1):原理説明,レーザー加工 |
6.SOLIDWORKSのデータをDXF形式に変換してレーザー加工機で加工するまでの手順を理解する.
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8週 |
2A.リモコン操縦ロボットの製作(2):組み立て,はんだ付け,動作確認 |
7.DCモーターをトグルスイッチで正転/逆転する電気配線を理解し,半田コテを用いて電気配線できる.
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4thQ |
9週 |
2B.NCフライス演習と5軸マシニングセンター体験 |
8.NC加工:NC旋盤やワイヤー放電加工機等の特徴や種類や原理、プログラミングの流れを理解することができる。また,与えられた課題に対するNCプログラムを完成させ,そのプログラムを加工機に読み込ませ,実際に加工作業ができる.
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10週 |
2B.NCフライス演習(続き) |
上記8に同じ
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11週 |
3.機械加工実習(1):旋盤,ボール盤,フライス盤の操作方法の確認 |
9.旋盤,ボール盤,フライス盤の操作方法と安全に使用するための注意点を理解し,説明できる.
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12週 |
3.機械加工実習(2):寸法測定工具の使用方法の確認 |
10.ノギス,マイクロメーターの副尺を用いた計測値の読み取りをマスターし,正確に測定できる.
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13週 |
3.機械加工実習(3):課題の製作 |
11.与えられた課題に対して,定められた手順にしたがって所定の工作機械を用いた加工を順次行うことができる.
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14週 |
3.機械加工実習(4):課題の製作続き |
上記11に同じ
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15週 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 1 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 1 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 2 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 2 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 2 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 2 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 2 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 2 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 2 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 図面の役割と種類を適用できる。 | 3 | |
製図用具を正しく使うことができる。 | 3 | |
線の種類と用途を説明できる。 | 3 | |
物体の投影図を正確にかくことができる。 | 3 | |
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 3 | |
部品のスケッチ図を書くことができる。 | 3 | |
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。 | 2 | |
工作 | 切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。 | 3 | |
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
切削工具材料の条件と種類を説明できる。 | 1 | |
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。 | 2 | |
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。 | 2 | |
計測制御 | 計測の定義と種類を説明できる。 | 3 | |
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。 | 2 | |
自動制御の定義と種類を説明できる。 | 1 | |
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。 | 1 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 機械系分野【実験・実習能力】 | 機械系【実験実習】 | 実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。 | 3 | |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。 | 3 | |
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。 | 3 | |
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。 | 3 | |
やすりを用いて平面仕上げができる。 | 3 | |
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。 | 3 | |
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。 | 3 | |
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。 | 3 | |
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。 | 3 | |
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。 | 4 | |
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。 | 4 | |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。 | 3 | |
分野横断的能力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 2 | |