微分積分Ⅱ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 微分積分Ⅱ
科目番号 0057 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 教科書:高専の数学3(森北出版),問題集:新編高専の数学3問題集(森北出版)ドリルと演習シリーズ微分積分(電気書院),参考書:スチュワート微分積分学Ⅰ,Ⅱ(東京化学同人)
担当教員 伊藤 清

到達目標

1変数および2変数関数の微分積分法に関する基礎的概念・計算方法を習得し,関数の挙動の把握や求積問題,2変数関数の偏微分法や2重積分等の重要な問題に対して,様々な定理や計算方法を応用することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微分積分Ⅰで学習した微分・積分に関する応用的な問題を解くことができる.微分積分Ⅰで学習した微分・積分に関する基本的な問題を解くことができる.微分積分Ⅰで学習した微分・積分に関する基本的な問題を解くことができない.
評価項目2多変数関数の偏微分・全微分の概念を理解し、関連する応用的な問題を解くことができる.多変関数の偏微分・全微分の概念を理解し、関連する基本的な問題を解くことができる.偏微分・全微分の考え方を理解しておらず、関連する基本的な問題を解くことができない.
評価項目3関数のテイラー展開および近似値等へのその応用に関する発展的な問題を解くことができる.関数のテイラー展開および近似値等へのその応用に関する基本的な問題を解くことができる.関数のテイラー展開および近似値等へのその応用に関する基本的な問題を解くことができない.
評価項目4リーマン和の極限としての定積分の定義・微積分法の基本定理について理解し、関連する応用的な問題を解くことができる.リーマン和の極限としての定積分の定義・微積分の基本定理について理解し、関連する基本的な問題を解くことができなる.定積分の定義や、微分と積分の関係が理解・定着しておらず、関連する基本的な問題を解くことができない.
評価項目52重積分に関する応用的な問題を解くことができる.2重積分に関する基本的な問題を解くことができる.2重積分に関する基本的な問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
微分積分学は自然科学や工学の学習の根幹をなす重要な学問である.まず微分積分Ⅰの内容に引き続き,1変数の2回導関数・高階導関数を利用した様々な応用について学び,さらに積分についても発展的な内容を扱う.また多変数の微分積分法について,偏微分,全微分,重積分などの基礎的な考え方と応用について学習する.
授業の進め方・方法:
すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>及びに対応する.
演習の時間には手計算だけでなく数式処理ソフトの使用による計算および描画を含む.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」よりなる問題を中間試験および定期試験で出題し,目標の達成度を評価する. <学業成績の評価方法および評価基準> 前期末・後期中間・学年末試験を2:1:1の割合で平均した点を70%,小テストの成績や課題などを30%として評価する.ただし,前期末・後期中間・学年末試験の各試験で60点に達していない者には再試験を課し,再試験の成績が試験の成績を上回った場合には,60点を上限として再試験の成績に置き換える.
<単位修得要件> 学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本教科は微分積分ⅠとⅡ,線形代数ⅠとⅡの学習が基礎となる教科である.
<レポート等> 休業中の宿題のほか,授業中にも適宜小テスト・課題を課す.
<備項> 疑問点は授業中・授業後に質問するなどして,十分に理解してから次の授業に臨むこと.授業中の演習時間だけでは十分な時間が確保できないので,授業時間以外の時間において教科書・問題集などの多くの問題を解くように努力すること.本教科は後に学習する数学特講Ⅰ,Ⅱや応用数学Ⅰの基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微分積分Iで学んだ微分法の復習,及び極値の判定条件 1.微分積分Ⅰで既習の微分・積分の計算が確実に出来る.
2.微分法を用いて,関数が極大・極小を取るかが判定できる.
2週 第2次導関数と曲線の凹凸,増減表への応用 3.第2次導関数を用いて,グラフの凹凸を調べ正確な概形が描ける.
3週 逆関数とその導関数,逆三角関数とその導関数 4.逆三角関数とその導関数について理解し,基本的な計算ができる.
4週 曲線の媒介変数表示とその導関数 5.曲線の媒介変数表示とその導関数について理解し,基本的な計算ができる.
5週 極座標表示と曲線 6.極座標表示と曲線について理解し,基本的な計算ができる.
6週 ロルの定理と平均値の定理 7.ロルの定理と平均値の意味を把握している.
7週 ロピタルの定理,不定形の極限値 8.ロピタルの定理について理解し,不定形の極限の計算に利用できる.
8週 数式処理ソフトの利用 上記1.~8.
2ndQ
9週 べき級数と収束半径,高次導関数 9.べき級数と収束半径について理解している.
10.高次導関数の計算が行える.
10週 テイラーの定理と近似式 11.テイラーの定理の意味と近似式への応用を理解し,計算ができる.
11週 マクローリン展開 12.マクローリン展開を利用し,基本的な関数の展開式が求め,これを利用して近似値の計算と誤差の評価ができる.
12週 マクローリン展開を用いた近似値と誤差の評価 上記12.
13週 2年生で学んだ積分の復習,無理関数の積分 13.無理関数の積分ができる.
上記1.
14週 分数関数の積分 14.分数関数の積分の計算ができる.
15週 三角関数の積分 15.三角関数の積分の計算ができる.
16週
後期
3rdQ
1週 定積分の定義と性質,区分求積法 16.定積分の定義と性質を理解し,区分求積法にそれを応用できる.
2週 図形の面積 17.図形の面積の計算を,積分法を用いて行える.
3週 回転体の体積と曲線の長さ 18.回転体の体積と曲線の長さの求め方を理解し,計算ができる.
4週 広義積分 19.広義積分について理解し,基本的な計算ができる.
5週 2変数関数のグラフと極限値 20.2変数関数の意味とグラフを理解し,極限値の計算ができる.
6週 偏導関数,高次偏導関数 21.2変数関数の導関数の概念を理解し,高次偏導関数の計算ができる.
7週 合成関数の微分公式, 全微分と接平面の方程式 22.2変数関数の合成関数や全微分を理解し,応用もできる.
8週 中間試験 上記1.16.~22.
4thQ
9週 2変数関数の極値,Hessian 23.2変数関数の極値を理解し,Hessianを利用して極致を求めることができる.
10週 陰関数定理,Lagrange の乗数法 24.陰関数定理,Lagrange の乗数法を理解し,条件付き極値の計算ができる.
11週 重積分の定義  25.重積分の定義と意味を理解し,重積分を累次積分を利用して計算できる.
12週 重積分と累次積分 上記25.
13週 積分の順序変更と体積計算 26.積分順序の変更を利用できる。
27.重積分を用いて体積の計算ができる.
14週 極座標による重積分 28.極座標を用いた重積分を理解し,基本的な計算ができる.
15週 変数変換と Jacobian 29.変数変換と Jacobianの意味を理解し,基本的な計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3

評価割合

試験課題・宿題合計
総合評価割合7030100
配点7030100