水力学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 水力学
科目番号 0070 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:JSMEテキストシリーズ「演習 流体力学」,日本機械学会(丸善),参考書:学生と技術者のための「水力学問題演習」北川・香川監修(パワー社)
担当教員 近藤 邦和

到達目標

静止流体の力学,流体運動の基礎方程式(連続の式,ベルヌーイの式),運動量の法則,次元解析と相似則,管内の流れと損失,および物体に働く抗力・揚力について理解し,それを問題に応用することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1静止流体の力学(全圧力,圧力の中心,浮力,相対的平衡)について理解し,応用問題を解くことができる.静止流体の力学(全圧力,圧力の中心,浮力,相対的平衡)について理解し,基本的な問題を解くことができる.静止流体の力学(全圧力,圧力の中心,浮力,相対的平衡)について理解できていない.
評価項目2流れの状態および流体運動の基礎方程式(連続の式,ベルヌーイの定理)について理解し,応用問題を解くことができる.流れの状態および流体運動の基礎方程式(連続の式,ベルヌーイの定理)について理解し,基本的な問題を解くことができる.流れの状態および流体運動の基礎方程式(連続の式,ベルヌーイの定理)について理解できていない.
評価項目3運動量の法則,次元解析,相似則および無次元パラメータについて理解し,応用問題を解くことができる.運動量の法則,次元解析,相似則および無次元パラメータについて理解し,基本的な問題を解くことができる.運動量の法則,次元解析,相似則および無次元パラメータについて理解できていない.
評価項目4管内の流れと損失,および物体に働く抗力・揚力について理解し,応用問題を解くことができる.管内の流れと損失,および物体に働く抗力・揚力について理解し,基本的な問題を解くことができる.管内の流れと損失,および物体に働く抗力・揚力について理解できていない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
流体工学への導入として,主に実験結果に基づいて現象を解明しようとする「水力学」について学習する.物質の流動現象は,いまだもって全てを理論的に解くことは不可能であり,実験的事実からの解析が重要な部分を占めている.この意味で,機器の設計・製作・試験において必要となる「水力学」の基礎知識と考え方を習得する.
授業の進め方・方法:
・授業の第1週の内容は学習・教育到達目標(A) <視野>およびJABEE基準1(2)(a),<技術者倫理>およびJABEE基準1(2)(b)であり,その他の週の内容はすべて学習・教育到達目標(B)<専門>に相当する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~14を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験および演習課題で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね均等とするが,流体運動の基礎方程式を重ねて問うこともある.問題のレベルは編入学試験問題と同等である.評価結果が百点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期中間,前期末,後期中間,学年末の4回の試験の平均点を80%,小テスト(演習を含む)の得点を20%として評価する.ただし,前期中間・前期末・後期中間のそれぞれの評価で60点に達していない者で平均点の半分以上を取得した者については再試験を行う場合がある..実施する場合は,再試験の成績が再試験の対象となった試験の成績を上回った際には,60点を上限としてそれぞれの期間の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.学年末試験については再試験を行わない.
<単位修得要件>
演習等の提出物をすべて提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 
本教科は第3学年の「熱・流体工学基礎(水力学)」の学習が基礎となる教科である.
<備考> 
授業は,基本的に各事項について '講義と演習' という形態をとって進めるので,演習を通じて,その都度理解するよう心がけること. また,本教科は第5学年で学習する「流体工学」に強く関連する教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 産業界における流体工学の位置付けと歴史 産業界における流体工学の位置付けと歴史について理解できる.
2週 第3学年「熱・流体工学基礎(水力学)」の復習および演習(粘性,表面張力,液柱圧力計) 第3学年「熱・流体工学基礎(水力学)」の復習および演習(粘性,表面張力,液柱圧力計)の理解を確認できる.
3週 静水力学(面に働く静止流体力) 1.平面に働く静止流体力(全圧力)と圧力の中心ついて理解し,それを問題に応用することができる.
4週 静水力学(圧力の中心) 上記1.
5週 静水力学(二次元曲面に働く力) 2.二次元曲面に働く静止流体力(全圧力)ついて理解し,それを問題に応用することができる
6週 静水力学(浮力) 3.流体中の物体にはたらく浮力ついて理解し,それを問題に応用することができる.
7週 静水力学(相対的静止) 4.相対的平衡について理解し,それを問題に応用することができる.
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 前期中間試験の解答および試験範囲の総復習 前期中間試験の問題について理解できる.
10週 流体運動の基礎(流れの状態) 5.流体運動の基礎(流れの状態)について理解できる.
7.レイノルズの実験,レイノルズ平均,レイノルズ応力について理解している.
11週 連続の式(質量保存則) 6.連続の式,ベルヌーイの定理について理解し,それを問題に応用することができる.
12週 ベルヌーイの定理(エネルギー保存則) 上記6.
13週 ベルヌーイの定理の応用 上記6.
14週 損失および外部とのエネルギーの授受を考慮した場合のベルヌーイの定理 上記6.
15週 前期範囲のまとめ・解説 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
16週
後期
3rdQ
1週 運動量の法則 8.運動量の法則について理解し,それを流体が管壁などの物体に及ぼす力の問題に応用することができる.
2週 運動量の法則の応用 上記8.
3週 次元解析(バッキンガムのπ定理) 9.π定理を用いて,流れ場に関連する物理量から無次元パラメータ(πナンバー)を求めることついて理解し,それを問題に応用することができる.
4週 次元解析の演習 上記9.
5週 相似則 10.相似則および流体工学で取り扱う無次元パラメータについて理解している.
6週 相似則の演習 上記10.
7週 管内の流れ(管摩擦損失,管摩擦係数)
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 後期中間試験の解答および試験範囲の総復習
11.円管内の層流に関するハーゲン・ポアズイユの法則について理解している.
10週 円管内の層流(速度分布,圧力損失) 12.円管流の圧力損失に関するダルシー・ワイスバッハの式について理解し,それを問題に応用することができる.
11週 円管内の乱流(速度分布,圧力損失) 上記12.
12週 粗い管,ムーディ線図 13.ムーディ線図を用いて管摩擦係数を見積もることについて理解し,それを問題に応用することができる.
13週 管路系(拡大・縮小管,絞り,エルボ,ベンドなど) 14.管路系全体の総損失を計算することについて理解し,それを問題に応用することができる
14週 管路の総損失および動力 上記14.
15週 物体にはたらく流体力(抗力と揚力) 15.物体に働く抗力と揚力について理解し,式を用いて計算することができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
配点8020100