技術者倫理入門

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 技術者倫理入門
科目番号 0073 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考図書:小出泰士『JABEE対応 技術者倫理入門』丸善 2010年。その他授業中適宜指示する。
担当教員 松岡 信之

到達目標

技術者としての責任ある行動について考え、実践するために、以下の事項について理解し、具体例に即して考えることができることを目標とする。
① 工学や科学技術が人々や社会に対してどのように貢献してきたのかについて理解し、説明することができる。
② 地域社会、わが国及び国際社会が直面している問題や実現すべき課題について理解し、説明することができる。
③ 専門職としての技術者に要求される責任や、人々や社会に対して担いうる役割について理解し、説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1工学や科学技術が人々や社会に対してどのように貢献してきたのかについて深く理解し、十分に説明することができる。工学や科学技術が人々や社会に対してどのように貢献してきたのかについて理解し、説明することができる。工学や科学技術が人々や社会に対してどのように貢献してきたのかについて理解・説明ができない。
評価項目2地域社会、わが国及び国際社会が直面している問題や実現すべき課題について深く理解し、十分に説明することができる。地域社会、わが国及び国際社会が直面している問題や実現すべき課題について理解し、説明することができる。地域社会、わが国及び国際社会が直面している問題や実現すべき課題について理解・説明できない。
評価項目3専門職としての技術者に要求される責任や、人々や社会に対して担いうる役割について深く理解し、十分に説明することができる。専門職としての技術者に要求される責任や、人々や社会に対して担いうる役割について理解し、説明することができる。専門職としての技術者に要求される責任や、人々や社会に対して担いうる役割について理解・説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
技術者として社会生活を送る上で必要となる基礎知識や技術者はどうあるべきか等について色々な角度から講義し,参加者による議論を通して理解を深める.
授業の進め方・方法:
<授業の内容>
すべての内容は学習・教育到達目標(A)の<技術者倫理>とJABEE基準1.1(b)に相当する。
・授業は前半部分を講義形式で行うので集中して聴講する。
・授業は後半部分をディスカッションや発表形式で行う。自らの考えを積極的に述べる。
・「授業計画」における各週の「到達目標」は、この授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする。
・受講生の興味、理解度によって授業計画を一部変更することがありうる。
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した中間試験と期末試験の点数と、授業への参加、発表を総合的に評価する。
<学業成績の評価方法および評価基準>中間試験と期末試験(前期開講の学科は前期末試験、後期開講の学科は学年末試験)結果と、授業中指示された課題の調査や報告の評価点を成績とする。具体的な割合については、当該項目を参照のこと。
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること。
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>「現代社会Ⅱ・Ⅲ」「歴史Ⅰ・Ⅱ」で学んだ知識が必須である。
<備考>講義を行ったあとにディスカッションや発表を行うことがある。授業で扱う事例を理解することも必要である。履修者の理解度によって授業計画を変更することがある。理由の如何を問わず、課題は必ず提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 技術者の社会的責任 1.技術者が求められる倫理、行動規範、研究倫理を、事例を通じて理解する。
2週 製造物責任① 2.安全に対する技術者の責任を、事例を通じて理解する。
3週 製造物責任② 3.製造物責任について、事例を通じて理解する。
4週 説明責任と内部告発 4.技術者に求められる説明責任と、内部告発の倫理的側面について事例を通じて理解することができる。
5週 食品安全 5.具体的な事例を通じて食品安全について理解できる。
6週 知的財産 6.技術者や企業が守るべき知的財産について、事例を通じて理解できる。
7週 最新技術と倫理 7.リスクアセスメントが困難な最新技術について、事例を通じて理解できる。
8週 中間試験 1~7.これまでの学習内容を理解し,自ら記述できる.
4thQ
9週 試験の解説、ヒューマンエラー 8.ヒューマンエラーにはそれを起こす背景があることを理解できる.
10週 製造物責任③ 9.具体的事例を深く知ることによって製造物責任を理解する。
11週 リスクマネジメント 10.想定外の事象が起きた際のリスクマネジメントについて理解する。
12週 情報技術と倫理 11.技術者とICTの関係について理解できる。
13週 異文化理解と倫理 12.文化や宗教の違いと技術者が持つべき姿勢について理解できる。
14週 環境保全と多様化 13.生産活動と環境保全、多様化について理解できる。
15週 科学技術と技術者倫理 14.科学技術が社会に与える影響について理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3
工学基礎技術者倫理技術者倫理説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
分野横断的能力基盤的資質・能力自己理解自己理解周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
創造性・デザイン能力創造性創造性工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験課題課題調査内容報告その他合計
総合評価割合7624100
配点7624100