機械力学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 機械力学
科目番号 0098 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「機械力学(新機械工学シリーズ)」麻生・谷・長南・林(朝倉書店)参考書:「機械振動学 」保坂 寛 (東京大学出版会)「機械振動学 」岩田 佳雄 (数理工学社)
担当教員 末次 正寛,白木原 香織,白井 達也

到達目標

振動現象に関する物理法則を理解し,物理法則に基づいて振動現象を解析し,振動特性を求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1振動現象に関する物理法則を応用することができる.振動現象に関する物理法則の基本を理解している.振動現象に関する物理法則を理解していない.
評価項目2応用的な物理法則に基づく振動現象の解析ができる.基本的な物理法則に基づく振動現象の解析ができる.物理法則に基づく振動現象の解析ができない.
評価項目3応用的な振動特性を求めることができる. 基本的な振動特性を求めることができる.振動特性を求めることができない.
評価項目4多自由度の運動方程式を数値解析的手法に基づいて解析できる.1自由度の運動方程式を数値解析的手法に基づいて解析できる.運動方程式を数値解析的手法に基づいて解析できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 身の回りにある複雑な機械システムを,簡単な物理モデルに変換し,それを数学的に処理する方法を学ぶ.振動現象を理解するために,主に線形の機械振動現象について.運動方程式の考え方とその解法に重点を置く.この科目は企業で航空機製造分野に従事していた教員,産業用ロボット,シーケンサー(PLC)などを用いた自動生産設備の開発を担当していた教員がその経験を活かし,解析的・数値解析的に機械システムの振動問題全般について講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義・演習形式(遠隔を含む)で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
1~26の「到達目標」を網羅した問題を,課題やレポートと期末試験(前期),中間試験と期末試験(後期)で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「到達目標」の重みは概ね均等とするが,基礎となる物理法則を重ねて問うこともある.問題のレベルは合計点の60%以上の得点で,目標の達成を確認できるように設定する.
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期は課題やレポート,期末試験によって評価する.後期は中間試験と期末試験の平均点によって評価する.最終成績は前期と後期の平均点とする.ただし,後期の中間試験においては,60点未満および平均点の1/2以上の者に対して再試験を実施する.この再試験の成績が中間試験の成績を上回った場合には,60点を上限として試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.2回の期末試験については,再試験を行わない.
<単位修得要件>
学業成績で60点以上を取得すること.
<自己学習>
授業で保証する学習時間のほか,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)に要する学習時間が必要となる.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
本教科は機械運動学や数学の学習が基礎となる教科である.力学の基礎知識と三角関数,指数関数の使い方,常微分方程式の解法等の数学知識は理解している必要がある.
<備考>
本教科は第5学年で学習する制御工学と強く関連する教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 振動現象の定義:振動数,振幅,周期,位相角 1.振動現象の重要性をみぢかな問題として認識している.
2週 振動現象と三角関数:振動の合成,加法定理 2.振動現象における,振動数,振幅,周期,位相角の概念を把握し,簡単な振動モデルにおいてそれらの値を求めることができる.
3.加法定理を用いて調和運動の和を求めることができる.
3週 ばねと質量と力:直列ばねと並列ばね,等価バネ定数・等価質量 4.直列ばねの等価ばね定数を求めることができる.
5.並列ばねの等価ばね定数を求めることができる.
4週 直線運動系と回転運動系:運動の第2法則と運動方程式 6.運動の第2法則を用いて1自由度系不減衰自由振動の運動方程式を導くことができる.
5週 運動方程式の解法:線形常微分方程式,固有振動数 7.運動の第2法則を用いて1自由度系不減衰自由振動の運動方程式を解いて固有振動数を求めることができる.
6週 エネルギー法:運動エネルギとポテンシャルエネルギ 8.1自由度系不減衰自由振動の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを求めることができる
7週 いろいろな1自由度系不減衰自由振動の振動モデルの運動とその解法 9.エネルギー法を用いて1自由度系不減衰自由振動の固有振動数を求めることができる
8週 演習問題 これまでに学習した内容から,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 演習問題の結果に基づく復習,演習 これまでに学習した内容から,諸量を求めることができる.
10週 ダンパと振動:臨界減衰係数,減衰比 10.1自由度系減衰自由振動の運動方程式を導くことができる.
11週 減衰自由振動:対数減衰率 11.1自由度系減衰自由振動の運動方程式を解いて,固有振動数,臨界減衰係数,減衰比,対数減衰率を求めることができる.
12週 いろいろな1自由度系減衰自由振動の振動モデルの運動とその解法 12.いろいろな1自由度系減衰自由振動の運動方程式を解いて,固有振動数,臨界減衰係数,減衰比,対数減衰率を求めることができる.
13週 直線運動する減衰自由振動モデルの運動と解法 13.直線運動する1自由度系減衰自由振動の運動方程式を解いて,固有振動数,臨界減衰係数,減衰比,対数減衰率を求めることができる.
14週 回転運動する減衰自由振動モデルの運動と解法 14.回転運動する1自由度系減衰自由振動の運動方程式を解いて,固有振動数,臨界減衰係数,減衰比,対数減衰率を求めることができる.
15週 前期範囲のまとめ・解説 これまでに学習した内容から,諸量を求めることができる.
16週
後期
3rdQ
1週 強制力と振動:共振,遠心力 15.1自由度系強制振動の運動方程式を導くことができる.
16.強制振動を受ける系の共振について説明することができ,その条件を求めることができる.
2週 力の伝達率と防振 17.1自由度系強制振動の運動方程式を解いて,定常応答解を求めることができる.
3週 いろいろな1自由度系強制振動モデルの運動と解法 上記17
4週 強制力を受ける1自由度系強制振動モデルの運動と解法 18.強制力を受ける1自由度系強制振動の運動方程式を解いて,定常応答解を求めることができる.
5週 強制変位を受ける1自由度系振動モデルの運動と解法 19.強制変位を受ける1自由度系強制振動の運動方程式を解いて,定常応答解を求めることができる.
6週 多自由度系モデルの運動方程式 20.多自由度系モデルの運動方程式を導くことができる.
7週 後期中間範囲のまとめ・解説 上記15~20
8週 後期中間試験 上記15~20
4thQ
9週 中間試験の結果に基づく復習,演習 これまでに学習した内容から,諸量を求めることができる.
10週 運動方程式の考え方とその解法 21.オイラー法,ルンゲ・クッタ法の原理を説明できる.
11週 ラグランジュの運動方程式の考え方 22.ラグランジュの運動方程式の導き方を説明できる.
12週 シリアルリンクロボットの順運動学と静力学 23.3リンクロボットの順運動学の式,2リンクロボットの静力学の式を導出できる.
13週 ラグランジュの運動方程式の具体例(2リンクロボット) 24.2リンクロボットの運動方程式をラグランジュの運動方程式に基づいて導出できる.
14週 ラグランジュの運動方程式の具体例(バネによる振動系) 25.バネにより振動する2自由度系の運動方程式をラグランジュの運動方程式に基づいて導出できる.
15週 ルンゲ・クッタ法による数値解析演習 26.ルンゲ・クッタ法を用いて多変数の系の運動方程式を数値解析できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学振動の種類および調和振動を説明できる。4
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4
調和外力による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4
調和変位による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
配点100100