到達目標
熱力学に関する諸現象および基本的事項を理解し,熱機関,蒸気サイクルの設計に必要な専門知識,およびそれらの特性に関する専門知識を習得し,各種熱機関の設計に応用できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 熱力学に関する諸現象および基本的事項を理解し,各基本的な熱現象を数式あるいは数値を使って説明できる. | 熱力学に関する諸現象および基本的事項を理解し,仕事・熱量・状態量を求めることができる. | 熱力学に関する諸現象および基本的事項を理解し,仕事・熱量・状態量を求めることができない. |
評価項目2 | 各種熱機関の出力,理論熱効率を導くことができる. | 各種熱機関の出力,理論熱効率を求めることができる. | 各種熱機関を理解していない. |
評価項目3 | 蒸気サイクルの設計に必要な専門知識,およびそれらの特性に関する専門知識を習得し,各種熱機関の設計に応用できる. | 蒸気サイクルの設計に必要な専門知識,およびそれらの特性に関する専門知識を習得し,蒸気の状態変化,蒸気線図と蒸気表を用いた蒸気の状態量を求めることができる. | 蒸気の状態変化,蒸気線図と蒸気表を用いた蒸気の状態量の計算方法を理解していない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
熱力学は熱エネルギーの変化や転換を問題とする物理学に基づいているので,これを理解するためには,式の変化を追跡,理解するだけでなく,式に表される諸量の物理的意味や適応限界を念頭におきながら熱に関する諸現象を理解し,自由に計算できる段階に指導する.
授業の進め方・方法:
・本科目内容は,前期および後期を通じて,すべて学習・教育到達目標 (B) <専門> に相当する項目である.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~22の確認を前期中間試験,前期末試験,後期中間試験および学年末試験で行う.1~22に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>
各期末評価において60点に達していない者は,再試験を行うが,実施する場合,再試験の成績が再試験の対象となった範囲の評価を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの範囲の評価を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>
学業成績の評価方法によって,60点以上の評価を受けること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
一般物理,化学,数学などの基礎知識に基づいて,主として工学的見地より,様々な熱機関,エネルギー変換の基礎理論を解明していく学問であり,数学の微積分,微分方程式,エネルギー式,運動方程式の知識が基礎となる.
<備考>
熱力学の基本法則である第一法則と第二法則を完全に理解・把握し,熱と仕事の同等性およびエネルギーの有効性と無効性の概念を明確にする.各熱機関の熱効率(オットー,ディーゼル,サバテ,ランキン,ブレイトンサイクル)の定義とその特性を理解する.また,燃焼と地球環境汚染,公害等の関連についても考察し,判断力を養う.本教科は後に学習する熱工学、流体工学の基礎となる教科である.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
熱力学の第一法則の復習 |
1.熱力学第一法則,比熱の式,エンタルピーを説明し,第一法則を理想気体へ適用できる.
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2週 |
熱力学の第一法則の復習と熱力学の第二法則 |
上記1
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3週 |
熱力学の第二法則 |
2.自然界におけるエネルギー移動の方向性,可逆・不可逆の概念が説明できる.
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4週 |
カルノーサイクル,逆カルノーサイクル |
3.カルノーサイクルの意義が説明できる.
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5週 |
クラジウスの方程式,エントロピー |
4.エントロピーの定義が説明できる.
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6週 |
固体あるいは液体のエントロピー変化 理想気体のエントロピー変化 |
5.各状態変化におけるエントロピー変化を計算できる.
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7週 |
自由エネルギーと自由エンタルピー エクセルギーとアネルギー |
6.エクセルギーとアネルギーの計算ができる.
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8週 |
中間試験 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
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2ndQ |
9週 |
ガスサイクル |
7.空気標準サイクルについて説明でき、平均有効圧の計算ができる.
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10週 |
オットーサイクル ディーゼルサイクル |
8.各種サイクルについて説明でき,理論熱効率を導くことができる.
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11週 |
サバテサイクル |
上記8
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12週 |
ブレイトンサイクル |
上記8
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13週 |
圧縮機の理論サイクル |
9.圧縮機の必要な仕事が計算できる.
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14週 |
冷凍機,ヒートポンプの理論サイクル |
10.冷凍機,ヒートポンプの成績係数が説明できる.
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15週 |
前期範囲のまとめと復習 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
等圧下での水の蒸発現象 |
11.水の状態変化が説明できる.
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2週 |
水および水蒸気の状態量 |
12.水および水蒸気の状態量を求めることができる。
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3週 |
水蒸気の h, s および x とその関係式 |
13.かわき度に関する計算ができる.
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4週 |
飽和蒸気表と過熱蒸気表の見方 |
14.飽和蒸気表と過熱蒸気表を用いて計算ができる.
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5週 |
水蒸気の h-s 線図 |
15.水蒸気の h-s 線図を用いて計算ができる.
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6週 |
ランキンサイクル |
16.ランキンサイクルの熱効率を導くことができ,h-s 線図を用いてランキンサイクルの熱効率を計算できる.
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7週 |
後期範囲のまとめと復習 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
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8週 |
後期中間試験 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
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4thQ |
9週 |
ランキンサイクルの効率改善法 |
17.再熱サイクル,再生サイクルを説明できる.
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10週 |
定常流一次元流れ,流れの基礎式 |
18.連続の式と一般エネルギーの式を使って計算ができる.
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11週 |
動圧と静圧,全温度と静温度 |
19.音速,全温度の式を説明,計算できる.
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12週 |
ノズル内の流れ |
20.ノズルの流出速度が計算できる.
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13週 |
臨界状態での流れ |
21.臨界圧力の説明ができる.
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14週 |
末広ノズル,背圧と速度の関係,摩擦のある流れ |
22.先細ノズルと末広ノズルの設計,摩擦のある流れの計算ができる.
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15週 |
後期範囲のまとめと復習 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。 | 4 | |
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 4 | |
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。 | 4 | |
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。 | 4 | |
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。 | 4 | |
熱力学の第二法則を説明できる。 | 4 | |
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。 | 4 | |
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。 | 4 | |
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。 | 4 | |
サイクルをT-s線図で表現できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 100 |
配点 | 100 | 100 |