ロボット工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 ロボット工学
科目番号 0118 科目区分 専門 / 選択必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「基礎ロボット工学」(小川鑛一,加藤了三)参考書:「ロボットの力学と制御」(有本 卓),「ロボット工学入門」(中野栄一),「ロボット制御基礎論」(吉川恒夫)など
担当教員 白井 達也

到達目標

ロボットの構造や機構に関する基礎理論を理解し,多関節ロボットの運動学/逆運動学と力学の導出に必要な専門知識を習得し,ロボットの挙動や特性の解析に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1さまざまな産業用ロボットの構造,特徴を理解して,実際にどのような作業に適用できるか想像できる.さまざまな産業用ロボットの構造,特徴を理解している.さまざまな産業用ロボットの構造,特徴を理解していない.
評価項目2回転関節からなる多関節ロボットの順運動学を理解し,それ以外の構造のロボットの順運動学の式の導出ができる.回転関節からなる多関節ロボットの順運動学を理解している.回転関節からなる多関節ロボットの順運動学を理解していない.
評価項目3回転関節からなる多関節ロボットの逆運動学を理解し,それ以外の構造のロボットの逆運動学の式の導出ができる.回転関節からなる多関節ロボットの逆運動学を理解している.回転関節からなる多関節ロボットの逆運動学を理解していない.
評価項目4軌道計画(速度プロファイル含む)を理解し,実際の数値問題を解くことができる.軌道計画(速度プロファイル含む)を理解している.軌道計画(速度プロファイル含む)を理解していない.
評価項目5多関節ロボットの力学とPID制御法を理解すると共に,位置制御と力制御を組み合わせる制御法の必要性を説明できる.多関節ロボットの力学を理解し,実際の数値問題を解くことができる.多関節ロボットの力学を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ロボット要素技術の基本であるモーター,センサー技術,機械要素の動作原理と構造について理解すると同時に,ロボットの運動学について理解する.さらにロボット工学分野の要素技術の歴史,現状,未来像に関する説明を通して,ロボット技術(RT)の本質を理解する.この科目は企業で産業用ロボット,シーケンサー(PLC)などを用いた自動生産設備の開発を担当していた教員がその経験を活かして,産業用ロボットの現場での活用状況から始め,次世代の産業用ロボットを開発する上で必要なロボットの要素技術,基礎的な運動学等について講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
・第1週の内容は,学習・教育目標(A)<視野><技術者倫理> [JABEE基準1.2(a),(b)]に対応する.
・第1週から第15週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<専門> [JABEE 基準1.2(d)(2)a)] に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~13の確認を中間試験,期末試験で行う.1~13に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<単位修得要件>
学業成績の評価方法によって,学業成績で60点以上を取得すること. 
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
本教科は「メカトロニクス」,「電気工学概論」の学習が基礎となる教科である.さらに,数学の微分積分,三角関数,指数関数,行列演算について理解していること.機械運動学における質点の運動,力とモーメントについて理解していること.
<自己学習>
授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)及びレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<備考>
授業はパワーポイントを併用するが,しっかりと授業中にノートを取ること.なお,本教科は後に学習する「メカトロニクス工学特論(専攻科)」の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ◆序論
産業界におけるメカトロニクス技
1.ロボット等が得意なこと,人が得意なことを理解して説明できる.
2週 ロボットの構成 2.ロボットの構成要素,代表的なロボットの構造を説明できる.
3週 ◆多関節ロボットの運動学
順運動学(1) ベクトルによる表現
3.水平多関節ロボットの運動学を行列演算形式で記述できる.
4週 順運動学(2) 行列による表現,回転行列 4.2次元平面における回転行列を導出できる.
5週 順運動学(3) 姿勢の表現(オイラー角) 5.オイラー角と姿勢行列の相互変換ができる.
6週 逆運動学(1) 軌道計画,台形速度制御 6.PTP/CP制御,直線/円弧補間の違いを説明できる.
7.台形速度制御について説明できる.
7週 逆運動学(2) 分解速度制御法(ヤコビ行列の導出) 8.多関節ロボットのヤコビ行列を導出できる.
8週 中間試験 上記1から8
2ndQ
9週 逆運動学(3) 特異姿勢,一般化逆行列 9.特異姿勢とはなにか,数式を用いて説明できる.
10週 ◆多関節ロボットの力学
多関節ロボットの静力学,仮想仕事の原理
10.ロボットの関節トルクと手先力の関係式を導出できる.
11週 動力学(ラグランジュの運動方程式) 上記10
12週 動力学(運動エネルギーと位置エネルギー) 上記10
13週 動力学(アクチュエータのダイナミクス) 11.ギア比と角速度,トルクの関係を説明できる.
14週 ◆多関節ロボットの制御則
PID制御の基礎,位置制御・速度制御・力制御
12.P制御,I動作,D動作について説明できる.
15週 コンプライアンス制御,ハイブリッド制御,インピーダンス制御 13.マニピュレータの代表的な力制御法の特徴を説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
配点100100