熱工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 熱工学
科目番号 0138 科目区分 専門 / 選択必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「伝熱工学」黒崎晏夫・佐藤勲 著(コロナ社),参考書:伝熱工学に関する参考書は,図書館に数多く配備されている.例えば,ホールマン著の「伝熱工学」など.
担当教員 藤松 孝裕

到達目標

伝熱工学に関する基本的事項を理解し,熱交換器をはじめ種々の伝熱機器の設計に必要な専門知識,および熱伝導・熱伝達・熱放射に関する専門知識を習得することにより,熱移動を伴う産業のみならず宇宙などの極限環境や医療での低温手術,食品・生体の保存技術などあらゆる分野に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱伝導・熱伝達・熱通過の概念を理解しており,フィンや熱交換器等の熱移動に関する計算を,熱交換器をはじめ種々の伝熱機器の設計に応用できる.熱伝導・熱伝達・熱通過の概念を理解しており,フィンや熱交換器等の熱移動に関する計算ができる.熱伝導・熱伝達・熱通過の概念や,それらに関連する熱移動現象の計算方法を理解していない.
評価項目2対流熱伝達の概念を理解しており,それらに関連する熱移動現象の計算を,熱交換器をはじめ種々の伝熱機器の設計に応用できる.対流熱伝達の概念を理解しており,自然対流や強制対流といった条件下での境界層厚さ,熱伝達率,伝熱量等の計算ができる.対流熱伝達の概念や,それらに関連する熱移動現象の計算方法を理解していない.
評価項目3相変化の概念を理解しており,沸騰や凝縮現象での熱移動に関する計算を,熱交換器をはじめ種々の伝熱機器の設計に応用できる.相変化の概念を理解しており,沸騰や凝縮現象での熱移動に関する計算ができる.相変化の概念や,それらに関連する熱移動現象の計算方法を理解していない.
評価項目4熱放射や形態係数の概念を理解しており,それらに関する計算を,熱交換器をはじめ種々の伝熱機器の設計に応用できる.熱放射や形態係数の概念を理解しており,それらに関する計算ができる.熱放射や形態係数の概念や,それらに関連する熱移動現象の計算方法を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 熱エネルギーは私たちの生活の中で最も身近なエネルギーである.エネルギー資源の少ない日本にとっては,この熱エネルギーを有効に利用することが重要な課題であり,そのためには,熱の移動現象を的確に知る必要がある.熱工学では,このような意味で工学技術者が身に付けておく必要がある伝熱工学に焦点を絞り学習し,種々の熱(エネルギー)移動現象に関する理論を習得する.
授業の進め方・方法:
・第1週は,学習・教育到達目標(A) <視野>,および学習・教育到達目標(A) <技術者倫理>, 第2週以降の前期・後期項目については,すべて学習・教育到達目標 (B) <専門>,に相当している.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~17の確認を小テスト,前期中間試験,前期末試験,後期中間試験および学年末試験で行う.各試験における配点の比率は,概ね(到達目標:配点比率),前期中間範囲(1:40%,2:20%,3:40%),前期末範囲(4:50%,5:50%),後期中間範囲(6~10:各20%)および学年末範囲(11:10%,12:10%,13:10%,14:20%,15:15%,16:15%,17:20%)とする.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期中間評価:達成度評価テスト80%,小テスト20%の合計点で評価する.
前期末評価:試験80%,小テスト20%の合計を,前期中間評価と平均する.
後期中間評価:試験80%,小テスト20%の合計点で評価する.
学年末評価:試験100%を,後期中間評価と平均し,その点数を前期末評価と平均して最終評価とする.
なお,達成度評価テスト・前期末・後期中間試験のそれぞれの評価で60点に達していない学生については再試験を行う場合があるが,実施する場合,再試験の成績が該当する期間の成績を上回った際には,60点を上限(小テストとの合計点)としてそれぞれの期間の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.学年末試験については再試験を行わない.
<単位修得要件> 
学業成績の評価方法によって,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
伝熱工学は,物理,数学,熱力学,流体力学の知識を基礎として,熱移動を取り扱う分野の学問である.
<自己学習>
授業で保証する学習時間のほか,予習・復習(中間試験,定期試験,小テストのための学習も含む)に要する学習時間が必要となる.
<備考>
数式の背景にある現象および物理的意味を充分に理解することが重要である.また,数学の微積分,微分方程式および物理の運動方程式等は十分に理解しているものとして講義を進める.なお,本科目はエネルギー移送論(専攻科)に強く関連する教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 伝熱工学の概説 熱移動の4つの形態を説明できる.
2週 熱伝導の基礎式と定常一次元の場合(平板,円筒,球殻) 1.一次元定常における熱伝導・熱伝達・熱通過に関する計算ができる.
3週 熱伝導の応用例 上記1
4週 接触熱抵抗とフィンにおける熱移動 上記1
2.フィンにおける熱移動についての計算ができる.
5週 小テストと熱交換の基礎 上記2(小テスト)
3.熱交換器における熱移動についての計算ができる.
6週 小テスト解説と熱交換の基礎(続き) 上記2,3
7週 熱交換器と到達目標1,3範囲の演習 上記 1,3
8週 達成度評価テスト 上記 1,3
2ndQ
9週 達成度評価テストの解説および対流熱伝達の基礎式 上記 1~3(試験解説)
4.層流強制対流熱伝達に関して,境界層厚さ,熱伝達率,伝熱量等の計算ができる.
10週 層流境界層と層流熱伝達(平板,円管) 上記4
11週 乱流境界層と乱流熱伝達(平板) 5.乱流強制対流熱伝達に関して,境界層厚さ,熱伝達率,伝熱量等の計算ができる.
12週 乱流境界層と乱流熱伝達(円管,管群) 上記5
13週 小テストおよびその解説 上記4
14週 強制対流熱伝達の実験式による評価 上記 4,5
15週 前期範囲のまとめ・解説 上記 4,5
16週
後期
3rdQ
1週 自然対流熱伝達の基本事項 6.自然対流熱伝達に関する伝熱量等の計算ができる.
2週 自然対流熱伝達の実験式による評価 上記6
3週 沸騰熱伝達の基礎事項,実験式と影響因子 7.沸騰現象を理解し,熱移動に関する計算ができる.
4週 凝縮伝熱の基本事項と膜状凝縮熱伝達 8.凝縮現象を理解し,熱移動に関する計算ができる.
5週 小テストおよび放射伝熱の基礎式 上記7(小テスト).
9.熱放射の概念を理解し,それに関する計算ができる.
6週 黒体・灰色体からの放射伝熱現象 上記9
7週 形態係数を用いた物体間の放射伝熱 10.形態係数を理解し,それを用いた計算ができる.
8週 後期中間試験 上記6,8,9,10
4thQ
9週 後期中間試験の解説および熱伝導,熱伝達演習 上記 6,8,9,10
11.熱伝導.熱伝達の計算ができる.
10週 熱通過,フィン演習 12.熱通過,フィンの計算ができる.
11週 熱交換器に関する熱伝達演習 13.熱交換器関連の計算ができる.
12週 強制対流熱伝達演習 14.強制対流熱伝達に関する計算ができる.
13週 自然対流熱伝達演習 15.自然対流熱伝達に関する計算ができる.
14週 相変化を伴う熱伝達演習 16.相変化を伴う熱伝達に関する計算ができる.
15週 放射による熱伝達演習 17.放射による熱伝達に関する計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体定常流と非定常流の違いを説明できる。4

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合8515100
配点8515100