電気回路

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 電気回路
科目番号 0028 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:西巻/森/荒井 共著「電気回路の基礎」(森北出版),参考書:柴田 尚志著「電気・電子系教科書シリーズ3 電気回路Ⅰ」(コロナ社),大下眞二郎著「詳解 電気回路演習上」(共立出版),その他多数の参考書・演習問題集が図書館にある.
担当教員 奥田 一雄

到達目標

電気回路の理論を学ぶために必要な専門用語の意味や回路素子の性質を理解するとともに,電気回路計算に必要な複素数計算や回路の諸法則を学修し,種々の電気回路におけるインピーダンス,アドミタンス,電流,電圧,電力等を計算することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1三角関数(瞬時値)を用いた正弦波交流回路に関する応用問題を解くことができる.三角関数(瞬時値)を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができる.三角関数(瞬時値)を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができない.
評価項目2複素数計算(記号法)を用いた正弦波交流回路に関する応用問題を解くことができる.複素数計算(記号法)を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができる.複素数計算(記号法)を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができない.
評価項目3キルヒホッフの法則,重ね合わせの原理,テブナンの法則などの諸定理を用いた正弦波交流回路に関する応用問題を解くことができる.キルヒホッフの法則,重ね合わせの原理,テブナンの法則などの諸定理を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができる.キルヒホッフの法則,重ね合わせの原理,テブナンの法則などの諸定理を用いた正弦波交流回路に関する基本問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気は目に見えないため,身近に存在するにもかかわらずそのふるまいをイメージすることは困難であり,理論により理解することが不可欠となる.電気回路の理論は,基本的な法則の上に整然と積み上げられており,電気電子工学を学んでいく第一歩として非常に重要である.電気回路では数学を多用するため最初は難しく感ずるが,数学の授業と関連付けて学ぶことによって理解が深まる.
 この授業では,まず「電気回路の基礎」として,抵抗,コイル,コンデンサについて学んだ後,直流回路の計算で用いられる各種の法則と正弦波交流について学習する.次に「交流回路」として,インピーダンスとアドミタンス,フェーザや複素数を用いた計算,交流回路の電力について学習する.更に「交流回路網」の計算において,合成インピーダンス,合成アドミタンス,分圧と分流,電圧源と電流源について学んだ後,キルヒホッフの法則,重ね合わせの理,テブナンの定理とノートンの定理,ミルマンの定理などの諸法則と交流ブリッジについて学習する.最後に「回路網方程式」として,節点,枝,閉路,木,補木などの概念を学んだ後,実際の回路に対して枝電流法,閉路電流法,節点電位法などを用いて回路方程式を導出し,行列や行列式を用いた連立方程式の解法を行う.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE 基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
・授業計画に記載のテーマについて,講義・演習形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>習得の度合を中間試験,期末試験,レポートにより評価する.達成度評価における各重みは概ね均等とし,試験問題とレポート課題のレベルは100点法により60点以上の得点で目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間,前期末,後期中間および学年末の4回の試験の平均点を85%,課題レポートの結果を15%として,その合計点で評価する.ただし,学年末を除く各試験で60点に達していない者には再試験を課すことがある.このとき,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,60点を上限として,それぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は電気電子工学序論の学習が基礎となる教科である.本教科の学習には,弧度法,三角関数とそのグラフ,三角関数の公式,連立方程式,複素数計算など,1年生および2年生で学ぶ数学の習得が必要である.
<レポートなど>学習内容の復習と応用力の育成のため,随時,演習課題を与える.
<備考> 本教科は3年次,4年次で学習する電気回路,電子回路の基礎となる教科である.授業中に理解できるように心掛けるとともに,知識確認のために常に多くの問題を解いていく姿勢が大切である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスを用いた授業の概要説明,電気回路概説 1.電荷と電流,電圧,電力,電力量などの基本用語や回路素子の種類を理解し,これらについて簡単に説明することができる.
2週 回路要素の基本的性質 2.電気抵抗,インダクタンス,キャパシタンスにおける電圧と電流の関係について説明することができる.
3週 直流回路の基本 3.抵抗の直列・並列接続,分圧・分流の法則を理解し,これらに関する簡単な計算ができる.
4週 最大電力の供給 4.最大電力供給原理を理解し,その内容について説明することができる.
5週 直流回路網 5.電気抵抗の直並列接続,Y-Δ変換の方法を理解し,簡単な直列回路網の計算ができる.
6週 直流回路網の基本定理 6.キルヒホッフの法則を理解し,これを用いた回路計算ができる.
7週 第1週から第6週までの範囲のまとめと演習問題 7.これまでに学習した内容を説明することができる.
8週 前期中間試験 8.これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 前期中間試験の結果に基づく復習,直流回路網の諸定理 9.重ね合わせの理を理解し,これを用いた回路計算ができる.
10週 直流回路網の諸定理 10.テブナンの定理,ノートンの定理を理解し,これを用いた回路計算ができる.
11週 交流回路計算の基本 11.複素数の表示方法と計算の仕方を理解し,複素数の加減乗除計算ができる.
12週 正弦波交流 12.三角関数を用いた正弦波交流の瞬時値表現を理解するとともに,角周波数,周期,位相,最大値などの基本用語について説明することができる.
13週 平均値と実効値 13.正弦波交流の平均値と実効値の意味を理解し,簡単な波形の平均値と実効値を計算することができる.
14週 正弦波交流のフェーザ表示と複素数表示 14.正弦波交流のフェーザ表示を理解し,正弦波交流の瞬時式と複素数の対応関係について説明することができる.
15週 第10週から第14週までの範囲のまとめと演習問題 15.これまでに学習した内容を説明することができる.
16週
後期
3rdQ
1週 前期期末試験の結果に基づく復習,交流における回路要素の性質 16.正弦波交流における電気抵抗,インダクタンス,キャパシタンスに流れる瞬時電流を計算することができる.
2週 交流における回路要素の性質と基本関係式 17.正弦波交流における電気抵抗,インダクタンス,キャパシタンスの電圧と電流のフェーザ表示を説明することができる.
3週 回路要素の直列接続 18.RL直列回路,RC直列回路のインピーダンスを理解し,電圧と電流のフェーザ表示を求めることができる.
4週 回路要素の並列接続 19.RL並列回路,RC並列回路のアドミタンスを理解し,電圧と電流のフェーザ表示を求めることができる.
5週 2端子回路の直列接続 20.インピーダンスやアドミタンスの直列接続の計算ができる.
6週 2端子回路の並列接続 21.アドミタンスやインピーダンスの並列接続の計算ができる.
7週 第1週から第6週までの範囲のまとめと演習問題 22.これまでに学習した内容を説明することができる.
8週 後期中間試験 23.これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 後期中間試験の結果に基づく復習,交流の瞬時電力 24.電気抵抗,インダクタンス,キャパシタンスの瞬時電力に関して説明できる.
10週 交流の瞬時電力と平均電力 25.交流の平均電力,無効電力,皮相電力を理解し,これらの計算ができる.
11週 交流の複素電力と力率改善 26.交流の複素電力を理解し,力率改善に関する計算ができる.
12週 キルヒホッフの法則 27.キルヒホッフの法則を理解し,これを用いた交流回路計算ができる.
13週 重ね合わせの理 28.重ね合わせの理を理解し,これを用いた交流回路計算ができる.
14週 テブナンの定理 29.テブナンの定理を理解し,これを用いた交流回路計算ができる.
15週 第10週から第14週までの範囲のまとめと演習問題 30.これまでに学習した内容を説明することができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8515100
配点8515100