電気電子工学に関する専門用語および代表的な実験手法,測定機器使用法を理解しており,さらに得られた結果を論理的にまとめ,報告することができる.
概要:
2年生より行ってきた実験の総まとめとして,主に電気電子工学の応用分野や,実用的な事柄について実験を行い,実社会へ出る技術者としての素養を身につける.また実験のみでなく技術に関するビデオを鑑賞する,あるいは担当教員による最近の研究動向に関する講演等を聴くなどして,技術者としての意欲,資質を涵養する.さらに興味ある分野について自主学習,発表を行い,創造力やプレゼンテーション能力を養う.
授業の進め方・方法:
・授業内容は,学習・教育到達目標(A)<視野>,JABEE基準1.2(a),学習・教育到達目標(B)<専門>,JABEE基準1.2(d)(2)a),学習・教育到達目標(A)<技術者倫理>,(A)<意欲>,JABEE基準1.1(b)と(g),学習・教育到達目標(B)<展開>,JABEE基準1.2(d)(2)b)に対応する.
・授業計画に記載のテーマについて,10班に分かれ実験を行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」1〜18をレポートの内容により評価する.評価に関する各項目の重みは同じである.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>各実験テーマのレポートを10点満点で採点し,その合計点を100点満点に換算し評価を行う.
<単位修得要件>全ての実験テーマのレポートを提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>電気磁気学,電気回路,電子回路,ディジタル回路,情報通信工学,制御システム,半導体工学,高電圧工学の基本的事項の学習が基礎となる教科である.
<レポートなど>各実験テーマの実験を終えた後,実験結果をまとめた実験報告書を必ず提出する.
<備考>5年生の実験は,4年生までに座学において学習した内容のものが多い.各週の実験テーマに応じて教科書等を見直し,知識の再確認を行うこと.作業服を着用し,指導書,ノート,筆記具を忘れずに持参すること.遅刻,欠席をしないこと.正当な理由のない遅刻,欠席は減点の対象となる.欠席(公欠も含む)の場合は,後日実験を実施する必要がある.本教科は後に学習する電子機械工学実験(専攻科)や特別研究と強く関連する教科である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実験に取り組む姿勢,社会へ巣立つ技術者としての心構え等に関しての諸注意,前期実験テーマについて講義する. |
1. 実験担当教員らの専門分野に関する研究講演を通して,技術者としての資質,物事に取り組む意欲等を身につけている.
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2週 |
次のテーマについて,10班に分かれ実験を行う. |
2. 振幅変調回路の特性を測定し,その原理を理解できる.
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3週 |
1. AM回路 |
3. 可変容量ダイオードを用いた周波数変調回路の特性を測定し,その原理を理解できる.
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4週 |
2. FM回路 |
4. ブレッドボード上にトランジスタ増幅器,オペアンプを用いたフィルタ,発振器などを試作することを通して,これらの電子回路の特性を知り,実際の電子部品をも知っている.
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5週 |
3. DCモータ駆動回路の試作 |
5. サーボモデルを動作させ,自動制御系の基本的な特性とその概要を理解している.
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6週 |
4. シリコン太陽電池の作製 |
6. 高電圧発生装置の取扱法を習得し,衝撃電圧試験の概要および放電現象を理解している.
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7週 |
5. 衝撃電圧試験 |
7. ディジタルオシロスコープの取扱方法に習熟している.
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8週 |
6. ディジタルオシロスコープの取り扱い方 |
8. 各種カウンタ回路の構成と動作について理解している.
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2ndQ |
9週 |
7. カウンタ回路 |
9. 発振回路が増幅回路と帰還回路から構成されていることや,正帰還の概念,発振の原理などを理解している.
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10週 |
8. 発振回路 |
10. 自己インダクタンスの測定方法を理解するとともに,渦電流センサについて理解している.
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11週 |
9. シーケンサの基本制御 |
11. 振幅変調波の復調の原理,回路の設計法を習得している.
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12週 |
後期実験の諸注意.後期実験テーマについて講義する. |
12. レシオ検波方式によるFM復調回路について,その動作原理を理解している.
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13週 |
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13. リレーシーケンス制御の実習を通して,シーケンス制御における順次起動回路,優先回路,微分回路,新入力優先回路,遅延動作回路,繰り返し回路,直列優先回路の動作を説明できる.
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14週 |
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14. バンドパスフィルタとローパスフィルタの周波数特性を測定し,アクティブフィルタについての理解を深める.さらにバンドパスフィルタのQを周波数特性と減衰振動から求め,Qについての理解を深めている
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15週 |
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15. DCモータのPWM信号を用いた速度制御について理解することができ、実際に回路を組み実験をすることができる.
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16週 |
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16. 太陽電池の作製工程及び太陽電池の基本的な特性を理解している.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
次のテーマについて,10班に分かれ実験を行う. |
17. Raspberry Piを用いた制御の実習を通して, Raspberry Piの概念や周辺機器を制御するための基礎を理解している.
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2週 |
1. AM検波回路 |
18. A/D・D/A変換器の動作原理について理解しており、説明することができる.
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3週 |
2. FM検波回路 |
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4週 |
3. 衝撃電圧実験Ⅱ |
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5週 |
4. 電子回路の製作及びその特性 |
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6週 |
5. シーケンサの応用制御 |
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7週 |
6. アクティブフィルタの特性とQの測定 |
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8週 |
7. A/D,D/A変換器の実験 |
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4thQ |
9週 |
8. Raspberry Piのプログラミングとその応用 |
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10週 |
9. シリコン太陽電池の評価 |
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11週 |
10. 空芯コイルの自己インダクタンス |
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12週 |
上記テーマの実験後,各学生が興味ある分野について,個別に調査学習し,実験等を行う.または電気電子工学科の教員に指導を求め,実験を行う. |
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13週 |
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14週 |
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15週 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。 | 4 | |
ディジタルICの使用方法を習得する。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |