電子回路の解析に必要となる電気回路の知識に習熟し,半導体の概要,ダイオード,トランジスタ,FETの動作を理解し,これらの素子を等価回路で表すことができ,増幅回路の動作の解析に応用できる.
概要:
電子回路では,入出力端子間の電圧電流だけに注目し,回路の働きを等価的に捉えるという考えが大切である.この授業ではまず,能動素子を形成する半導体の概要,ダイオード・トランジスタ・FETの動作について理解する.また,この等価回路の考えを中心にし,トランジスタ増幅器,電力増幅,負帰還回路,演算増幅器の解析法を習得することを目標とする.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
・授業は講義形式で行う,講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
〈到達目標の評価方法と基準〉下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を中間試験および定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.各到達目標に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
〈学業成績の評価方法および評価基準〉前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の試験の平均点とレポート等で評価する.ただし,学年末試験を除く3回の試験のそれぞれについて60点に達していない者には再試験を課し,再試験の点数に0.9を乗じた成績が該当する試験の成績を上回った場合には60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.学年末試験においては再試験を行わない.レポートの評価の割合は12%を上限とし,前期末と学年末の試験の評価に加味する.
〈単位修得要件〉学業成績で60点以上を取得すること.
〈あらかじめ要求される基礎知識の範囲〉本教科は電気回路の学習が基礎となる教科である.電気回路で学習する回路解析法について,充分習熟しておくこと.
〈レポート等〉理解を深めるため,随時,演習課題を与える.
〈備考〉本教科は後に学習するディジタル回路,制御システムと強く関連する教科である.また,教科書の例題,問,章末問題を各自復習で解くこと.数多くの問題に取り組むことが,実力をつけるための一番の近道である.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
電子回路はどのようなことを学ぶ科目であり,どのように社会に役立っているか,電圧源と電流源,受動素子と能動素子,抵抗器とコンデンサの表示記号 |
1.電子回路で用いる素子について説明できる.
|
2週 |
周期表,電子部品の例示,半導体と原子 |
2.半導体について説明できる.
|
3週 |
自由電子と正孔の働き,半導体の種類,キャリヤのふるまい |
3.キャリヤと半導体の種類について説明できる.
|
4週 |
pn接合,整流作用,ダイオード(構造と図記号,特性) |
4.pn接合,整流作用,ダイオードの概要を説明できる.
|
5週 |
ダイオード(最大定格,ダイオードの利用,その他のダイオード) |
5.ダイオードの動作を説明できる.
|
6週 |
トランジスタ(基本構造,基本動作,静特性,最大定格) |
6.トランジスタを説明できる.
|
7週 |
接合形FET(構造と動作,特性,相互コンダクタンス) |
7.接合形FETを説明できる.
|
8週 |
前期中間試験 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
|
2ndQ |
9週 |
MOS FET(動作,エンハンスメント形とデプレション形,特性) |
8.MOS FETについて説明できる.
|
10週 |
その他の半導体素子,集積回路 |
9.その他の半導体素子,集積回路を説明できる.
|
11週 |
増幅の基礎,トランジスタによる増幅の原理 |
10.増幅の基礎,トランジスタによる増幅の原理を説明できる.
|
12週 |
トランジスタの基本増幅回路 |
11.トランジスタの基本増幅回路を説明できる.
|
13週 |
エミッタ接地増幅回路,バイアス,負荷線,動作点 |
12.エミッタ接地増幅回路,バイアス,負荷線,動作点を説明できる.
|
14週 |
増幅度と利得(dBの計算),hパラメータの定義,hパラメータによる等価回路 |
13.増幅度と利得(dBの計算),hパラメータの定義,hパラメータによる等価回路を説明できる.
|
15週 |
演習 |
これまでに学習した内容を説明できる.
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
トランジスタのバイアス回路(固定バイアス,自己バイアス) |
14.トランジスタのバイアス回路(固定バイアス,自己バイアス)を説明できる.
|
2週 |
トランジスタのバイアス回路(電流帰還バイアス回路),トランジスタによる小信号増幅回路 |
15.トランジスタのバイアス回路(電流帰還バイアス回路),トランジスタによる小信号増幅回路を説明できる.
|
3週 |
交流等価回路,電圧増幅度と周波数特性 |
16.交流等価回路,電圧増幅度と周波数特性を説明できる.
|
4週 |
トランジスタによる小信号増幅回路の設計 |
17.トランジスタによる小信号増幅回路の設計ができる.
|
5週 |
これまでに習った知識を使って実際に増幅回路を設計の演習 |
これまでに学習した内容を説明できる.
|
6週 |
FETによる小信号増幅回路(接合形FETの小信号基本増幅回路と等価回路) |
18.FETによる小信号増幅回路(接合形FET)を説明できる.
|
7週 |
FETによる小信号増幅回路(FETのバイアス回路) |
19.FETによる小信号増幅回路(FETのバイアス回路)
|
8週 |
後期中間試験 |
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
|
4thQ |
9週 |
負帰還の原理,エミッタ抵抗による帰還 |
20.負帰還の原理,エミッタ抵抗による帰還を説明できる.
|
10週 |
エミッタフォロワ |
21.エミッタフォロワの動作を説明できる.
|
11週 |
差動増幅回路の概要 |
22.差動増幅回路の概要について説明できる.
|
12週 |
演算増幅器の特性と等価回路 |
23.演算増幅器の特性と等価回路を説明できる.
|
13週 |
演算増幅器の基本的な使い方 |
24.演算増幅器の基本的な使い方を説明できる.
|
14週 |
電力増幅回路の基礎,B級プッシュプル電力増幅回路 |
25.電力増幅回路の基礎,B級プッシュプル電力増幅回路を説明できる.
|
15週 |
演習 |
これまでに学習した内容を説明できる.
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 3 | |
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。 | 3 | |
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。 | 3 | |
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。 | 3 | |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 3 | |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 3 | |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | |
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。 | 3 | |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 3 | |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 3 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | |