電気磁気学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電気磁気学
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「電磁気学 I 電場と磁場」「電磁気学 II 変動する電磁場」 長岡洋介著(岩波書店)参考書:ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学 宮島龍興訳(岩波書店), 電磁気学の考え方 砂川重信著(岩波書店)
担当教員 森 育子

到達目標

電気磁気学の基礎となる物理法則と物理法則を表す数学を理解し,静電界,静磁界および時間的に変動する磁界の問題の計算に必要な専門知識を身に付け,上記の様々な問題の計算に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1静電界に関する応用問題を解くことができる.静電界に関する基本問題を解くことができる.静電界に関する基本問題を解くことができない.
評価項目2静磁界に関する応用問題を解くことができる.静磁界に関する基本問題を解くことができる.静磁界に関する基本問題を解くことができない.
評価項目3時間的に変動する磁界に関する応用問題を解くことができる.時間的に変動する磁界に関する基本問題を解くことができる.時間的に変動する磁界に関する基本問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気磁気学は,電気・電子,情報・通信関連工学の基礎を培うための必須な専門科目であり,ここでは電磁界の基礎概念を把握し,電子情報分野で必要な基礎理論の理解と,専門基礎知識修得のための講義を行う.さらに具体的問題を解き,課題解決に必要な専門知識と技術の応用・展開能力を養う.また身近な電気磁気現象を念頭において,工学実験における基礎法則の理解を一層深める.本科目は第3,第4学年にわたっているため,授業計画は2学年を連結して実施する.
授業の進め方・方法:
すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
 上記の「知識・能力」1~12を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね同じとする.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<注意事項>
 電磁気学のノートをつくること.計算の途中で間違えても消しゴムで消さないで残すようにするのがよい.
 本教科は後に学習する電子計測,集積回路工学,電子材料工学,光電子工学の基礎となる教科である.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
 基礎数学(三角関数,対数関数,微分,積分,ベクトルの和・差・内積)が要求される.
 本教科は電気電子基礎の学習が基礎となる教科である.
<レポート等>
 理解を深めるためレポート提出を求める.
<学業成績の評価方法および評価基準>
 前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の試験の成績の平均点で評価する.ただし,未提出のレポートが1つでもある場合は,評価を0点とする.また,前期中間試験  について60点に達していない者(無断欠席の者を除く)には再試験の機会を与え,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には60点を上限として再試験前の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.なお,前期中間試験の再試験を受ける者は補講を受けなければならない.
<単位修得要件>
 与えられた課題レポートを全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概要:電気磁気学の概略,位置づけ.  1. 電磁気学の発展の歴史を理解し,物理学における電磁気学の位置づけを説明できる.
2週 ク-ロンの法則とその問題演習およびベクトルの基本(内積と外積)とその問題演習. 2. クーロン力および力の重ね合わせを理解し,説明できる.
基礎的なベクトルの理解とその基本演算(和,差,内積,外積)およびベクトル解析(微分演算子,勾配)の基礎理解と簡単な演算ができる.
3週 電界の概念と静電界を計算する問題演習(電荷が一様に分布した棒のつくる電界). 3. 電荷のつくる電界を理解し,その簡単な説明,計算ができる.
4週 静電界の問題演習,マクローリン展開の復習(2つの点電荷が十分遠いところにつくる電界および環状に一様分布した電荷のつくる電界). 上記3
5週 静電界の問題演習(円板に一様分布した電荷のつくる電界)およびガウスの法則. 4. 電界に関するガウスの法則を理解し,その簡単な説明,計算ができる.
6週 ガウスの法則の問題演習(球内および円柱内に一様分布する電荷のつくる電界). 上記4
7週 ガウスの法則の問題演習(無限の平面に一様分布した電荷のつくる電界). 上記4
8週 前期中間試験. これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 中間試験の解説および保存力:万有引力の復習,保存力の条件. 5. 保存力の意味を説明できる.
10週 静電界の渦なしの法則. 6. 電界が保存場であることが説明できる.
11週 静電ポテンシャル,電位と電界の関係. 7. 電位(静電ポテンシャル),電位の勾配を理解し説明できる.
12週 電位と電界の問題演習(電気双極子のにつくる電位と電界). 8. 電位(静電ポテンシャル),電位の勾配の簡単な計算ができる.
13週 電位と電界の問題演習(球内および球面上に一様分布する電荷のつくる電位と電界). 上記8
14週 静電エネルギー. 9. 静電界エネルギーについて理解し説明ができる.
15週 静電エネルギーの問題演習(球内および球面上に一様分布する電荷のもつ静電エネルギー). 10. 静電界エネルギーについて計算ができる.
16週
後期
3rdQ
1週 磁石と静磁界および磁界中の電流に働く力. 11. 電流と磁界間にはたらく力およびローレンツ力を理解し,説明できる.
2週 運動する荷電粒子にはたらく力(ローレンツの力)とその問題演習.
12. ローレンツ力を計算できる.
3週 ローレンツの力の問題演習(ホール効果)およびビオ・サバールの法則.
上記12
4週 ビオ・サバールの法則の応用の問題演習(円形電流のつくる磁界および線分電流のつくる磁界). 13. ビオ・サバールの法則の基本を理解し,円形電流など,簡単な磁界計算ができる.
5週 アンペ-ルの法則と問題演習(直線電流のつくる磁界および円柱電流のつくる磁界).
14. アンペールの法則について理解し,その簡単な説明,計算が
できる.
6週 アンペ-ルの法則の応用の問題演習(無限の広さの導体板に一様に流れる電流のつくる磁界およびコイルに流れる電流のつくる磁界). 15. アンペールの法則を用いて磁界の計算ができる.
7週 アンペールの法則の問題演習(平行二線を流れる電流の受ける力および1[A]の定義). 上記15
8週 後期中間試験. これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 中間試験の解説およびファラデーの法則とその問題演習(磁界中で回転するコイルに誘起される起電力)およびファラデーの法則の発電(風力,水力,火力,原子力)への応用. 16. ファラデーの法則について理解し,その簡単な説明,計算およびその発電への応用が説明できる.
10週 ファラデーの法則の問題演習(磁界Bの変化する問題,面積Sの変化する問題). 17. ファラデーの法則を用いて起電力の計算ができる.
11週 自己インダクタンスLとその問題演習(コイルのLおよび中心を一致させた2つの円筒を逆向きに電流が流れるときのL). 18. 自己インダクタンスについて理解し,その基本的形状のLが計算ができる.
12週 自己インダクタンスLの問題演習(RL回路の過渡応答). 19. 基本的形状の自己インダクタンスLの計算ができる.
13週 相互インダクタンスMと問題演習(2つのコイルのM,変圧器の原理). 20. 相互インダクタンスについて理解し,その基本的形状のMが計算ができる.
14週 磁界のエネルギーと問題演習(コイルの蓄えるエネルギー). 21. 静磁界エネルギーについて理解し,その簡単な説明,計算が
できる.
15週 磁界のエネルギーの問題演習(中心を一致させた2つの円筒を逆向きに電流が流れるときの円筒間のエネルギー). 22. 静磁界エネルギーの計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100