電気磁気学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電気磁気学
科目番号 0049 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「電磁気学 I 電場と磁場」および「電磁気学 II 変動する電磁場」 長岡洋介著(岩波書店)参考書:「ファインマン物理学Ⅲ 電磁気学」 宮島龍興訳(岩波書店), 「電磁気学の考え方」 砂川重信著(岩波書店),「ファインマン物理学Ⅳ 電磁波と物性」 戸田盛和訳(岩波書店)
担当教員 森 育子

到達目標

 電気磁気学の基礎となる物理法則と物理法則を表す数学を理解し,導体と静電界,静電磁界の微分法則,Maxwellの方程式と電磁波および物質中の電磁界の問題の計算に必要な専門知識を身に付け,上記の様々な問題の計算に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1導体と静電界に関する応用問題を解くことができる.導体と静電界に関する基本問題を解くことができる.導体と静電界に関する基本問題を解くことができない.
評価項目2静電磁界の微分法則に関する応用問題を解くことができる.静電磁界の微分法則に関する基本問題を解くことができる.静電磁界の微分法則に関する基本問を解くことができない.
評価項目3Maxwellの方程式と電磁波および物質中の電磁界に関する応用問題を解くことができる.Maxwellの方程式と電磁波および物質中の電磁界に関する基本問題を解くことができる.電磁界に関する基本問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 第3学年の電気磁気学に引きつづき,電気・電子,情報・通信関連工学の基礎を培うための専門基礎知識修得を目標とする.また具体的問題を解き,課題解決に必要な専門知識と技術の応用・展開能力を養う.更に電気磁気現象を念頭におき,工学実験における基礎法則の理解を一層深める.第4学年では,導体と静電界,電磁界の微分法則,Maxwellの方程式と電磁波,物質中の電磁界などを主体に講じる.
授業の進め方・方法:
すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
 上記の「知識・能力」1~12を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね同じとする.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<注意事項>
 電磁気学のノートをつくること.計算の途中で間違えても消しゴムで消さないで残すようにするのがよい.
 本教科は後に学習する電子計測,集積回路工学,電子材料工学,光電子工学の基礎となる教科である.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
 3年次の電気磁気学の理解が十分であることが前提である.本教科は3年次の電気磁気学の学習が基礎となる教科である.
<自己学習>
 授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)およびレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が90時間に相当する学習内容である.
<学業成績の評価方法および評価基準>
 前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の試験の成績の平均点で評価する.ただし,未提出のレポートが1つでもある場合は,評価を0点とする.また,前期中間試験  について60点に達していない者(無断欠席の者を除く)には再試験の機会を与え,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には60点を上限として再試験前の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.なお,前期中間試験の再試験を受ける者は補講を受けなければならない.
<単位修得要件>
 与えられた課題レポートを全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導体のまわりの静電界,電界と電位の関係の復習.  1. 導体のまわりの静電界について理解できる.
2週 導体のまわりの静電界の問題演習,境界条件. 2. 導体のまわりの静電界について計算できる.
3週 鏡像法とその問題演習. 3. 鏡像法を用いて問題を解くことができる.
4週 一様電界中に置かれた導体球のまわりの電位と電界. 上記2
5週 電気容量,電気容量係数とその問題演習. 4. 電気容量の意味を理解できる.
6週 コンデンサーと問題演習. 5. コンデンサーの電気容量を計算できる.
7週 静電界のエネルギーと問題演習. 6. コンデンサーに蓄えられるエネルギーを計算できる.
8週 中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 中間試験の解説および導体のまわりの静電界の問題演習. 上記2
10週 Gaussの法則の微分形の導出. 7. Gaussの定理,Stokesの定理に関する基礎理解と簡単な演算ができる.
11週 Ampereの法則および渦なしの法則の微分形の導出. 8. Gaussの定理,Stokesの定理を用いて簡単な演算ができる.
12週 Poissonの方程式の導出とその問題演習1(厚さdの平板に一様に分布した電荷がつくる電位と電界). 9. 静電界のPoissonの方程式を理解し,問題を解くことができる.
13週 Poissonの方程式の問題演習2(半径aの円柱状の電荷のつくる電位と電界). 10. 静電界のPoissonの方程式を解くことができる.
14週 Poissonの方程式の問題演習3(半径aの球状の電荷のつくる電位と電界). 上記10
15週 導体のまわりの静電界および静電界のエネルギーの問題演習. 11. 電界のもつエネルギーを理解し、計算できる.
16週
後期
3rdQ
1週 Gaussの定理,Stokesの定理を用いて静電磁界の法則の積分形から微分形の導出およびFaradayの法則の微分形の導出. 上記8
2週 電荷保存則,変位電流とAmpere-Maxwellの法則の導出. 12. 変位電流の定義,その物理的意味を理解し,その利用の基礎演算ができる.
3週 変位電流の計算,大学生のオームの法則,Maxwellの方程式.
13. 変位電流の計算がができる.Maxwellの方程式の物理的意味を理解し,説明ができる.
4週 Poyntingベクトルとその問題演習. 14. Poyntingベクトルの意味を理解し,電磁波のエネルギーを計算できる.
5週 波動方程式の導出とその解法,平面波,横波としての電磁波.
15. 電磁波の波動方程式を導き,横波であることを説明できる.
6週 電磁界の向きと電磁波の進行方向,電磁波のエネルギーとPoyntingベクトル. 16. ベクトルの基本演算(内積,外積,微分演算子,発散,勾配,回転)ができる.電界,磁界の発散,電界の回転の意味をつかみ,その簡単な計算ができる.
7週 進行波と後退波および定在波,電磁波の放射と伝播. 17. 進行波と後退波,定在波(定常波)の説明ができる.電磁波の放射と伝搬が説明できる.
8週 中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 中間試験の解説,誘電体の分極と電束密度ベクトル. 18. 誘電体中の電界の振る舞いについて物理的意味を理解し説明できる.
10週 一様電界中に置かれた誘電体球の分極と内部電界. 19. 誘電体中の電界の振る舞いについて物理的意味を理解し,分極電荷,誘電体中の電界が計算できる.
11週 静電界の境界条件と問題演習(電界に関する屈折の法則および一様電界中に置かれた誘電体板の分極電荷). 20. 分極電荷,誘電体中の電界が計算できる.
12週 誘電体装荷コンデンサーの電気容量と問題演習(平行平板コンデンサー,円筒形コンデンサー,球形コンデンサー). 21. 誘電体装荷コンデンサーの電気容量やコンデンサー内の誘電体が受ける力等の計算ができる.
13週 磁性体,磁化と磁界の強さ,静磁界の境界条件. 22. 磁性体中の磁界の振る舞いについての物理的意味を理解し,説明ができる.
14週 磁気回路とその問題演習. 23. 磁気回路等の計算ができる.
15週 磁気双極子モーメントとその問題演習. 24. 磁気双極子モーメントの計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100