電子工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子工学
科目番号 0049 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「新編電気工学講座 改訂 電子工学」 西村信雄,落山謙三(コロナ社),参考書:「半導体工学」高橋清(森北出版株式会社)
担当教員 伊藤 明

到達目標

1. 半導体の特性を説明できる.
2. キャリアの基本的な振る舞いを説明できる.
3. 半導体素子の振る舞いを説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体のエネルギーバンド構造を理解し、外部エネルギーを加えたときの変化を説明できる.絶縁体,導体,半導体の区別をエネルギーバンドを用いて説明できる.絶縁体,導体,半導体の区別を説明できない.
評価項目2数式を用いてキャリアの振る舞いを説明できる.エネルギーバンドを用いて,p型半導体とn型半導体の動作の特徴をできる.電子と正孔の基本的な振る舞いを説明できない.
評価項目3太陽電池,サイリスタなど半導体素子の動作を説明できる.ダイオード、トランジスタの基本動作を説明できる.ダイオード、トランジスタの基本動作を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子の振る舞いを取り扱う電子工学では,物理的に物事を捉え認識する能力が必要である.とりわけ位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)の概念は,繰り返し現れる考え方で比重に重要である.また,光のエネルギーなどの物理量が‘粒子’のようにある一定量のかたまりとして振舞う量子力学的取り扱いが必要となり,これにより絶縁体・半導体・導体など固体材料の電気的特性やレーザ動作などが理解できるようになる.目に見えない電子などの物理現象を,幾つかの仮定と理論を用いて理解し,ダイオードやトランジスタをはじめ身の回りの電子デバイスの動作を理解する為に必要な基礎知識を学ぶ.
授業の進め方と授業内容・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」に関する問題を中間試験および定期試験,および小テストとレポートで出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね均等とする.評価結果が百点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間,前期末,後期中間,学年末の4回の試験の平均点を80%,小テストの結果を10%,課題(レポート)を10%で評価する.
再試験は行わない.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は電気電子基礎や物理や数学の学習が基礎となる教科である.物理で習った位置エネルギーの概念,化学で習った原子構造の基礎,数学で習った基礎的な微分・積分.
<自己学習>授業で保証する時間,中間試験,定期試験の準備を含む予習復習時間,レポート作成に必要な標準的な時間の合計が,45時間に相当する内容となっている.
<注意事項>エネルギーバンド図の概念は非常に重要で,今後繰り返し用いるので必ず理解すること.本教科は後に学習する電気回路論,電子回路の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容・方法 週ごとの到達目標
前期
1週 物質と電子.原子構造.原子の周期表と価電子. 価電子の数によって物質の性質が特徴付けられることを説明できる.
2週 電子の運動質量.エネルギ-と質量の等価則. 物質の速度が光速と同等になった時の変化が説明できる.
3週 量子力学の基礎.物理量の量子化と二重性.電子の波動性と光子の粒子性. 量子力学における粒子性と波動性について説明できる.
4週 電子と電流.オームの法則の導出. 電子の移動度とキャリア密度に基づくオームの法則が導出できる。
5週 電子の運動エネルギー.エネルギーを表す単位の定義;電子ボルト(eV)とジュール. 電子のエネルギー量であるエレクトロンボルトを用いた計算ができる.
6週 量子力学的取り扱い.(量子条件と振動条件) 水素様モデルを用いて電子の真空準位への抽出について説明できる.
7週 水素原子の第一イオン化エネルギーの導出.ボーア半径. 水素様モデルを用いて電子の真空準位への抽出について説明できる.
8週 中間テスト
9週 原子相互作用による電子のエネルギー準位の変化. 共有結合による物質の結合についてエネルギー順位を用いて説明できる.
10週 エネルギーバンド図.電気伝導. エネルギーバンド図について説明できる.
11週 導体,絶縁体,半導体の分類.導電率による分類とエネルギーバンドによる分類. 導体,絶縁体,半導体の電気的特性の違いを説明できる.
12週 半導体の結晶構造による分類.アモルファス,多結晶,単結晶.元素半導体;ダイアモンド構造. 半導体の結晶構造の基本について説明できる。
13週 フェルミ準位とフェルミ分布関数.フェルミ準位の二つの定義;電子の存在確率1/2 と最上位電子のエネルギー フェルミ分布関数とフェルミエネルギーについて説明ができる.
14週 キャリアの種類(電子と正孔).真性半導体.真性キャリア密度. 半導体中のキャリアを用いて,電気伝導が説明できる.
15週 n形半導体とp 形半導体.アクセプタとドナー. n形半導体とp形半導体について,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
16週
後期
1週 少数キャリアの注入と拡散.ライフタイムと拡散係数.アインシュタインの関係. 再結合と拡散について説明できる.
2週 ホール効果.ホール電圧の導出.キャリアの移動度とキャリアのタイプの判別. ホール効果の原理とその応用が説明できる.
3週 pn接合とその熱的平衡状態.電位障壁の形成.ポアソンの方程式.空乏層内の空間電荷密度,電界強度,電位. pn接合のエネルギーバンド図について説明できる.
4週 pn接合の整流特性.印加バイアスによる多数キャリアと少数キャリアの流れと電位障壁高さの変化. pn接合の整流性について,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
5週 pn接合の降伏現象.(ツェナー降伏). pn接合の二つの降伏現象について,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
6週 pn接合の降伏現象.(電子なだれ降伏). pn接合の二つの降伏現象について,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
7週 pn接合の接合容量.可変容量ダイオードの原理. pn接合を利用したダイオード,サイリスタなど半導体素子の動作を,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
8週 中間テスト
9週 少数キャリアの蓄積効果.ダイオード印加電圧のスイッチングによる過渡現象. pn接合を利用したダイオード,サイリスタなど半導体素子の動作を,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
10週 サイリスタの動作原理.ゲート電流による少数キャリア注入が引き起こす降伏現象の制御. pn接合を利用したダイオード,サイリスタなど半導体素子の動作を,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
11週 バイポーラトランジスタの動作原理.エミッタ,ベース,コレクタ端子の働き. バイポーラトランジスタの基本動作を,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
12週 ベース接地,エミッタ接地の電流増幅率と電圧増幅率.キャリアの注入効率,輸送効率,入力インピーダンスと出力インピーダンス. ベース接地,エミッタ接地の電流増幅率を,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
13週 電界効果トランジスタの動作原理(接合型).ピンチオフ状態. FETの基本動作を,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
14週 電界効果トランジスタの動作原理(MOS 型).ゲート電圧による蓄積,空乏,反転状態の制御.しきい値電圧. FETの基本動作を,エネルギーバンド図を用いて説明ができる.
15週 光電効果の原理と応用.光センサ,太陽電池. フォトダイオード,太陽電池の基本動作が説明できる.
16週

評価割合

試験発表レポート小テスト平常点その他合計
総合評価割合800101000100
配点800101000100