応用数学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用数学Ⅰ
科目番号 0105 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書「新編 高専の数学3」 田代嘉宏 他著 (森北出版),「新 応用数学」高遠節夫 他著(大日本図書) 参考書 「キーポイントフーリエ解析」船越 満明(岩波書店) 「新訂確率統計」 高藤節夫 他著(大日本図書)
担当教員 藤井 大輔

到達目標

微分方程式,確率統計,フーリエ解析, 複素関数論に関して,それらの基本的事項を理解し,工学上の応用問題を解決するための数学的知識と計算技術を習得すること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 微分方程式を理解し基本的な1階及び2階の微分方程式に関する様々な問題で適切に解くことができる.微分方程式を理解し基本的な1階及び2階の微分方程式に関する典型的な問題で適切に解くことができる.微分方程式を理解せず,基本的な1階及び2階の微分方程式に関する問題を解くことができない.
評価項目2 確率や統計の基礎概念を理解し,様々な問題で適切な計算ができる.確率や統計の基礎概念を理解し,典型的な問題で適切な計算ができる.確率や統計の基礎概念を理解せず,関連する問題を解くことができない.
評価項目3 フーリエ級数とフーリエ変換に関する基礎を理解し,関連する問題で適切な計算ができる.フーリエ級数とフーリエ変換に関する基礎を理解し,関連する典型的な問題で適切な計算ができる.フーリエ級数とフーリエ変換に関する基礎を理解せず,関連する問題を解くことができない.
評価項目4複素数や正則関数の基礎を理解し,関連する様々な問題で適切な計算ができる.複素数や正則関数の基礎を理解し,関連する典型的な問題で適切な計算ができる.複素数や正則関数の基礎を理解せず,関連する問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
微分方程式,確率統計,フーリエ解析、複素関数論は,あらゆる工学の基礎であり,技術者にとって重要な応用数学の一分野である.したがって,微分方程式に関しては,基本的な性質や一般的な解法を理解し,それらを運用できることが必要である.また,確率統計,フーリエ解析、複素関数論に関しても,それらの基礎を理解し,工学上の応用問題を解決できる能力を養うことが必要である.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>およびJABEE基準1(2)(c)に相当する.
・授業は講義形式とする.
・授業計画における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
〈到達目標の評価方法と基準〉下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「到達目標」の重みは概ね均等とする.評価結果が100点法で60点以上の場合に,目標の達成とする.

〈学業成績の評価方法および評価基準〉前期中間・前期末・後期中間・学年末の,計4回の試験結果の平均点を最終評価とする.成績不振者に対し,レポート・補講を課した後の再試験を実施する場合がある.ただし,学年末試験についての再試験は実施しない.

〈単位修得条件〉学業成績で60点以上を取得すること.

〈あらかじめ要求される基礎知識の範囲〉微分積分学,線形代数,順列と組み合せに関する基本的な理解が必要である.また,本教科の学習には,とくに「微分積分Ⅰ」「微分積分Ⅱ」の習得が必要である.

〈自己学習〉授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験,復習テストのための学習も含む)及びレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.

〈備考〉微分方程式,確率統計,フーリエ解析,複素関数論は,あらゆる工学の基礎であり,技術者にとって重要な応用数学の一分野である.基本的な例題を理解し,問題演習(トレーニング)に取り組むことが大切である. また,本教科は後に学習する「応用数学Ⅱ」に強く関連する教科である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微分方程式と解 1.微分方程式の一般解,特殊解,特異解について理解している.
2週 変数分離形 2.変数分離形の微分方程式を解くことができる.
3週 同次形 3.同次形の微分方程式を解くことができる.
4週 線形微分方程式 4. 1階線形微分方程式を解くことができる.
5週 完全微分形 5.完全微分形の微分方程式を解くことができる
6週 1階微分方程式の応用例 6.基本的な初期値問題と境界値問題を解くことができる.
7週 定数係数2階線形微分方程式 7.定数係数の2階斉次線形微分方程式を解くことができる.
8週 中間試験 これまでに学習した内容を理解し,微分方程式に関する具体的な問題を解くことができる.
2ndQ
9週 微分方程式についての補足 これまでの学習と試験の結果を振り返り,微分方程式への理解を深めることができる.
10週 試行と事象、確率の意味 8.確率の定義と基本的性質を理解し,計算ができる.
11週 確率の計算, 独立事象 8.確率の定義と基本的性質を理解し,計算ができる.
12週 確率変数と確率分布,平均値・分散・標準偏差 9.確率分布の期待値,分散,標準偏差を理解している.
13週 二項分布 10.二項分布を理解している.
14週 1変量の平均値・分散 11.1変量の平均値,分散,標準偏差を理解している.
15週 2変量の相関,回帰直線 12.2変量での相関係数,回帰直線を理解している.
16週
後期
3rdQ
1週 母集団と標本,連続型確率分布 13.記述統計と推定統計の概念を理解できる.
2週 正規分布 14.正規分布を理解し、応用することができる.
3週 二項分布の正規分布による近似 14.正規分布を理解し、応用することができる.
4週 周期2πの関数のフーリエ級数 15.周期関数のフーリエ級数を求めることができる.
5週 一般の周期関数のフーリエ級数 15.周期関数のフーリエ級数を求めることができる.
6週 複素フーリエ級数,微分方程式への応用 16.周期関数の複素フーリエ級数を求めることができる.
7週 フーリエ変換の定義と性質 17.フーリエ変換の定義と基本的な性質を理解できる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を理解し,統計,フーリエ級数に関する問題を解くことができる.
4thQ
9週 フーリエ変換と積分定理 17.フーリエ変換の定義と基本的な性質を理解できる.
10週 偏微分方程式への応用 18.フーリエ解析と偏微分方程式について答えることができる.
11週 スペクトル 19.フーリエ解析と波形分析について答えることができる.
12週 複素数と極形式 20.複素数の極形式を理解できる.
13週 複素関数 21.複素関数の概念を理解し,計算ができる.
14週 正則関数 22.正則関数の概念を理解し,計算ができる.
15週 コーシー・リーマンの関係式 23.コーシー・リーマンの関係式を理解し,複素関数の正則性を判定することができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100