応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0110 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「新編 物理学」藤城敏幸 東京教学社
担当教員 丹波 之宏

到達目標

質点の力学,質点系と剛体の力学,熱力学及び現代物理の基礎を理解し,それらに関連した諸物理量を求めるために数学的知識に基づいて問題を式に表すことができ,解を求めることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1質点の力学に関する応用的な問題を解くことができる.質点の力学に関する基礎的な問題を解くことができる.質点の力学に関する基礎的な問題を解くことができない.
評価項目2質点系と剛体の力学に関する応用的な問題を解くことができる.質点系と剛体の力学に関する基礎的な問題を解くことができる.質点系と剛体の力学に関する基礎的な問題を解くことができない.
評価項目3熱力学に関する応用的な問題を解くことができる.熱力学に関する基礎的な問題を解くことができる.熱力学に関する基礎的な問題を解くことができない.
評価項目4現代物理学の基礎に関する応用的な問題を解くことができる.現代物理学の基礎に関する基礎的な問題を解くことができる.現代物理学の基礎に関する基礎的な問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理は自然界の法則,原理を追求する学問であり,専門科目を学ぶための重要な基礎科目となっている.本講義では,微分,積分,ベクトルを使い,大学程度の物理を学ぶ.質点の力学,質点系と剛体の力学に続き,熱力学及び現代物理の基礎を学ぶ.
授業の進め方・方法:
第1週~第30週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE基準1(2)(d)(1)に相当する.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
到達目標1~22を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各到達目標の重みは概ね均等とする.各試験の評価結果が百点法で60点以上の場合に目標の達成とする1
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期中間,前期末,後期中間,学年末の4回の試験の平均点で評価する.また<レポート等>に下記した演習課題の評価を最大で20%まで試験の評価に加えることがある。これらの試験で60点を取得できない場合には,再試験を行う場合がある(60点を上限として評価する).ただし、学年末試験においては再試験を行わない.
<単位修得要件>
学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
3年生までに習った数学と物理の知識を十分に修得していること.本授業科目は物理・応用物理Iの学習が基礎となる授業科目である.
<レポート等>
4回の試験、それぞれに関した演習課題を課す.
<備考>
物理においては,これまでに習得した知識・能力を基盤とした上でしか新しい知識・能力は身に付かない.講義で示した例題や演習課題は確実にこなして,新しい知識・能力を確かなものにすること.本教科は後に学習する応用物理学(専攻科)の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 変位・速度・加速度 1.加速度,速度,位置・変位を求めることができる.
2週 運動の法則 2.与えられた条件下において適切な運動方程式を記述できる.
3週 落下運動・放物運動 上記2
4週 円運動・単振動(水平方向) 3.単振動現象に関連する諸物理量を求めることができる.
5週 単振動(鉛直方向)・減衰振動 上記2、3
6週 運動量と力積、仕事と運動エネルギー 4.運動量と力積,または運動エネルギーと仕事の関係を用いて,適切な関係式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる.
7週 保存力と位置エネルギー 5.保存力場の性質を利用して,適切な関係式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる.
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容について理解している。
2ndQ
9週 重心運動と相対運動 7.重心および重心系の性質を利用して,諸関係式または諸物理量を求めることができる.
10週 質点系の運動 8.運動量が保存される系において,適切な関係式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる.
11週 質点系の角運動量と運動エネルギー 6.角運動量が保存される系において,適切な関係式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる
12週 剛体にはたらく力と力のモーメント 9.静止している剛体において,並進と回転におけるつり合い式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる.
13週 固定軸の周りの剛体の運動 10.運動している剛体において,並進と回転に対する運動方程式を記述でき,関連する諸物理量を求めることができる.
14週 慣性モーメントの求め方 11.慣性モーメントを求めることができる.
15週 剛体の平面運動 上記10
16週
後期
3rdQ
1週 温度,状態方程式,準静的過程 13.状態方程式を利用して,関連する諸物理量を求めることができる.
2週 熱力学の第1法則 14.熱力学の第1法則を利用して,関連する諸物理量を求めることができる.
3週 熱容量と比熱,理想気体の断熱変化 12.等温,等積,等圧,断熱などの様々な変化条件の下で,関連する諸物理量を求めることができる.
4週 カルノー・サイクル 上記12
5週 熱力学の第2法則理 15.熱力学の第2法則を適用して関連する物理現象を説明できる.またはトムソンの原理とクラウジウスの原理について,一方から他方を導出できる.
6週 熱機関の効率と熱力学的温度目盛 16.熱効率を適切に求めることができる.
7週 エントロピー,不可逆変化とエントロピー 17.与えられた条件下で,エントロピーの変化量を求めることができる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容について理解している。
4thQ
9週 気体分子運動論,マクスウェルの速度分布関数 18.気体分子運動の観点から状態量を求めることができる.
10週 ローレンツ変換,質量とエネルギー 19.特殊相対性理論の基礎的概念を理解している.
11週 熱放射と量子仮説,光電効果 20.光の粒子性と電子の波動性を説明できる.
12週 コンプトン効果,結晶とX線 上記20
13週 陰極線と電子,原子模型とボーアの量子論 21.原子構造とボーアの量子論を説明できる.
14週 振動数条件の適用,電子の波動性 上記21
15週 シュレーディンガー方程式 22.量子力学の基礎的概念を理解している.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3

評価割合

試験実験相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100