情報数学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 情報数学
科目番号 0190 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「情報科学のための離散数学」柴田正憲・浅田由良共著(コロナ社),参考書:「離散数学」牛島和夫編著(コロナ社),「計算論への入門」E.キンバー(ピアソンエデュケーションジャパン),「工学のための離散数学」黒澤著(数理工学社),「オートマトン・言語理論の基礎」米田ほか著(近代科学社),など.
担当教員 田添 丈博

到達目標

オートマトン・言語理論,計算の理論・計算の複雑さ,代数系・整数論・有限体,暗号・符号理論に関して,それらの基本的事項を理解し,工学上の応用問題を解決するための数学的知識と計算技術を習得すること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1離散数学の基本的な概念に関する問題を解くことができる.離散数学の基本的な概念を説明できる.離散数学の基本的な概念を説明できない.
評価項目2離散数学に関するアルゴリズムを実装することができる.離散数学に関する知識をアルゴリズムに利用することができる.離散数学に関する知識をアルゴリズムに利用することができない.
評価項目3オートマトン・言語理論に関する問題を解くことができる.オートマトン・言語理論の概念について説明できる.オートマトン・言語理論の概念について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
オートマトンは,現実の機械を抽象化したものとして,計算というものを理論的に考察する場合の基礎である.このような抽象化された機械を用いて,計算が不可能な問題が存在することを示す.計算が可能な場合においても,その計算量の程度についても考察する.また,オートマトンは,文字の並びとしての語,そして,語の集まりである言語を定めるものとして,コンパイラなどの分野で重要である.さらに,集合,写像,関係,代数系などに関して,これらを応用と関連付けて学ぶと,興味深い分野であることを示す.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>およびJABEE基準1.2(c)に対応する.
・授業は講義・輪講形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.各到達目標に関する重みは同じである.評価結果が100点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間・前期末・後期中間・学年末の,計4回の試験結果の平均点を最終評価とする.ただし,試験の得点が60点に満たない場合は,補講の受講やレポート提出等の後,再試験により再度評価し,合格点の場合は先の試験の得点を60点と見なす.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>指数・対数・三角関数,数列と級数,微分と積分,順列と組合せ,線形代数の基本事項について理解していること.とくに,本教科の学習には「線形代数Ⅰ」「線形代数Ⅱ」の理解と習得が必要である.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)及びレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<注意事項>オートマトン・言語理論,計算の理論・計算の複雑さ,代数系・整数論・有限体,暗号・符号理論は,情報工学のさまざまな分野で利用されており,技術者にとって重要な数学の一分野である.基本的な例題と演習問題に取り組み,内容を十分理解することが大切である.本教科は,後に学習する「代数学特論」(専攻科)に強く関連する教科である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 集合
1. 集合に関する基本的な概念を理解し,集合演算を実行できる.
2週 双対性
1. 集合に関する基本的な概念を理解し,集合演算を実行できる.
3週 関数
2. 集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる.
4週 関数の合成
2. 集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる.
5週 順列・組合せ
3. 代数的構造に関する問題を解くことができる.
6週 多項定理
4. 関係,類別と同値類に関する問題を解くことができる.
7週 基数法
5. 証明の方法に関する問題を解くことができる.
8週 中間試験
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 論理代数
6. 論理代数に関する基本的な概念を説明できる.
10週 条件文と双条件文
6. 論理代数に関する基本的な概念を説明できる.
11週 ブール代数
7. ブール代数に関する基本的な概念を説明できる.
12週 論理ゲートと論理回路
7. ブール代数に関する基本的な概念を説明できる.
13週 カルノー図
7. ブール代数に関する基本的な概念を説明できる.
14週 述語論理
8. 述語論理に関する基本的な概念を説明できる.
15週 束縛変数と自由変数
8. 述語論理に関する基本的な概念を説明できる.
16週
後期
3rdQ
1週 グラフの概念と基礎知識
9. グラフ構造の基本に関する問題を解くことができる.
2週 いろいろなグラフ
9. グラフ構造の基本に関する問題を解くことができる.
3週 二つの古典的問題
10. オイラー閉路に関する問題を解くことができる.
4週 結婚の問題とラテン方陣
10. オイラー閉路に関する問題を解くことができる.
5週
11. 木構造の基本に関する問題を解くことができる.
6週 有向グラフ
11. 木構造の基本に関する問題を解くことができる.
7週 ネットワークプランニング
12. ネットワークフローに関する問題を解くことができる.
8週 中間試験
これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 アルファベットと言語
13. 集合,写像等に関する問題を解くことができる.
10週 有限状態機械
14. 有限オートマトンに関する問題を解くことができる.
11週 有限オートマトン
14. 有限オートマトンに関する問題を解くことができる.
12週 文脈自由文法
15. プッシュダウンオートマトンに関する問題を解くことができる.
13週 プッシュダウンオートマトン
15. プッシュダウンオートマトンに関する問題を解くことができる.
14週 チューリング機械
16. チューリング機械に関する問題を解くことができる.
15週 オートマトンと言語
17. オートマトンと形式言語の関係に関する問題を解くことができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。4
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。4
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。4
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100