有機化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 有機化学
科目番号 0026 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「有機化学 改訂3版」奥山格・石井昭彦・箕浦真生 著(丸善出版),参考書:「マクマリー有機化学」伊東,児玉ほか訳(東京化学同人),「ボルハルトショアー現代有機化学」古賀,野依,村橋監訳(化学同人) その他関連の参考書は図書館に多数ある.
担当教員 山本 智代

到達目標

有機化合物の構造および結合に関する基礎知識,脂肪族・芳香族炭化水素に関する基本的な反応および命名法について理解している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の構造と結合に関する基礎事項に基づき,脂肪族・芳香族炭化水素,アルコール,エーテル,エポキシドの三次元的な構造,立体化学,物理的・化学的性質,および反応性が説明できる.有機化合物の構造と結合に関する基礎事項が説明できる.有機化合物の構造と結合に関する基礎事項(官能基,化学結合,構造異性体,シス―トランス異性体,立体配座,酸と塩基,ルイス構造,原子価殻電子対反発法,σ結合,π結合,混成軌道,共鳴構造,芳香族性(ヒュッケル則),誘起効果,共鳴効果)を理解していない.
評価項目2脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な反応を利用して,目的とする化合物の合成反応が説明できる.脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な合成反応が説明できる.脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な合成反応を理解していない.
評価項目3脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な合成反応の反応機構に基づき,生成物が予測できる.脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な合成反応の反応機構が説明できる.脂肪族・芳香族炭化水素の代表的な合成法およびそれらを原料とする代表的な合成反応の反応機構を理解していない.
評価項目4脂肪族・芳香族炭化水素のIUPAC命名法に基づき,構造から名前,名前から構造の変換ができる.脂肪族・芳香族炭化水素のIUPAC命名法が説明できる.脂肪族・芳香族炭化水素のIUPAC命名法を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学は,応用化学および生物工学に関する専門科目を習得するために必要な基礎科目である.第2学年では,有機化合物の構造および結合に関する基礎知識,脂肪族・芳香族炭化水素に関する基本的な反応および命名法について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準> 授業計画の「到達目標」1~20の確認を前期中間,前期末試験,後期中間試験および学年末試験で行う.評価に対する「到達目標」1~20に関する重みは同じである.各試験において満点の60%の得点で目標の達成を確認できるレベルの問題を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期成績は前期中間試験と前期末試験の平均点,後期成績は後期中間試験と学年末試験の平均点を0.8倍した値と課題点を0.2倍した値の合計とする.前期成績と後期成績の平均点を最終評価とする.ただし,各試験について60点に達していない者には再試験を課し,その成績が該当する試験の成績を上回った場合には60点を上限として再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件> 学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本教科では第1学年の「化学」における有機化学分野の学習が基礎となる.
<備考> 本教科は,第3学年以降で学ぶ有機化学系科目の「有機化学」,「高分子化学」,「有機工業化学」,「有機化学特論」(専攻科)等の基礎となるため,各授業内容を確実に習得する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 有機化合物の性質:構造による分類,異性体,官能基,骨格構造式,水素不足指数
アルカン:IUPAC命名法(直鎖アルカン,シクロアルカン)
1. 有機化合物の分類(総称)と官能基の名称,骨格構造式,水素不足指数と構造上の特徴について説明できる.
5. アルカンの命名ができる.
2週 有機化合物の構造と結合:古典的原子軌道,量子論的原子軌道,電子配置,化学結合,ルイス構造式,オクテット則,形式電荷
アルカン:立体配座
1. 原子軌道と電子配置,パウリの排他律とフントの規則,化学結合,ルイス構造式,オクテット則,形式電荷について説明できる.
2. アルカンの物理的性質および立体化学について説明できる.
3週 有機化合物の構造と結合:電気陰性度,極性共有結合
アルカン:シクロアルカンの形,IUPAC命名法(慣用名,分枝アルカン)
1. 電気陰性度とイオン結合性・共有結合性について説明できる.
上記2.
5. アルカンの命名ができる.
4週 アルカン:物理的性質,シクロアルカンの幾何異性体,IUPAC命名法(ハロゲン基) 上記2.
上記5.
5週 アルカン:合成法(接触水素添加)
3. アルカンの合成法について説明できる.
6週 アルカン:合成法(Grignard試薬の加水分解),反応(ハロゲン化) 上記3.
4. アルカンを原料とする反応について説明できる.
7週 アルカン:反応(ハロゲン化の機構),収量および収率 上記4.
8週 中間試験 これまでに学習した内容について説明できる.
2ndQ
9週 有機化合物の構造と結合:原子価殻電子対反発法,原子価結合法,分子軌道法
酸と塩基:Brønstedと Lewisの酸と塩基
アルケン:IUPAC命名法,物理的性質
6. 有機化合物の立体配置を原子価殻電子対反発法および分子軌道を用いて表わすことができる.Brønstedと Lewisの酸と塩基について説明できる.
10. アルケンの命名ができる.
10週 有機化合物の構造と結合:混成軌道,分子軌道構造式
酸と塩基:Brønstedと Lewisの酸と塩基
アルケン:幾何異性体,合成法(アルコールの脱水)
上記6.
7. アルケンの合成法について説明できる.
上記10.
11週 アルケン:合成法(ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素,二ハロゲン化物の脱ハロゲン化),アルケンの安定性,Zaitsev則 上記7.
9. アルケンの合成法およびアルケンの反応の機構について説明できる.
12週 アルケン:合成反応の機構(E1およびE2脱離,カルボカチオン中間体の構造と安定性) 上記9.
13週 アルケン:反応(接触水素添加,ハロゲンおよびハロゲン化水素の付加,水和) 8. アルケンを原料とする反応について説明できる.
14週 アルケン:反応の機構(求電子付加,Markovnikov則) 上記9.
15週 アルケン:その他の反応(ジヒドロキシ化,酸化的開裂,ヒドロホウ素化-酸化など) 上記8.
16週
後期
3rdQ
1週 共役と電子の非局在化 11.不飽和結合の共役とこれに起因するπ電子の非局在化や共鳴構造式について説明できる.
2週 ジエン:IUPAC命名法,分子軌道構造式 12.ジエン,アルキン,芳香族化合物の命名ができる.
13.共役ジエン, アルキン,芳香族化合物の共鳴構造式およびそれらお共鳴混成体への寄与について説明できる.
3週 ジエン:共役ジエンの反応(ハロゲンおよびハロゲン化水素の求電子付加)および求電子付加の反応機構(1,2-付加と1,4-付加) 14. 共役ジエンを原料とする反応およびそれらの反応機構について説明できる.
4週 ジエン:共役ジエンの反応(Diels-Alder反応)および求電子付加の機構,立体選択性 上記14.
5週 アルキン:IUPAC命名法,分子軌道構造式,合成法および反応機構(置換反応および脱離反応) 上記12, 13.
15. アルキンの合成反応とその反応機構について説明できる.
6週 アルキン:反応(接触水素添加,ハロゲンおよびハロゲン化水素の付可)および求電子付加の機構 16.アルキンを原料とする反応およびそれらの反応機構について説明できる.
7週 アルキン:反応(水和,溶解金属還元)および反応機構 上記16.
8週 中間試験 後期第1週~第7週授業で学習した内容について説明できる.
4thQ
9週 芳香族化合物:IUPAC命名法,共鳴理論,分子軌道構造式,芳香族性(ヒュッケル則) 上記12, 13.
17. 分子軌道の考え方にもとづきヒュッケル則いついて説明できる.
10週 芳香族化合物:芳香族化合物の求電子置換反応(ハロゲン化,ニトロ化,スルホン化,Fridel-Craftsアシル化,Fridel-Craftsアルキル化など )および反応機構 18. 芳香族化合物を原料とする反応およびそれらの反応機構について説明できる.
11週 芳香族化合物:芳香族化合物の求電子置換反応に対する置換基基の配向効果と活性化効果 上記18.
12週 芳香族化合物:芳香族化合物の求核置換反応,溶解金属還元およびこれらの反応機構 上記18.
13週 芳香族化合物:芳香族化合物の官能基変換反応(脱酸素反応,酸化と還元,Sandmeyer反応など) 上記18.
14週 多置換ベンゼン誘導体の多段階合成 上記18.
15週 総合演習 後期第9週~第14週授業で学習した内容について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4
共鳴構造について説明できる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4

評価割合

試験課題レポート・小テスト相互評価態度発表その他合計
総合評価割合90100000100
配点90100000100