概要:
有機化学は,応用化学および生物工学に関する専門科目を習得するために必要な基礎科目である.第2学年では,有機化合物の構造および結合に関する基礎知識,脂肪族・芳香族炭化水素に関する基本的な反応および命名法について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準> 授業計画の「到達目標」1~20の確認を小テスト,課題レポート,前期中間試験,前期末試験,後期中間試験および学年末試験で行う.評価に対する「到達目標」1~20に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期中間・前期末・後期中間・学年末の試験結果を80%,小テストおよび課題レポートの結果を20%として,それぞれの期間毎に評価し,これらの平均値を最終評価とする.再試験は行わない.
<単位修得要件> 学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本教科では第1学年の「化学」における有機化学分野の学習が基礎となる.
<レポート等> 内容毎に小テストあるいは課題レポートの提出を実施する.
<備考> 本教科は,第3学年以降で学ぶ有機化学系科目の「有機化学」,「精密合成化学」,「高分子化学」,「有機工業化学」,「有機化学特論」(専攻科),「高分子化学特論」(専攻科)等の基礎となるため,各授業内容を確実に習得する.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
有機化合物の性質:構造による分類,異性体,官能基,骨格構造式,水素不足指数 アルカン:IUPAC命名法(直鎖アルカン,シクロアルカン) |
1. 有機化合物の分類(総称)と官能基の名称,骨格構造式,水素不足指数と構造上の特徴について説明できる. 5. アルカンの命名ができる.
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2週 |
有機化合物の構造と結合:古典的原子軌道,量子論的原子軌道,電子配置,化学結合,ルイス構造式,オクテット則,形式電荷 アルカン:物理的性質 |
1. 原子軌道と電子配置,パウリの排他律とフントの規則,化学結合,ルイス構造式,オクテット則,形式電荷について説明できる. 2. アルカンの物理的性質および立体化学について説明できる.
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3週 |
有機化合物の構造と結合:電気陰性度,極性共有結合 アルカン:立体配座,IUPAC命名法(慣用名,分枝アルカン)
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1. 電気陰性度とイオン結合性・共有結合性について説明できる. 上記2. 5. アルカンの命名ができる.
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4週 |
アルカン:シクロアルカンの幾何異性体,IUPAC命名法(ハロゲン基) |
上記2. 上記5.
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5週 |
アルカン:合成法(接触水素添加,Grignard試薬の加水分解)
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3. アルカンの合成法およびアルカンを原料とする反応について説明できる. 4. アルカンの合成法およびアルカンの反応の機構について説明できる.
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6週 |
アルカン:反応(ハロゲン化) |
上記3.
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7週 |
アルカン:反応の機構(遊離基連鎖反応),収量および収率 |
上記4.
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8週 |
中間試験 |
これまでに学習した内容について説明できる.
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2ndQ |
9週 |
有機化合物の構造と結合:原子価殻電子対反発法 アルケン:物理的性質,IUPAC命名法 |
6. 有機化合物の立体配置を原子価殻電子対反発法を用いて表わすことができる. 10. アルケンの命名ができる.
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10週 |
酸と塩基:Brønstedと Lewisの酸と塩基 アルケン:幾何異性体 |
6. Brønstedと Lewisの酸と塩基について説明できる. 上記10.
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11週 |
アルケン:合成法(アルコールの脱水,ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素,二ハロゲン化物の脱ハロゲン化),アルケンの安定性,Zaitsev則 |
7. アルケンの合成法について説明できる. 9. アルケンの合成法およびアルケンの反応の機構について説明できる.
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12週 |
アルケン:合成反応の機構(E1およびE2脱離,カルボカチオン中間体の構造と安定性) |
上記9.
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13週 |
アルケン:反応(接触水素添加,ハロゲンおよびハロゲン化水素の付加,水和) |
8. アルケンを原料とする反応について説明できる.
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14週 |
アルケン:反応の機構(求電子付加,Markovnikov則) |
上記9.
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15週 |
アルケン:その他の反応(ジヒドロキシ化,酸化的開裂,ヒドロホウ素化-酸化など) |
上記8.
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
有機化合物の構造と結合:原子価結合法,分子軌道法,混成軌道
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11. アルカン,アルケン,アルキンを分子軌道構造式を用いて表わすことができる.
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2週 |
有機化合物の構造と結合:分子軌道構造式
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上記11.
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3週 |
ジエンとポリエン:IUPAC命名法,分子軌道構造式 |
上記11. 15. ジエンおよびアルキンの命名ができる.
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4週 |
ジエンとポリエン:共役ジエンの反応(ハロゲンおよびハロゲン化水素の付加,Diels-Alder反応)および反応の機構(1,2-付加と1,4-付加) |
12. 共役ジエンを原料とする反応およびそれらの反応機構について説明できる.
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5週 |
アルキン:IUPAC命名法,分子軌道構造式 |
上記11. 上記15.
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6週 |
アルキン:合成法および合成の機構(置換反応および脱離反応) |
13. アルキンの合成法およびアルキンを原料とする反応について説明できる. 14. アルキンの合成法およびアルキンの反応の機構について説明できる.
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7週 |
アルキン:反応(接触水素添加,ハロゲンおよびハロゲン化水素の付加,水和)および反応の機構(求電子付加反応,Markovnikov則) |
上記13. 上記14.
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8週 |
中間試験 |
これまでに学習した内容について説明できる.
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4thQ |
9週 |
芳香族化合物:IUPAC命名法,共鳴理論,分子軌道構造式,芳香族性(ヒュッケル則) |
16. 芳香族炭化水素を分子軌道構造式を用いて表わし,芳香族性について説明できる. 20. 芳香族化合物の命名ができる.
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10週 |
芳香族化合物:反応(ハロゲン化,ニトロ化,スルホン化,Fridel-Craftsアシル化,Fridel-Craftsアルキル化など ) |
17. 芳香族化合物を原料とする反応について説明できる.
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11週 |
芳香族化合物:反応の機構(求電子置換反応) |
18. 芳香族化合物を原料とする反応の機構について説明できる.
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12週 |
芳香族化合物:置換基の配向効果 |
19. 芳香族化合物を原料とする反応における置換基の配向効果および活性化効果について説明できる.
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13週 |
芳香族化合物:置換基の活性化効果 |
上記19.
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14週 |
芳香族化合物:芳香族化合物の官能基変換反応(脱酸素反応,酸化と還元,Sandmeyer反応など) |
上記17.
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15週 |
芳香族化合物:多段階合成 |
上記17.
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |