生物応用化学実験(前期)

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 生物応用化学実験(前期)
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 教科書:「生物応用化学実験テキスト」鈴鹿高専・生物応用化学科編集参考書:「新版実験を安全に行うために」,「新版続実験を安全に行うために」化学同人編集部編(化学同人),「実験有機化学」梅沢純夫(丸善),「基礎有機化学実験」畑一夫,渡辺健一共著(丸善).物性値に関しては「化学便覧」(日本化学会編)等.
担当教員 長原 滋

到達目標

「有機化学」に関する基本的な実験操作や実験テーマに関連する専門基礎知識を理解しており,目的化合物が合成・定性でき,得られた実験結果を論理的にまとめて報告することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機合成実験に必要な単位操作の操作法および基本原理が説明でき,目的化合物の合成・定性に活用できる.有機合成実験に必要な単位操作の操作法および基本原理が説明できる.有機合成実験に必要な単位操作(薄層クロマトグラフィーによる反応の追跡,吸引ろ過,再結晶による精製,融点測定による生成物の確認と純度評価,分液ロートによる抽出,蒸留による精製,屈折率測定による生成物の確認と純度評価,官能基定性試験による生成物の確認,水蒸気(熱水)蒸留,収率計算)の操作法および基本原理を理解していない.
評価項目2代表的な有機合成反応の実験操作および反応機構が説明でき,実験操作・結果,設問事項,および考察を論理的にまとめて報告できる.代表的な有機合成反応の実験操作および反応機構が説明でき,実験操作・結果および設問事項を論理的にまとめて報告できる.代表的な有機合成反応(アセチル化,エステル化,芳香族化合物のニトロ化,ジアゾ化・カップリング反応,Sandmeyer反応,酸化反応)の実験操作および反応機構を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
「有機化学」に関する基本的な実験操作や実験テーマに関連する専門基礎知識を学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>に対応する.
・授業計画に記載の6テーマの実験を行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準> 授業計画の実験テーマに関する「到達目標」1~16の確認を,実験レポートの内容により評価する.評価に対する「到達目標」1~16に関する重みは同じである.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準> 実験テーマごとの実験レポートの評点の合計とする.ただし,60点に達しない場合には,それを補うための実験レポートの追加提出を実施して,その結果により60点を上限として評価することがある.
<単位修得要件> 与えられたテーマの実験レポートを全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本実験では,第1学年の「化学」における有機化学分野の学習,「生物応用化学実験(基礎化学実験)」における化学実験の基本的事項およびガラス器具の取り扱いや試薬の調製法等の基本操作の学習が基礎となる.
<レポート等> 実験テーマごとに試薬・生成物の諸性質,実験操作を予習し,実験レポートを期限までに提出する.
<備考> 化学実験では,火災,爆発,薬害,ガラス器具による「けが」に注意しなければならない.そのため,使用する薬品の性質や器具の取り扱いを熟知しておく必要がある. 実験前のガイダンスでこれらの注意事項について説明するが,各自でも試薬・生成物の諸性質,実験操作などを十分予習すること. 実験室では必ず保護メガネ,靴および実験着(白衣)を着用すること. 実験を欠席した学生は,該当する実験テーマあるいは相当するテーマの実験を後日実施する. また,本実験は,第3学年以降で学ぶ「生物応用化学実験」,「卒業研究」,「特別研究」(専攻科)等における化学実験の基礎となるので,授業内容を確実に習得する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験1 薄層クロマトグラフィー: 薄層クロマトグラフ法(TLC)によるサインペンの色素の分離 1.薄層クロマトグラフ法(TLC)の操作法を習得している.
2.TLCによる分離・定性の原理が理解できる.
2週 実験2 アセトアニリドの合成: アセチル化,再結晶 3.再結晶の操作法を習得し,物質の溶解度の差による精製の原理が理解できる.
10.アセチル化の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
3週 実験2 アセトアニリドの合成: 融点測定,TLC 1.薄層クロマトグラフ法(TLC)の操作法を習得している.
4.融点測定の操作法を習得し,融点による物質の純度の評価の原理が理解できる.
4週 実験3 酢酸エチルの合成: エステル化 5.分液ロートの取り扱いを習得し,洗浄・分液操作ができる.
11.エステル化の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
5週 実験3 酢酸エチルの合成: 常圧蒸留と屈折率測定 6.常圧蒸留の操作法を習得し,その原理が理解できる.
7.屈折率計の操作法を習得し,屈折率測定による物質の純度評価の原理が理解できる.
6週 実験4 芳香族化合物の反応: ニトロベンゼン・アニリンの性質および定性試験 8.官能基の定性試験の操作法を習得し,その原理が理解できる.
7週 実験4 芳香族化合物の反応: ニトロベンゼンの還元,TLC 1.薄層クロマトグラフ法(TLC)の操作法を習得している.
12.ニトロ基の還元反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
8週
2ndQ
9週 実験4 芳香族化合物の反応: 染料の合成と染色 13.ジアゾ化・カップリング反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
10週 実験5 Sandmeyer反応によるクロロベンゼンの合成: 塩化銅(I)の調製,ジアゾ化,Sandmeyer反応 14.Sandmeyer反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
11週 実験5 Sandmeyer反応によるクロロベンゼンの合成: 熱水蒸留 9.熱水蒸留の操作法を習得し,その原理が理解できる.
12週 実験5 Sandmeyer反応によるクロロベンゼンの合成: 常圧蒸留,屈折率測定 上記6.
上記7.
13週 実験6 酸化反応: シクロヘキサノールの酸化,カルボニル化合物の定性反応,TLC 1.薄層クロマトグラフ法(TLC)の操作法を習得している.
8.官能基の定性試験の操作法を習得し,その原理が理解できる.
15.二クロム酸ナトリウムによる酸化反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
14週 実験6 酸化反応: p-ニトロ安息香酸の合成,TLC 1.薄層クロマトグラフ法(TLC)の操作法を習得している.
15.二クロム酸ナトリウムによる酸化反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
15週 実験6 酸化反応: アジピン酸の合成 16.過マンガン酸カリウムによる酸化反応の実験操作を習得し,その反応機構が理解できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験蒸留による精製ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
分液漏斗による抽出ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
収率の計算ができる。4

評価割合

実験レポート課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100