無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0048 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:現代の無機化学 合原 眞・井手 悌・栗原寛人 (三共出版)参考書:大学の化学(I,Ⅱ) 塩見,吉野,東,共訳 (広川書店),無機化学 斉藤著 (培風館),基礎無機化学 浜口訳 (東京化学同人),絶対わかる無機化学 齋藤,渡会著(講談社サイエンティフィク)
担当教員 下野 晃

到達目標

原子の構造,化学結合,固体化学,錯体化学,生物無機化学,水素と水素化合物,s~fブロック元素に関する基礎理論を理解している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子の構造,化学結合に関する応用問題ができる.原子の構造,化学結合に関する基礎問題ができる.原子の構造,化学結合に関する基礎問題ができない.
評価項目2固体化学,錯体,生物無機化学に関する応用問題ができる.固体化学,錯体,生物無機化学に関する基礎問題ができる.固体化学,錯体,生物無機化学に関する基礎問題ができない.
評価項目3水素と水素化合物に関する応用問題ができる.水素と水素化合物に関する基礎問題ができる.水素と水素化合物に関する基礎問題ができない.
評価項目4s~fブロック元素に関する応用問題ができる.s~fブロック元素に関する基礎問題ができる.s~fブロック元素に関する基礎問題ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
無機化学Ⅰでは理論的なものから各元素の性質までその内容は広いが,この授業では基礎理論と元素・化合物の性質の2つに分けて学習し,原子構造,化学結合,固体・錯体化学についての理解を深めるとともに,水素化合物,s~fブロック元素の性質や化合物に関連した知識を習得する.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,「生物応用化学科」学習・教育到達目標 (B)<基礎>(JABEE基準1(2)(c))に相当する.
・授業は講義・演習形式で行う.講義中は,集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の達成目標1~16を網羅した問題を前期中間試験,前期期末試験,後期中間試験,学年末試験で出題し,目標の達成度を評価する.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間,前期末,後期中間,学年末4回の試験の平均点で評価する.ただし,学年末を除く3回の試験のそれぞれについて60点に達していない者には再試験を課し,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本科目は,生物応用化学序論,化学の学習が基礎となる科目である.
<レポート等> 特になし
<備考>理解を深めるために講義中に演習問題を行なうことがあるので電卓を持参のこと.
講義の補助的資料としてプリント等を配布し講義内容にくわえることがある.本科目は4年に履修する無機化学Ⅱおよび5年化学コースで学ぶ無機工業化学に必要な基礎的内容を多く含むので,長期的な視野を持って授業に臨んでほしい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 宇宙の原子,同位体と原子量,演習 1.原子構造,原子量,同位体,放射性崩壊についての説明やこれに関連する計算ができる.
2週 水素原子模型,演習 2.水素原子模型,電子状態について説明やこれに関連する計算ができる.
3週 電子状態,演習 3.原子の結合形式について説明ができる.
4週 電子状態,演習 3.原子の結合形式について説明ができる
5週 原子の結合形式,共有結合,演習 4.原子軌道の重なりと分子軌道について説明ができる.
6週 混成軌道 演習 4.原子軌道の重なりと分子軌道について説明ができる.
7週 イオン結合,水素結合,演習 5.イオン結合,水素結合,格子エネルギーについて説明やそれに関連する式の導出や計算ができる.
8週 中間試験 これまで学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 金属結晶,イオン結晶 6.金属結晶,イオン結晶,共有結晶,分子結晶について説明や図示,及びこれに関連する計算ができる.
10週 共有結晶,演習,分子結晶 6.金属結晶,イオン結晶,共有結晶,分子結晶について説明や図示,及びこれに関連する計算ができる.
11週 固体中の電子,演習 7.固体中の電子の状態,エネルギーバンドについて理解している.
12週 錯体の定義,錯体命名法 8.錯体の定義や用いられる用語が説明でき,錯体の命名法を理解している.
13週 配位立体化学 9.代表的な錯体の配位数や立体構造を把握している.
14週 配位立体化学 10.原子価結合理論,静電結晶場理論,配位場理論について理解している.
15週 配位結合,演習 10.原子価結合理論,静電結晶場理論,配位場理論について理解している.
16週
後期
3rdQ
1週 錯体の安定度 11.錯体の安定度定数について説明やそれに関連する計算ができる.
2週 有機金属化合物、錯体の反応 12.代表的な有機金属化合物,錯体の反応や反応機構について理解している.
3週 生体内の元素,生体内の金属イオンの動態,酵素運搬体 13.生体内の元素やその動態について説明やそれに関連する計算ができる.
4週 酸素輸送タンパク質,金属酵素,演習 14.酸素運搬体,金属酵素について説明やそれに関連する計算ができる.
5週 水素単体,水素化合物,演習 15.水素原子,単体,および水素化合物について説明およびそれに関連する計算ができる.
6週 アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素,演習 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
7週 pブロック元素単体 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
8週 中間試験 これまで学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 酸化物,演習 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
10週 dブロック元素の一般的性質,スカンジウム族,チタン族,バナジウム族 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
11週 クロム族,マンガン族,鉄族
白金族,銅族,演習

16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
12週 白金族,銅族,演習 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
13週 銅族 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
14週 亜鉛族,演習 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
15週 アクチノイド元素 16.s~fブロック元素の一般的性質,化合物の性質や代表的な反応について把握しており,それに関連した計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4
配位結合の形成について説明できる。4
水素結合について説明できる。4
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4
錯体の命名法の基本を説明できる。4
配位数と構造について説明できる。4
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。4
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
配点100100