基礎細胞生物学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 基礎細胞生物学
科目番号 0048 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「Essential細胞生物学第5版」中村 桂子 監訳(南江堂)参考書:「基礎から学ぶ生物学・細胞生物学 第4版」和田 勝(羊土社)/
担当教員 小川 亜希子,山口 雅裕

到達目標

細胞内における遺伝情報の維持・発現の様式や,それと生命活動との関係に関する専門的知識を身に付け,工学に応用できる生物現象の専門知識を習得している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1細胞を構成する成分とそれらの役割を理解し,説明できる.細胞を構成する成分とそれらの役割を理解している.細胞を構成する成分とそれらの役割を理解できていない.
評価項目2セントラルドグマを理解し,それに関連する物質の働きを説明できる.セントラルドグマとそれに関連する物質を理解している.セントラルドグマを理解していない.
評価項目3細胞のエネルギー取得方法を理解し,その経路を説明できる.細胞のエネルギー取得方法を理解している.細胞のエネルギー取得方法を理解していない.
評価項目4タンパク質のさまざな機能と細胞における役割を説明できる.タンパク質のさまざな機能を説明できる.タンパク質のさまざな機能を説明できない.
評価項目5細胞周期と発生の概要について理解し,個々の細胞や分子の働きを説明できる.細胞周期と発生の概要について理解している.細胞周期と発生の概要について理解していない.
評価項目6免疫系と恒常性の維持について概要を理解し,個々の細胞や分子の働きを説明できる.免疫系と恒常性の維持について概要を理解している.免疫系と恒常性の維持について概要を理解していない.
評価項目7生物多様性の概要について理解し,その存立基盤や脅かす要因を説明できる.生物多様性の概要について理解している.生物多様性の概要について理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
細胞はどのような構造を持つのか,細胞の維持・増殖・環境への応答は,どのような分子がどのような仕組みにより制御するのかをこの講義では理解する.このことで,生物科学の専門的学習の基礎を固めるだけでなく,日常生活に関連した生物の問題(遺伝子組換えから得られる利便性と環境への危険性とのバランスなど)を考える上で必要となる知識を身につけることを目標とする.
授業の進め方・方法:
授業は講義・聴講形式で行う.
「授業計画」における各週の「到達目標」は,この授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>「授業計画」における「到達目標」の確認を前期中間,前期末,後期中間,学年末試験で行う.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間・前期末・後期中間・学年末の試験結果の平均値を最終評価とする.但し,前期中間・後期中間試験の点数が60点に達していない学生(無断欠席の学生を除く)については再試験を行い,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,60点を上限として前期中間・後期中間の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.前期末・学年末試験に関しては,試験の点数が60点に達しておらず、またそれぞれ前期総合成績・学年末総合成績が60点に達していない学生(無断欠席の学生を除く)については再試験を行い,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,前期総合成績・学年末総合成績をそれぞれ60点を上限として成績を置き換えるものとする.ただしこの場合も,再試験の点数を61点以上とすることはない.
<単位取得要件>学業成績で60点以上を習得すること
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>2年次 生物,3年次 生物化学の基礎知識を十分に理解していること.
<備考>教科書以外に補助的にプリントを配布し,その内容を講義に含めることがある.この講義は微生物学,タンパク質化学,遺伝子工学,細胞工学,化学工学II,生物化学コース実験,生体・機能材料工学,分子生物学,生体機能工学,分子生命科学の基礎となる.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「細胞:生命の基本単位」
細胞の統一性と多様性
1.二名法,細胞説について理解している.
2週 「細胞:生命の基本単位」
顕微鏡で見た細胞
2.細胞観察に使用する顕微鏡の種類と特徴,細胞を構成している物質の特徴について理解している.
3週 「細胞:生命の基本単位」
原核生物,真核生物
3.原核生物と真核生物の特徴について理解している.
4週 「細胞の化学成分」 4.細胞を構成する主な化学成分(低分子と高分子),関与している化学結合を理解している.
5週 「タンパク質の構造と機能」
タンパク質の形と構造
5.タンパク質の高次構造を説明できる.
6週 「タンパク質の構造と機能」
タンパク質の働くしくみ
6.タンパク質の例を挙げ,それらの役割と機能する仕組みについて説明できる.
7週 「タンパク質の構造と機能」
タンパク質を調節するしくみ
6.タンパク質の例を挙げ,それらの役割と機能する仕組みについて説明できる.
8週 前期中間試験
上記1〜6についての内容を理解している.
2ndQ
9週 「DNAと染色体」
DNAの構造
7.遺伝子の発見に関する歴史的な実験の概要とDNAの構造を理解している.
10週 「DNAと染色体」
真核生物の染色体構造,染色体構造の調節
8.真核生物の染色体構造の特徴と遺伝子発現との関連を理解している.
11週 「DNAの複製,修復,組換え」
DNA複製
9.DNA複製に関わる分子と役割,その手順について説明できる.
12週 「DNAの複製,修復,組換え」
DNA修復
10.DNA修復の方法を2つ以上知っており,それらの概要を説明できる.
13週 「DNAからタンパク質へー細胞がゲノムを読み取るしくみ」
DNAからRNAへ(1)
11.原核生物の転写を理解している
14週 「DNAからタンパク質へー細胞がゲノムを読み取るしくみ」
DNAからRNAへ(2)
12.真核生物の転写を理解している.
15週 「DNAからタンパク質へー細胞がゲノムを読み取るしくみ」
RNAからタンパク質へ
13.翻訳の概要を説明できる.
16週
後期
3rdQ
1週 膜を横切る輸送

14.物質が膜を通過する機構について理解している

2週 細胞骨格(1)
15.微小管について理解している
3週 細胞骨格(2)
16.アクチン繊維と中間径繊維について理解している
4週 細胞周期(1)
17.細胞周期の概要と制御系について理解している.
5週 細胞周期(2)
18. 細胞周期の各期で生じることについて理解している
6週 有性生殖と遺伝学(1)
19.減数分裂について理解している
7週 有性生殖と遺伝学(2)
20.メンデル遺伝と遺伝学的実験手法について理解している
8週 免疫機構(1)自然免疫
21.自然免疫機構について理解している.
4thQ
9週 後期中間試験
22.これまでに学習した内容について理解している
10週 免疫機構(2)体液性免疫
23.体液性免疫機構について理解している.
11週 免疫機構(3)細胞性免疫
24.細胞性免疫機構について理解している
12週 ホメオスタシス(1)細胞レベルのホメオスタシス 25.細胞レベルのホメオスタシスについて理解している
13週 ホメオスタシス(2)個体レベルのホメオスタシス 26. ホメオスタシスの制御について特に体温調節と水代謝について理解している.
14週 進化と多様性(1)多様性創出の進化的仕組み 27.生物多様性の誕生と構造について理解している.
15週 進化と多様性(2)多様性を維持するための方策 28.生物多様性の重要性について理解している.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4
細胞周期について説明できる。4
分化について説明できる。4
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
生物化学コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100