物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0050 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「物理化学入門シリーズ 化学熱力学」原田義也著(裳華房)
担当教員 平井 信充

到達目標

物理化学に関する基本的事項を理解し,理想気体の状態方程式,実在気体の状態方程式,熱力学第一法則及び熱力学第二法則,エンタルピーやエントロピー等の意味を理解し,反応の進行方向の予測や種々のエネルギーを計算し,応用することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物理化学に関する種々のエネルギーなどを計算することができる.物理化学に関する基本的なエネルギーなどを計算することができる.物理化学に関するエネルギーなどを計算することができない.
評価項目2理想気体の状態方程式,実在気体の状態方程式,熱力学第一法則及び熱力学第二法則,エンタルピーやエントロピー等の意味を具体例も含め説明することができる.理想気体の状態方程式,実在気体の状態方程式,熱力学第一法則及び熱力学第二法則,エンタルピーやエントロピー等の意味の概要を説明することができる.理想気体の状態方程式,実在気体の状態方程式,熱力学第一法則及び熱力学第二法則,エンタルピーやエントロピー等の意味の概要を説明することができない.
評価項目3様々な事例において、反応の進行方向を説明することができる.基礎的な事例において、反応の進行方向を説明することができる.様々な事例において、反応の進行方向を説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学は分子や系の挙動を物理的な見地から取り扱い,その概念を数学的手法により表現する学問である.物理化学 I では主に化学熱力学を取り扱い,概念的基礎を理解したうえで,演習を通じて,化学熱力学に関する問題を自力で解決するようにするのが目的である.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,学習・教育到達目標(B)<基礎>に対応する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を前期中間までの課題(複数回),前期末,後期中間,学年末試験で出題し,目標の達成度を評価する.各到達目標に関する重みは概ね均等である.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間試験,前期末試験,後期中間試験,学年末試験の4つの平均点で評価する.すべての試験について個別の再試験を行わないが,学業成績が60点に達しない者のうち希望者に対してはいずれかの試験の再試験を実施する場合がある.再試験を実施した場合,再試験の結果を考慮した成績が最終成績を上回った場合には60点を上限として置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学(微分積分,微分方程式と簡単な偏微分方程式)および物理(運動方程式)等
<レポート等>理解を深めるため,小テスト,レポート課題を与える場合がある.
<備考>数式の背景にある化学的意味,および物理的意味を理解することが重要である.本教科は4年次に学習する生物応用化学演習(「相平衡」「溶液の熱力学」)および物理化学Ⅱに強く関連する教科である.理解を深めるために講義中に演習を行う事があるので電卓を持参する事.適宜プリント資料を配布することがあるので各自でファイリングする事.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱力学の概要,熱と温度,熱力学第0法則 1.熱力学の概要,熱と温度の違い,熱力学第0法則を説明できる.
2週 理想気体,気体分子運動論 2.理想気体の状態方程式を説明でき,また,気体分子運動論からベルヌイの式を導出できる.
3週 理想混合気体(ドルトンの分圧の法則),実在気体 3.理想混合気体の全圧とモル分率から分圧を計算でき,また,実在気体の方程式を説明できる.
4週 圧縮因子,気体の液化 4.圧縮因子や気体の液化を説明できる.
5週 仕事と熱 5.熱力学における仕事の定義や熱の仕事当量を説明できる.
6週 熱力学第1法則 6.熱力学第1法則を説明できる.
7週 内部エネルギーのミクロな内容,準静的過程 7.ミクロな観点から内部エネルギーを求めることができ,準静的過程を説明することができる.
8週 課題の解説 これまでに学習した内容を説明することができ,諸量を計算より求めることができる.
2ndQ
9週 エンタルピー 8.エンタルピーの定義を説明することができる.
10週 熱容量,ジュールの法則,マイヤーの関係式 9.熱容量,ジュールの法則,マイヤーの関係式を説明できる.
11週 相変化に伴う熱,標準反応熱 10.相変化に伴う熱ヘスの法則,標準反応熱を説明できる.
12週 反応熱の温度変化,理想気体の断熱変化 11.様々な温度での反応熱を計算でき,理想気体の断熱変化時に成り立つポアソンの式を導出できる.
13週 熱機関,カルノーサイクル 12.熱機関,カルノーサイクルを説明できる.
14週 熱力学第2法則 13.熱力学第2法則,第2種永久機関を説明できる.
15週 可逆過程と不可逆過程,熱機関の効率 14.可逆過程と不可逆過程の違い,熱機関の効率を説明できる.
16週
後期
3rdQ
1週 前期末試験の解説,クラウジウスの式 15.クラウジウスの式を導出することができる.
2週 エントロピー 16.エントロピーの定義を説明でき,エントロピー変化を計算することができる.
3週 エントロピーのミクロな解釈,熱力学第3法則,標準エントロピー 17.ミクロな観点からのエントロピーの定義を説明でき,熱力学第3法則を説明できる.
4週 自由エネルギー 18.ヘルムホルツ自由エネルギーおよびギブズ自由エネルギーを説明できる.
5週 状態変化と平衡条件 19.状態変化が起こる方向および平衡条件を説明できる.
6週 熱力学の関係式 20.マクスウェルの関係式を導出できる.
7週 問題演習 これまでに学習した内容を説明することができる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を説明することができ,諸量を計算より求めることができる.
4thQ
9週 後期中間試験の解説,化学ポテンシャル 21.化学ポテンシャルの定義を説明することができる.
10週 理想気体の化学ポテンシャル 22.理想気体および理想混合気体の化学ポテンシャルを求めることができる.
11週 質量作用の法則,気相反応の平衡 23.質量作用の法則,各種平衡定数,反応進行度を説明できる.
12週 不均一系の化学平衡,標準生成ギブズエネルギー 24.固相の解離圧,標準生成ギブズエネルギーを計算より求めることができる.
13週 ル・シャトリエの原理 25.ル・シャトリエの原理やファント・ホッフの定圧平衡式を説明できる.
14週 平衡定数の温度変化 26.様々な温度での平衡定数を計算より求めることができる.
15週 問題演習 これまでに学習した内容を説明することができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前2
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前2
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前3
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前4
混合気体の分圧の計算ができる。4前3
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前5
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前9
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前11
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前12
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前10
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後11
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後13
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4後12
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4後2,後3
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4後3
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4後2
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4後12
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4後5
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後14
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前5,前6

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100