生物化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物化学
科目番号 0053 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:基礎からしっかり学ぶ生化学,山口雄輝/編著 成田 央/著(羊土社)参考書:ホートン生化学 第3版,鈴木 絋一ら監訳(東京化学同人)
担当教員 小川 亜希子

到達目標

生体内で生じる化学反応について,関連する物質とそれらの役割や一連の合成・分解反応,ならびに化学量論的計算に関する専門的知識を身につけ,生命現象を秩序だった一連の化学反応として理解し,それらを利用したできるようになる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体を構成する元素や分子,細胞の基本構造について理解し,図を用いて説明できる.生体を構成する元素や分子,細胞の基本構造について理解している.生体を構成する元素や分子,細胞の基本構造を理解していない.
評価項目2タンパク質,核酸の構造と機能を理解し,具体例を挙げて説明できる.タンパク質,核酸の構造と機能を理解している.タンパク質,核酸の構造と機能を理解していない.
評価項目3糖と脂質の構造と機能を理解し,図を用いて説明できる.糖と脂質の構造と機能を理解している.糖と脂質の構造と機能を理解していない.
評価項目4酵素反応式を理解し,速度式の計算ができる.酵素反応式を理解している.酵素反応式を理解していない.
評価項目5糖代謝を理解し,エネルギーを算出できる.糖代謝を理解している.糖代謝を理解していない.
評価項目6光合成を理解し,エネルギーを算出できる.光合成を理解している.光合成を理解していない.
評価項目7脂質代謝,アミノ酸,ヌクレオチドの代謝を理解し,図を用いて説明できる.脂質代謝,アミノ酸,ヌクレオチドの代謝を理解している.脂質代謝,アミノ酸,ヌクレオチドの代謝を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物化学は現在急速に進歩しているライフサイエンスの中核となる学問である.4,5学年で学習する生物化学系教科の基礎知識を身につける.
授業の進め方・方法:
・前後期共に第1週~第15週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<基礎>及びJABEE基準 1(2)(c)(自然科学に関する知識とその応用能力)に相当する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
 各週の到達目標に関する問題を前期中間試験,前期末試験,後期中間試験および学年末試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各到達目標の重みは概ね均等である.評価結果が100点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<備考>
 本教科は後に学習する微生物学,生物情報工学,分子生物学,細胞工学,タンパク質化学,生物化学工学(5年),生物化学コース実験,および生物機能工学の基礎となる教科である.数式の背景にある物理的意味をきちんと理解することが重要である.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
生物応用化学序論,化学および生物学全般の知識
<自己学習>
 授業で保証する学習時間と,予習・復習(定期試験も含む)および課題提出に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<学業成績の評価方法および評価基準>
 前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の試験の平均点および課題点を学業成績として評価する.なお,本科目は再試験を行なわない.
<単位修得要件>
学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概要,生化学とは 1.生体を構成する元素や分子,細胞の基本構造について理解している.
2週 タンパク質を構成する20種類のアミノ酸 2.タンパク質を構成するアミノ酸の特徴を理解している.
3週 タンパク質の立体構造 3.タンパク質の一次構造および高次構造について説明できる.
4週 タンパク質の構造と機能の例 4.代表的なタンパク質について特徴や構造を説明できる.
5週 タンパク質の解析方法 5.タンパク質の解析方法を知っている.
6週 核酸の構成要素・DNAとRNAの基本構造・DNAの二重らせん構造 6.核酸を構成するヌクレオチドと塩基,DNA鎖について説明できる.
7週 細胞内のDNAの特徴・遺伝物質としてのDNA・RNAの種類,構造,機能 7.核酸の性質,DNA合成および染色体について説明できる.
8週 前期中間試験 第7週までの内容を理解している.
2ndQ
9週 主要な単糖および二糖の構造と反応性 8.主な単糖や多糖の構造や役割を知っている.
10週 主要な多糖の構造と役割 8.主な単糖や多糖の構造や役割を知っている.
11週 脂質の構造と機能 9.主な脂肪酸や脂質の構造や役割を理解している.
12週 生体膜の構造と機能 10.生体膜の構造を理解している.
13週 酵素反応の特徴 11.酵素とは何か説明でき,酵素の種類・酵素活性の必須因子を知っている.
14週 酵素の反応速度論 12.ミカエリス-メンテン式の導出ができ,その意味を理解している.
15週 代謝とは何か・代謝を支える役者 13.代謝の中心的役割を果たしている補酵素を理解している.
16週
後期
3rdQ
1週 解糖系 14.解糖系を理解している.
2週 糖新生 15.糖新生を理解している.
3週 グリコーゲン代謝 16.グリコーゲン代謝を理解している.
4週 ペントースリン酸サイクル 17.ペントースリン酸サイクルを理解している.
5週 好気呼吸の全体像・アセチルCoAの産生・クエン酸サイクル 18.好気呼吸代謝について理解している.
6週 電子伝達と酸化的リン酸化・糖代謝のエネルギー収支 19.ATP収支について理解し,エネルギー収支計算ができる.
7週 光合成の全体像 20.光合成を構成する明反応と暗反応について概要を理解している.
8週 後期中間試験 第7週までの内容を理解している.
4thQ
9週 明反応と暗反応のエネルギー収支 21.明反応と暗反応についてエネルギー収支が計算できる.
10週 脂肪酸とトリアシルグリセロールの分解 22.β酸化とATP収支について理解している.
11週 脂肪酸とトリアシルグリセロールの合成 23.脂肪酸やトリアシルグリセロールの生合成の概要を理解している.
12週 コレステロールとステロイドホルモンの代謝 24.コレステロールおよびステロイドホルモンの生合成の概要を理解している.
13週 アミノ酸代謝 25.アミノ酸合成に関わる代謝経路を理解している.
14週 尿素サイクル 26.アンモニア代謝の概要を理解している.
15週 ヌクレオチド代謝 27.ヌクレオチドのサルベージ経路とde novo合成について理解している.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。4
クエン酸回路の概要を説明できる。4
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4
各種の光合成色素の働きを説明できる。4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4
炭酸固定の過程を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100