微生物学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 微生物学
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「新・微生物学 新装第二版」 別府輝彦著と配布資料,参考書:「微生物工学」百瀬春生編(丸善),「微生物工学」菊池 慎太郎編,高見澤 一裕ほか(三共出版)
担当教員 今田 一姫

到達目標

微生物学に関する基本的事項と微生物の持つ特性や代謝反応が宿主や工業的応用化にどのように関わっているかについて理解し,微生物を取り扱う技術者として必要な専門知識を身に付け,微生物による有用物質生産技術などに応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微生物を様々な特徴によって分類し、その特性を利用した技術について説明できる.微生物を様々な特徴によって分類することができる.微生物を様々な特徴によって分類することができない.
評価項目2微生物の遺伝が、人類に与える影響を説明できる.微生物の遺伝について説明できる.微生物の遺伝について説明できない.
評価項目3環境微生物の生態系における役割と、その利用を説明できる.環境微生物の生態系における役割を説明できる.環境微生物の生態系における役割を説明できない.
評価項目4微生物の代謝とその利用について説明できる.微生物の代謝について説明できる.微生物の代謝について説明できる.
評価項目5微生物の特性によってスクリーニングと育種の方法を選択できる.微生物のスクリーニングと育種について説明できる.微生物のスクリーニングと育種について説明できない.
評価項目6病原微生物が病気を引き起こすメカニズムを説明できる.病原微生物や感染症について説明できる.病原微生物や感染症について説明できる.
評価項目7微生物を制御する方法を説明でき、場面によって適切な方法を選択することができる.微生物を制御する方法を説明できる.微生物を制御する方法を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
遺伝子工学や発酵工学の基盤となる微生物の構造,環境微生物,生理・代謝,微生物遺伝学について学ぶ.さらに微生物と生体の相互作用,免疫,食品の腐敗,滅菌と消毒,抗生物質の作用など微生物を取り扱う技術者として必要な知識を習得する.また,微生物の工業的利用を理解するために微生物の大量培養法や育種法,実際の利用例について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>,JABEE基準1(2)(d)(2)a)に相当する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で修得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>「知識・能力」1~28の確認を前期中間試験・前期末・後期中間試験・学年末試験で行う.1~28に関する重みは同じである.合計点の60%の点数を得ることによって目標の達成が確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の平均点を最終評価とする.ただし,学年末試験を除く3回の試験のそれぞれについて60点に達していない学生には再試験を行い,再試験の成績が当該試験の成績を上回った場合には,60点を上限として当該試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.ただし中間試験や定期試験を無断欠席した学生には再試験を実施しない.なお,当該試験の平均点の40%以上の成績であることならびに当該試験の実施日までに出された課題のレポートを全て提出していなければ,当該試験の再試験を受けることができないものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を習得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科の学習には,生物化学,微生物学Ⅰ,細胞生物学の習得が必要である.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)及びレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が90時間に相当する学習内容である.
<注意事項>各週の授業でキーワードをあげるので,これらについて理解しておく必要がある.本教科は後に学習するタンパク質化学,生物情報工学,遺伝子工学,生物化学工学,生物化学コース実験の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微生物の分類 1. 身の回りの微生物を挙げ,人との関係性を説明することができる.
2. 真核生物と原核生物の違いを挙げることができる.微生物を分類することができる.
2週 原核生物の細胞構造と生態
(1) 細菌
上記2.
3. 細菌の細胞構造を説明できる.
3週 原核生物の細胞構造と生態
(2) 古細菌
3. 細菌(真正細菌)と古細菌の違いを説明できる.
4週 真菌の細胞構造と生態 上記2.
4. 真菌の種類,細胞構造,生活環を説明できる.
5週 真菌以外の菌
原生動物と藻類
上記2.
5. 原生動物(細胞性粘菌,粘菌を含む)および藻類の細胞構造,生態を説明できる.
6週 ウイルスの構造と増殖 6. 生物とウイルスの違いを挙げることができる.ウイルスの構造,種類,増殖方法を説明できる.
7週 環境中に存在する微生物の役割 7. 生態系の一員として微生物がどのような役割をしているか説明できる.
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容を,例を挙げたり,説明することができる.
2ndQ
9週 中間試験の解説
微生物の遺伝
8. 細菌のDNAにおけるオペロン構造と遺伝子発現機構について説明できる.
10週 微生物の突然変異 9. 微生物の突然変異とその導入法(形質転換や接合)を説明できる.
11週 微生物の呼吸 10. 発酵と呼吸および各種細菌の発酵経路や代謝産物について説明できる.
12週 微生物の生体分子の合成経路とその調節 11. 微生物の発酵と呼吸および各種細菌の発酵経路や代謝産物について説明できる.
13週 微生物の産業利用1-発酵 12. 微生物の発酵や代謝を利用した産業利用について説明できる.
14週 微生物の産業利用2-物質生産 13. 微生物を利用した物質生産について説明できる.
15週 微生物の増殖と大量培養法 14. 微生物やウイルスの増殖や培養法について説明できる.
16週
後期
3rdQ
1週 有用微生物のスクリーニング 15. 有用微生物の探索方法について説明できる.
2週 微生物の育種 16. 有用微生物の育種について説明できる.
3週 遺伝子工学を利用した微生物の育種 17. 遺伝子工学を活用した微生物の育種法について説明できる.
4週 環境微生物の利用 18. 微生物を利用した環境浄化について説明できる.
5週 微生物との共生 19. 微生物同士,あるいは微生物と他の生物との共生関係について説明できる.
6週 微生物による食品の腐敗 20. 微生物による食品腐敗の原因や防止法を説明できる.
7週 食中毒の原因と性状 21. 食中毒を引き起こす細菌の名称をあげ,その原因と性状について説明できる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を,例を挙げたり,説明することができる.
4thQ
9週 中間試験の解説
滅菌と消毒,食品の保存
22. さまざまな滅菌法と消毒法を説明できる.微生物から身を守る方法を説明できる.
10週 微生物による感染症 23. 微生物による汚染・感染・発病を説明できる.病原性因子を説明できる.
11週 微生物の取り扱い 24. 微生物実験を行うことができる.
12週 各種抗生物質の構造と作用機序 25. 主要な抗生物質の種類と作用機構を説明できる.医薬品として利用できる抗生物質の条件を挙げることができる.
13週 抗生物質耐性菌とその出現機構 26. なぜ抗生物質耐性菌が出現するのか説明できる.細菌の薬剤耐性遺伝子と薬剤耐性機構を説明できる.
14週 免疫 27. 抗体,抗原,B細胞,T細胞,マクロファージなどのさまざまな免疫関連分子や細胞の働きを系統的に説明できる.
15週 細菌の抗原性変異 28. 微生物が生体の免疫から逃れる機構を説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
配点100100