精密合成化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 精密合成化学
科目番号 0056 科目区分 専門 / (化)コース必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 「有機合成化学」太田博通・鈴木啓介共著(裳華房),参考書: 「マクマリー有機化学」伊東,児玉ほか訳(東京化学同人),「ボルハルトショアー現代有機化学」古賀,野依,村橋監訳(化学同人),「マーチ有機化学」山本嘉則監訳(丸善) その他有機化学,有機合成化学に関する参考書は図書館に多数ある.
担当教員 長原 滋

到達目標

基本的で重要な応用範囲の広い官能基変換反応と炭素-炭素結合形成反応を理解している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の代表的な酸化反応および還元反応を利用して,目的とする化合物の合成反応が説明できる.有機化合物の代表的な酸化反応および還元反応が説明できる.有機化合物の官能基変換反応として,代表的な酸化反応および還元反応を理解していない.
評価項目2有機化合物の代表的な酸化反応および還元反応の反応機構に基づき,生成物が予測できる.有機化合物の代表的な酸化反応および還元反応の反応機構が説明できる.有機化合物の代表的な酸化反応および還元反応の反応機構を理解していない.
評価項目3エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位を利用して,目的とする化合物の合成反応が説明できる.エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位が説明できる.有機化合物の炭素-炭素結合形成反応として,エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位を理解していない.
評価項目4エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位の反応機構に基づき,生成物が予測できる.エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位の反応機構が説明できる.エノラート,有機金属反応剤,有機イオウ・有機リン化合物を用いる合成反応,および環化付加反応,シグマトロピー転位の反応機構を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
精密合成化学は,有機合成に関する基礎的事項を習得する科目である.応用範囲の広い,基本的で重要な有機合成反応を官能基変換反応と炭素-炭素結合形成反応に大別して学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準> 授業計画の「到達目標」1~14の確認を課題レポート,後期中間試験および学年末試験で行う.評価に対する「到達目標」1~14に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 後期中間・学年末の試験結果を80%,課題レポートの結果を20%として,それぞれの期間毎に評価し,これらの平均値を最終評価とする.再試験は行わない.
<単位修得要件> 学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本教科では第2学年および第3学年の「有機化学」における学習が基礎となる.
<自己学習> 授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験および課題レポート作成のための学習も含む)に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<備考> 基本的な有機合成反応に限定するが,それでも多くの反応について学ぶため,自己学習に励むこと.また,本教科は後に学習する有機化学系科目の「有機工業化学」,「有機化学特論」(専攻科)等の基礎となるため,授業内容を確実に習得する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 (官能基変換反応)
酸化還元反応: 酸化数,実効イオン反応式
1.イオン-電子法による有機化合物の酸化還元反応式の作成および酸化剤の理論量を計算することができる.
2週 アルコールの酸化: クロム酸酸化の反応機構,Jones酸化,Collins酸化,PCC酸化,PDC酸化,高原子価状態の元素による酸化, Swern酸化,1,2-ジオールの酸化 2.アルコールの酸化反応として,クロム酸酸化,Swern酸化などの各種の酸化反応について説明できる.
3週 カルボニル化合物の酸化: アルデヒドのカルボン酸への酸化,Baeyer-Villiger反応 3.カルボニル化合物の酸化反応として,過マンガン酸酸化,Baeyer-Villiger反応などについて説明できる.
4週 炭素-炭素二重結合の酸化: エポキシ化反応およびエポキシ化合物の反応,ジヒドロキシ化,オゾン酸化 4.炭素-炭素二重結合の酸化として,エポキシ化,ジヒドロキシ化,二重結合の切断を伴う反応について説明できる.
5週 アルデヒドおよびケトンの還元: 金属水素化物を用いる還元および還元の立体化学,Cram則,Felkin-Anhモデル,金属による還元,脱酸素反応 5.アルデヒドおよびケトンの金属水素化物による還元,Cram則およびFelkin-Anhモデルによる立体選択性の推定,金属による還元,接触水素添加,脱酸素反応について説明できる.
6週 カルボン酸およびその誘導体の還元: アルコールおよびアミンへの還元,アルデヒドへの還元,Rosenmund還元,アシロイン縮合 6.カルボン酸誘導体の金属水素化物および金属による還元反応について説明できる.
7週 炭素-炭素不飽和結合の還元: 不均一系および均一系の反応,不斉水素化反応,Birch還元,ヒドロホウ素化反応 7.炭素-炭素不飽和結合の不均一系・均一系接触水素添加反応,Birch還元およびヒドロホウ素化を経由する合成反応について説明できる.
8週 中間試験 これまでに学習した内容について説明できる.
4thQ
9週 (炭素-炭素結合形成反応)
炭素酸の酸性度: 酸性度(pKa),酸塩基反応の平衡定数
8.炭素酸の酸性度および酸塩基反応について説明できる.
10週 カルボニル化合物のアルキル化: エノラートのアルキル化,速度論的・熱力学的エノラート,エナミンを用いるアルキル化 9.エノラートおよびエナミンを用いるアルキル化について説明できる.
11週 カルボニル化合物のアルキル化: マロン酸エステル合成法,アセト酢酸エステル合成法,Claisen縮合 10.マロン酸エステル合成法およびアセト酢酸エステル合成法を用いるアルキル化,Claisen縮合による活性メチレン化合物の合成について説明できる.
12週 アルドール反応: アルドール反応および縮合,交差アルドール反応および縮合,Lewis酸性・中性条件下でのアルドール反応,アルドール反応の立体化学,アルドール縮合関連反応 11.アルドール反応およびアルドール縮合関連反応,アルドール反応の立体化学について説明できる.
13週 有機金属化合物の利用: 有機金属化合物の合成法,有機マグネシウム,有機セリウム,有機チタンおよび有機銅を用いる反応 12.有機金属反応剤(有機マグネシウム,有機セリウム,有機チタンおよび有機銅)の合成法とそれらを用いる合成反応について説明できる.
14週 有機イオウ・有機リン化合物を用いる反応: α-チオカルボアニオンと極性転換,1,3-ジチアンを用いるアルキル化,硫黄イリド,Wittig反応 13.有機イオウ化合物(1,3-ジチアン,イオウイリド)および有機リン化合物(リンイリド)の合成とそれらを用いる合成反応について説明できる.
15週 ペリ環状反応: 環化付加反応,Diels-Alder反応,エンド付加,エキソ付加,シグマトロピー転位,Claisen転位,Cope転位 14.環化付加反応およびシグマトロピー転位として,Diels-Alder反応,Claisen転位,Cope転位について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題レポート相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100