生物応用化学実験(応用化学コース)

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物応用化学実験(応用化学コース)
科目番号 0072 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 「生物応用化学実験テキスト」 鈴鹿高専・生物応用化学科編集
担当教員 長原 滋,高倉 克人,淀谷 真也

到達目標

実験操作を通じて,有機合成化学・量子化学に必要な基礎知識を習得しており,本実験と並行して行う専門分野に関する応用実験への適用ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化学で習った知識を有機合成実験に十分に応用できる.有機化学で習った知識を有機合成実験に概ね応用できる.有機化学で習った知識を有機合成実験に応用できない.
評価項目2高分子化学で習った知識を高分子合成実験に十分に応用できる.高分子化学で習った知識を高分子合成実験に概ね応用できる.高分子化学で習った知識を高分子合成実験に応用できない.
評価項目3計算機化学の理論的背景にある量子化学に関する基本的な概念を十分に理解し説明できる.計算機化学の理論的背景にある量子化学に関する基本的な概念を概ね理解し説明できる.計算機化学の理論的背景にある量子化学に関する基本的な概念を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1. ① 薄層クロマトグラフ法(TLC)による反応の進行状況の確認・追跡に関する操作,② 不活性ガス雰囲気下,無水条件での有機金属反応剤を用いる基本的な実験操作,③ カラムクロマトグラフ法による有機化合物の分離・精製に関する基本的な操作を理解する(実験テーマ(1)~(4)).
2. 各実験テーマで得られる反応生成物を核磁気共鳴(NMR)スペクトルから同定する(実験テーマ(1),(3),(4)).
3. 比旋光度測定に関する基本的な操作を理解し,比旋光度から光学純度を計算する(実験テーマ(2)).
4. グリニャール反応について理解する(実験テーマ(1)).
5. L-グルタミン酸の脱アミノ化によるラクトン化の実験結果をもとに,立体選択的な反応経路について理解する(実験テーマ(2)).
6. 桂皮酸の二臭化物の脱炭酸的脱離の実験結果をもとに,脱離反応の立体化学について理解する(実験テーマ(3)).
7. 有機化合物の金属水素化物による還元反応の概要と4-tert-ブチルシクロヘキサノンの水素化ホウ素ナトリウムによる還元反応の立体化学について理解する(実験テーマ(4)).
8. 開環重縮合の反応機構とポリイミドの特性について理解する(実験テーマ(5))
9. 半経験的分子軌道計算プログラムを使用し,次の実験を行う.
①有機化合物の最安定構造を計算するとともに,フロンティア軌道のエネルギー準位と形から分子の化学反応性を予想する.
②有機化学反応の固有反応座標を計算し,活性化エネルギーの大きさより速度支配の生成物,熱力学支配の生成物を推定する.
③有機化合物の紫外可視吸収スペクトルのシミュレーションを行い,有機構造と色の関係について考察する.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>及びJABEE基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
・授業計画に記載のテーマについて実験を行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>報告書の内容により評価する.評価に対する「知識・能力」の各項目の重みは同じである.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期の物理化学・機器分析化学実験の評価を40%,後期のコース別実験(応用化学コース実験,生物化学コース実験)の評価を40%,応用実験の評価を20%とする.それぞれの評価を総合したものを最終評価とする.
<単位修得要件>前期の物理化学・機器分析化学実験,後期の本実験,応用実験のそれぞれの目標を達成し,学業成績で60点以上を取得すること.また,課された全てのレポートを指定された期限までに提出すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は「有機化学(2C)」,「有機化学(3C)」,「物理化学I(3C)」, 「物理化学II(4C)」の学習と「生物応用化学実験(1C~3C)」の実験操作技術が基礎となる教科である.
<注意事項>合成実験では高価な試薬や危険な試薬を用いるため,実験操作の意味を十分に理解,確認して実験に臨む.特に,実験室内は火気厳禁とし,換気にも注意する.また,実験室内では必ず靴,保護メガネを着用すること.
計算機化学実験では,生物応用化学科データ処理室に設置されたパーソナルコンピュータを用いて実験を行う.情報リテラシー,情報セキュリティには細心の注意を払わなければならない.また,実験結果を考察する際にグループディスカッションを行うので,自身に割り当てられた分子軌道計算結果だでなく,同じ班の学生の結果についても相互に理解できるよう留意すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 グリニャール反応(Ⅰ) 概要に記載
2週 グリニャール反応(Ⅱ) 概要に記載
3週 L-グルタミン酸の脱アミノ化によるラクトン化 概要に記載
4週 桂皮酸の二臭化物の脱炭酸的脱離 概要に記載
5週 ヒドリド還元 概要に記載
6週 開環重縮合反応 概要に記載
7週
8週 量子化学演習 1.計算機化学の理論的背景にある量子化学に関する基本的な概念を理解し説明できる.
4thQ
9週 二置換ベンゼン誘導体の配座変化に伴う生成熱変化および最安定配座の計算 2.様々な置換基をもつの配座変化に伴う生成熱の変化を計算し,計算結果に基づいて分子の熱力学安定性と原子間の立体反発との関係について説明できる.
10週 二置換ベンゼン誘導体の芳香族求電子置換反応の反応性の予測 3.様々な置換基をもつ二置換ベンゼンのフロンティア軌道のエネルギー準位と各原子の電子密度を計算し,計算結果に基づいて反応活性と反応点を予測できる.
11週 グループディスカッション 4.計算機化学実験の結果をもとに,置換基の違いに伴う二置換ベンゼンの安定性や化学反応性に差が生じる原因について科学的な議論を行うことができる.
12週 塩基としてNaOHを用いた際の,2-メチルシクロヘキサノンからのエノラートイオン生成反応に対する固有反応座標の作成 5.固有反応座標の作成により,塩基の嵩高さとエノラートイオン生成反応の主生成物の関係を予測し,その主生成物が得られる原因について説明できる.
13週 塩基としてLDAを用いた際の,2-メチルシクロヘキサノンからのエノラートイオン生成反応に対する固有反応座標の作成 6.固有反応座標の作成により,塩基の嵩高さとエノラートイオン生成反応の主生成物の関係を予測し,その主生成物が得られる原因について説明できる.
14週 グループディスカッション 5.計算機化学実験の結果をもとに,塩基の嵩高さと速度支配エノラートと熱力学支配エノラートの生成しやすさとの関係について説明できる.
15週 様々な2置換ナフタレン誘導体に対する紫外可視吸収スペクトルのシミュレーション 7.紫外可視吸収スペクトルのシミュレーションより,種々の二置換ナフタレン誘導体に対して最長吸収波長を推定し,置換基の構造と置換基の位置と有機化合物の色の関係について考察・説明できる..
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合01000000100
配点01000000100