高分子化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 高分子化学
科目番号 0078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「高分子合成の化学」大津隆行著(化学同人)
担当教員 淀谷 真也

到達目標

高分子の合成・物性に関する基本的事項を理解し,様々な重合に関する専門知識,熱的・力学的特性など物性に関する専門知識,高分子の反応(修飾)に関する専門知識を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1高分子化合物の定義,分類,構造を理解している.高分子化合物の定義,分類,構造を知っている.高分子化合物の定義,分類,構造を知らない.
評価項目2高分子化合物の性質,特徴を理解している.高分子化合物の性質,特徴を知っている.高分子化合物の性質,特徴を知らない.
評価項目3高分子化合物の合成方法を理解している.高分子化合物の合成方法を知っている.高分子化合物の合成方法を知らない.
評価項目4高分子化合物の反応を理解している.高分子化合物の反応を知っている.高分子化合物の反応を知らない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
高分子とはモノマーと呼ばれる低分子化合物を重合反応によって連結させ、数十~数万の繰り返し単位からなる化合物である。軽くて丈夫、安価に大量生産できる汎用高分子は家電、自動車、衣類、食品・医薬品の包装、等、我々の身の回りにある製品のほぼ全てに高分子材料が利用されているものもあれば、エンジニアプラスチックや複合材料、生体材料といった特殊な高分子は精密電子材料、航空機産業、宇宙開発、医学分野などで高機能材料として利用されている。
 本科目では企業で高分子材料の研究開発を担当していた教員が、その経験を活かし高分子の合成、物性に関する基礎知識から、高分子に機能を付与するための高分子の反応、分解などの応用的な内容について授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を課題や中間試験,定期試験によって目標達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね均等とするが,高分子の合成・物性に関する基本的事項を重ねて問うこともある.評価結果が百点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>各定期試験によって評価する。 総合評価は前期の成績と後期の成績の平均によって評価する.再試験は行わない。
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は「有機化学(3C)」で学習する知識が基礎となっている.
<注意事項>本教科は後に学習する「機能材料工学(5C)」の基礎となる教科である.「有機化学」に関する基礎事項を必要に応じて確認・復習すること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 高分子化学序論 1 高分子とは何か?概念や定義などを理解する
2週 高分子の分類と構造 2 モノマー,構造などによる種々の高分子の分類を理解する
3週 高分子の分子量 3 高分子の分子量について,概念,測定法などを理解する
4週 高分子の性質 4 高次構造によって異なる,力学的および熱的性質,高分子溶液の性質について理解する
5週 重合反応(Ⅰ) 5 連鎖反応や逐次反応の概要,特徴を理解する
6週 重合反応(Ⅱ) 6 高分子の合成方法について理解する
7週 高分子の基礎のまとめ ここまでの内容を演習や課題を用いてまとめる
8週 ラジカル重合(Ⅰ) 7 連鎖重合の機構,速度論について理解する
2ndQ
9週 ラジカル重合(Ⅱ) 8 ラジカル重合の素反応について理解する
10週 ラジカル重合(Ⅲ) 9 ラジカル重合における重合の禁止,抑制について理解する
11週 ラジカル重合(Ⅳ) 10 共重合体について,共重合組成式,モノマー反応性比について理解する
12週 イオン重合(Ⅰ) 11 イオン重合の機構,特徴について理解する
13週 イオン重合(Ⅱ) 12 カチオン重合について理解する
14週 イオン重合(Ⅲ) 13 アニオン重合について理解する
15週 イオン重合(Ⅳ) 14 リビング重合,配位重合について理解する
16週
後期
3rdQ
1週 種々の重合(Ⅰ) 15 開環重合,脱離重合,異性化重合などの機構や特徴を理解する
2週 種々の重合(Ⅱ) 16 逐次重合の機構,重合度と反応度との関係や速度論について理解する
3週 種々の重合(Ⅲ) 17 重付加反応及びそれによって得られる高分子の特徴について理解する
4週 種々の重合(Ⅳ) 18 重縮合反応及びそれによって得られる高分子の特徴について理解する
5週 種々の重合(Ⅴ) 19 重縮合の重合方法について理解する
6週 種々の重合(Ⅵ) 20 開環重縮合反応について理解する,エンジニアリングプラスチック,複合材料の特徴について理解する
7週 種々の重合(Ⅶ) 21 付加縮合反応について理解する,プレポリマーの硬化反応機構について理解する
8週 中間テスト
4thQ
9週 高分子の反応(Ⅰ) 22 高分子と低分子の反応についてその機構と得られた高分子の性質について理解する
10週 高分子の反応(Ⅱ) 23 高分子内の反応についてその機構と得られた高分子の性質について理解する
11週 高分子の反応(Ⅲ) 24 高分子間の反応についてその機構と得られた高分子の性質について理解する
12週 高分子の反応(Ⅳ) 25 高分子の分解,酸化反応についてその機構について理解する
13週 高分子の反応(Ⅴ) 26 生分解性高分子,高分子触媒,酵素などに利用される高分子の特徴や役割を理解する
14週 高分子の機能性材料としての応用 27 高分子の機能性を活かした材料開発に必要な基礎知識を習得する
15週 総まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学高分子化合物がどのようなものか説明できる。4
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4
高分子の熱的性質を説明できる。4
重合反応について説明できる。4
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100