物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0086 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「物理化学入門シリーズ 化学熱力学」原田義也著(裳華房)、「コンパクト電気化学」岩倉千秋、森田昌行、井上博史(丸善出版)
担当教員 平井 信充

到達目標

物理化学に関する応用的事項である相律,状態図,理想溶液,束一的性質等について,例示や説明ができ,関連した計算に習熟しているとともに,物理化学の一分野であり,工業製品,工業プロセス及び分析手段に活用されている電気化学の諸現象について,例示や説明ができ,関連した計算に習熟している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1相律,状態図,理想溶液,束一的性質について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.相律,状態図,理想溶液,束一的性質について,例示や説明ができる.相律,状態図,理想溶液,束一的性質について,例示や説明ができない.
評価項目2電解質溶液の性質,電池の起電力と電極電位,電極と電解液界面の構造,電極反応の速度について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.電解質溶液の性質,電池の起電力と電極電位,電極と電解液界面の構造,電極反応の速度について,例示や説明ができる.電解質溶液の性質,電池の起電力と電極電位,電極と電解液界面の構造,電極反応の速度について,例示や説明ができない.
評価項目3生体電気化学,電気メッキ,電気化学に基づく測定法について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.生体電気化学,電気メッキ,電気化学に基づく測定法について,例示や説明ができる.生体電気化学,電気メッキ,電気化学に基づく測定法について,例示や説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学に関する応用的事項である相律,状態図,理想溶液,束一的性質等の意味を理解し,応用することができるとともに,物理化学の一分野であり,工業製品,工業プロセス及び分析手段に活用されている電気化学の基本原理について理解し、応用することができる.
授業の進め方・方法:
・第1週~第15週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<専門>に相当する.
・授業は講義・演習形式で行う.講義中は,集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を前期中間試験,前期末試験で出題し,目標の達成度を評価する.各到達目標に関する重みは概ね均等である.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>後期中間試験,学年末試験の2つの平均点で評価する.すべての試験について個別の再試験を行わないが,学業成績が60点に達しない者のうち希望者に対してはいずれかの試験の再試験を実施する場合がある.再試験を実施した場合,再試験の結果を考慮した成績が最終成績を上回った場合には60点を上限として置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学(微分積分,微分方程式と簡単な偏微分方程式)および物理(運動方程式)等,3年物理化学I
<レポート等>理解を深めるため,小テスト,レポート課題を与える場合がある.
<備考>数式の背景にある化学的意味,および物理的意味を理解することが重要である.本教科は物理化学Ⅱおよび5年時に学習する無機化学Ⅱにも強く関連する教科である.理解を深めるために講義中に演習を行う事があるので電卓を持参する事.適宜プリント資料を配布することがあるので各自でファイリングする事.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,相律 1.ギブズの相律について説明でき,自由度を計算できる.2成分の状態図を理解して,気液平衡を説明できる.
2週 クラウジウスークラペイロンの式 2.純物質の状態図を理解して,蒸気圧曲線を説明できる.
3週 理想溶液とラウールの法則 3.理想溶液について説明でき,蒸気圧と理想溶液のモル分率より平衡蒸気中のモル分率を計算できる.
4週 理想希薄溶液とヘンリーの法則 4.理想希薄溶液について説明でき,希薄溶液中の溶媒や溶質の蒸気圧を計算できる.
5週 束一的性質ー蒸気圧降下,沸点上昇,蒸気圧降下,浸透圧 5.蒸気圧降下,沸点上昇や凝固点降下,浸透圧より,溶質の分子量を計算できる.
6週 活量,電解質 6.活量,活量係数,ファント・ホッフ係数を計算できる.
7週 電気化学の基礎 7.電池反応と電気分解の違い,ファラデーの電気分解の法則等について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.
8週 前期中間試験
4thQ
9週 前期中間試験の解説,電解質溶液の性質 8.電解質溶液の性質,例えばモル伝導率,イオンの輸率,移動度,イオン雰囲気等について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.
10週 電池の起電力と電極電位 9.電池の起電力と電極電位,例えば電池の表示法,電池起電力の熱力学計算,標準水素電極,標準電極電位,参照電極,濃淡電池等について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.
11週 電極と電解質溶液の界面 10.電極と電解質溶液の界面,例えば電気二重層の構造モデル,特異吸着,電気化学セル内の電位分布,電気毛管曲線等について,例示や説明ができる.
12週 電極反応の速度 11.電極反応の速度,例えば,電荷移動律速過程,物質移動律速過程,バトラーフォルマ―の式,ターフェルの式等について,例示や説明ができ,関連した計算ができる.
13週 表面の処理と高機能化 12.電気メッキ,アノード処理,電着塗装など,表面の処理と高機能化に関する諸現象について,例示や説明ができる.
14週 生体物質の機能と電気化学 13.生体物質の機能と電気化学に関する諸現象について,例えば、細胞膜電位や神経興奮伝導,生体内酸化還元系,バイオセンサー,電気泳動,生物電池等について,例示や説明ができる.
15週 電気化学に基づく測定法 14. 様々な電気化学に基づく測定法について,例示や説明ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4
束一的性質を説明できる。4
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
配点100100