到達目標
有機化学工業における各種の製造原料および工業製品の性質・機能,製造原料から工業製品に至る化学反応および変換・製造プロセスの基本原理について習得し,有機化学工業の現状を把握できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 有機化学工業における基礎事項,および工業プロセスに関する化学反応・基本原理が説明できる. | 有機化学工業における基礎事項が説明できる. | 有機化学工業における基礎事項(原料資源,石油代替資源・エネルギー,環境保全,石油製品,石油精製工業プロセス,石油化学工業プロセス,石炭ガス化・液化プロセス)を理解していない.
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評価項目2 | 医薬品および農薬に関する基礎事項,および薬物-受容体相互作用,農薬の作用メカニズムが説明できる. | 医薬品および農薬に関する基礎事項が説明できる. | 医薬品および農薬に関する基礎事項(分類および代表例,法規制,開発・製造プロセス,有効成分・原体・製剤・剤型,薬剤抵抗性,残効性)を理解していない. |
評価項目3 | 染料,香料,油脂・界面活性剤,化粧品などの基礎事項,およびそれら化合物の化学構造と機能との関連,製造・分析法等について説明できる. | 染料,香料,油脂・界面活性剤,化粧品などの基礎事項が説明できる. | 染料,香料,油脂・界面活性剤,化粧品の基礎事項(分類,代表例,役割など)を理解していない. |
評価項目4 | 合成高分子に関する基礎事項および塗料,高性能材料・機能性樹脂の代表例,構造・性質・機能について説明できる. | 合成高分子に関する基礎事項が説明できる. | 合成高分子に関する基礎事項(重合反応,製造プロセス,構造と物性)を理解していない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
有機工業化学は,基礎産業である有機化学工業に関する基礎的事項を習得する科目である.各種の製造原料および工業製品の性質・機能,製造原料から工業製品に至る化学反応および変換・製造プロセスの基本原理について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>およびJABEE基準1(2)(d)(2)a)に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準> 授業計画の「到達目標」1~20の確認を課題レポート,後期中間試験および学年末試験で行う.評価に対する「到達目標」1~20に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 後期中間・学年末の試験結果を80%および課題レポートの結果を20%として,それぞれの期間毎に評価し,これらの平均値を最終評価とする.再試験は行わない.
<単位修得要件> 学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲> 本教科では第2学年および第3学年の「有機化学」,第4学年の「高分子化学」における学習が基礎となる.
<自己学習> 授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験および課題レポート作成のための学習も含む)に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<備考> 技術者として有機化学工業に関する理解を深めるために必要な専門知識を学んでいることを自覚すること.また,本教科は有機化学系科目の「有機化学特論」(専攻科),「高分子化学特論」(専攻科)等の基礎となるため,授業内容を確実に習得する.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
有機化学工業: 有機化学工業の原料資源,石油代替資源・エネルギー,環境保全 |
1.石油代替原料資源,石油代替エネルギー資源,産業公害・地球環境問題,石油関連工業,原油の蒸留で得られる石油留分および石油製品について説明できる.
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2週 |
石油精製: 石油関連工業,石油の成因と埋蔵量,石油の組成と性状,石油製品,蒸留,接触改質,接触分解,熱分解,その他の転化法,水素化精製法,潤滑油・ロウの製造,環境対策 |
2.石油留分の接触改質,接触・熱分解,その他の転化法および水素化精製法について説明できる.
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3週 |
石油化学: 石油化学工業,ナフサの分解による合成基礎原料の製造,エチレンからの誘導体の製造,プロピレンからの誘導体の製造 |
3.ナフサの分解による合成基礎原料の製造について説明できる. 4.エチレンからの誘導体の製造について説明できる. 5.プロピレンからの誘導体の製造について説明できる.
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4週 |
石油化学: C4以上のオレフィン,パラフィンおよび芳香族炭化水素からの誘導体の製造,天然ガス,各種石油系ガスおよびC1化学 |
6.C4以上のオレフィン,パラフィンおよび誘導体の製造について説明できる. 7.芳香族炭化水素および誘導体の製造について説明できる. 8.天然ガス,各種石油系ガスおよび合成ガスからの誘導体の製造,石炭の乾留,ガス化および液化反応について説明できる.
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5週 |
石炭: 石炭の生成・構造・分類,石炭の乾留とコールタール,石炭のガス化および液化 |
上記8.
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6週 |
医薬: 基本的性格,医薬品医療機器等法,開発および製造プロセス,各種の医薬品,新薬の開発法,薬物-受容体相互作用,医薬品の物理化学的性質と生物活性,有機化学的手法による創薬 |
9.医薬品の基本的性格,医薬品医療機器等法での定義,医薬品開発・製造のプロセスおよび法規制,医薬品の代表例,新薬の開発方法,薬物-受容体相互作用について説明できる.
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7週 |
農薬: 農薬取締法,用途別・有効成分による分類,有効成分・原体・製剤・剤型,薬剤抵抗性,残効性,殺虫剤・殺菌剤・除草剤の作用メカニズム,農薬の選択性発現のメカニズム |
10.農薬取締法および農薬の定義,農薬の分類および代表例,有効成分・原体・製剤・剤型,薬剤抵抗性,残効性,農薬の作用メカニズムについて説明できる.
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8週 |
中間試験 |
これまでに学習した内容について説明できる.
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4thQ |
9週 |
染料: 天然染料と合成染料,染料の条件,染料の化学構造と色,染料-繊維間の相互作用,アゾ染料,アントラキノン染料,インジゴ染料,染色性による分類 |
11.染料の条件,染料となるための化学構造,染料-繊維間の相互作用,代表的な合成染料および染色法について説明できる.
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10週 |
香料・テルペン: 天然香料,合成香料,香料の製法・製造,香粧品香料,食品香料,合成香料の使用規制,香料の安全性,香料の分析,においと化学構造 |
12.天然香料の種類・製法,合成香料の種類・製造,香粧品・食品香料の役割・分類・形態,香料の法規制・安全性,香料の分析法について説明できる.
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11週 |
油脂・界面活性剤: 油脂の分類・化学的特性,採油・精製法,油脂の加工,脂肪酸誘導体の製造,界面活性剤の分類・性質・特性,各種の界面活性剤,工業的用途 |
13.油脂の分類・化学的特性,採油・精製法,油脂の加工,脂肪酸誘導体の製造について説明できる. 14.界面活性剤の構造,分類,性質・特性および各種界面活性剤の代表例について説明できる.
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12週 |
化粧品: 定義,品質基本特性,原料素材 |
15.化粧品の医薬品医療機器等法での定義,化粧品の持つ品質基本特性,化粧品の原料素材について説明できる.
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13週 |
高分子: 合成高分子の重合反応・製造プロセス,構造と物性,熱可塑性樹脂(五大汎用樹脂,五大汎用エンジニアリングプラスチック),熱硬化性樹脂,ゴム・エラストマー,三大合成繊維,紙,接着剤 |
16.合成高分子の重合反応・製造プロセスについて説明できる. 17.熱可塑性樹脂,合成繊維,熱硬化性樹脂,合成ゴムおよび接着剤の代表例について説明できる.
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14週 |
塗料: 塗膜形成成分,添加剤,溶剤,顔料,各種の塗料,塗料の乾燥,塗装方法 |
18.塗料の成分,主原料による塗料の分類および代表例,塗料の乾燥,塗装方法について説明できる.
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15週 |
高性能材料・機能性樹脂: スーパーエンジニアリングプラスチック,耐熱性高分子,高強度高分子,高吸水性高分子,プラスチック光ファイバー,導電性高分子,感光性樹脂,高機能分離膜 |
19.高性能材料の代表例,構造・性質・機能,分子設計について説明できる. 20.機能性樹脂の代表例,構造・性質・機能について説明できる.
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題レポート | 相互評価 | 態度 | 発表 | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
配点 | 80 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |