界面化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 界面化学
科目番号 0109 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「入門コロイドと界面の科学」鈴木 四朗・近藤 保(三共出版)および配付資料参考書:「コロイドと界面の化学」北原,青木,共訳(広川書店),「表面および界面」渡辺,渡辺,玉井,共著(共立出版)
担当教員 高倉 克人

到達目標

界面で観られる諸現象,界面化学の工業的利用について,数式や図を用いながら説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1界面とバルクの性質の違いについて根拠をあわせて説明できる.界面の種類を説明できる.界面の定義を述べられない.
評価項目2ヤング-ラプラスの式に基づいて表面張力の測定方法の一つである毛細管上昇法について説明できる.さらに円環法と滴重法により表面張力の値を求められる.表面張力と分枝間相互作用との関係について説明できる.表面張力の定義を述べられない.
評価項目3標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,界面過剰と溶質の種類との関係について説明できる.Gibbsの吸着式を導出することができる.溶液中の溶質が気液界面への吸着される現象について述べられない.
評価項目4標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,与えられた実験値より最大吸着体積や吸着の平衡定数を求められる.LangmuirおよびBETの吸着等温式を導出できる.LangmuirおよびBETの吸着等温式を記述できない.
評価項目5標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,与えられた実験値より液液界面張力,拡張係数,表面張力に対する各分子間相互作用の寄与を求められる.Fowkesの式を導出できる.Fowkesの式を記述できない.
評価項目6標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,各種ぬれの仕事を表面張力を用いて表すことができる.Youngの式を導出できる.Youngの式およびぬれの定義を述べられない.
評価項目7標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,臨界ミセル濃度の測定方法とこれを用いた臨界ミセル濃度の計算を行うことができる.また,臨界ミセル濃度を境として界面活性剤水溶液の性質が変化することを根拠をあわせて説明できる.界面活性剤のミセル形成に対する濃度依存性について説明できる.界面活性剤の構造上の特徴を述べられない.
評価項目8標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,被可溶化物の性質や添加物の可溶化能への影響について予測することができる.界面活性剤の示す可溶化の形式を説明できる.ミセルの構造の述べられない.
評価項目9標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,コロイドの動力学に関する関係式を記述し,計算に用いることができる.コロイドの実用例について説明することができる.コロイドの定義と分類を述べられない.
評価項目10標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,ストークスの式に基づいてエマルションを安定化する方法について説明できる.エマルションの破壊機構について説明できる.エマルションの定義を述べられない.
評価項目11標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,製造業における乳化の方法と原理を説明できる.乳化の機構について説明できる.乳化の定義を述べられない.
評価項目12標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,ゲル浸透クロマトグラフィーなど、ゲルの実用例について原理をあわせて説明できる.ゾル・ゲルの作成方法のついて説明できる.ゾル・ゲルの定義を述べられない.
評価項目13標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,接着にかかわる分子間相互作用や化学結合を分類し,それらの強さの序列について説明できる.接着とぬれの関係について原理をあわせて説明できる.界面化学の観点から接着の定義を述べられない.
評価項目14標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,浮遊選鉱など、アワの実用例について原理をあわせて説明できる.発泡,消泡の機構について理解し,アワの安定化方法を説明できる.界面化学の観点からアワの定義を述べられない.
評価項目1a右記標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,与えられた実験値から界面張力や表面張力に対する各分子間相互作用の寄与,拡張係数などの値を求めることができる.界面張力(表面張力を含む)に関する関係式を記述することができる.界面の定義をべられない.
評価項目2a右記標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,ぬれの工業的利用について説明することができる.Youngの式を導出し,種々の様式のぬれに対してぬれの仕事と表面張力,接触角との関係式を表すことができる.ぬれの定義を述べられない.
評価項目3a右記標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,界面活性剤の利用(可溶化・乳化など)について説明することができる.界面活性剤の会合状態の濃度依存性および臨界ミセル濃度について説明できる.界面活性剤の構造的特徴および諸性質の意味を述べられない.
評価項目4a右記標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,コロイド・エマルションを安定化する方法,コロイドの実用例について説明することができる.コロイドの諸性質およびコロイドの物理化学に関する関係式を記述することができる.コロイドの定義を述べられない.
評価項目5a右記標準的な到達レベルの目安を達成できた上で,浮遊選鉱など、アワの実用例について原理をあわせて説明できる.発泡,消泡の機構について理解し,アワの安定化方法を説界面化学の観点からアワの定義を述べられない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
界面化学は,二つの物質が接する境界に生じる現象を扱う学問で,非均一系反応や非均一系分離プロセスを理解するうえで基礎となる.本科目では気液界面・気固界面・液液界面・液固界面の特徴および界面活性剤の役割,各種のコロイドの特徴について習得する.
授業の進め方・方法:
・すべての授業内容は,「生物応用化学科」学習・教育到達目標 (B)<専門>(JABEE基準1(2)(d)(2)(a))に相当する.
・授業は講義・演習形式で行う.講義中は,集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の達成目標1~14を網羅した問題を前期中間試験,前期期末試験,後期中間試験,学年末試験,課題レポートで出題し,目標の達成度を評価する.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験,課題を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>前学業成績=0.8×(中間・定期試験の平均点) + 0.2×(レポートの平均点).
ただし,中間・前期末試験の成績が35点以上60点未満だった学生のうち,希望者に対しては各試験につき1回だけ再試験を行い,満点の6割以上を得点した場合は,対応する試験の得点を(再試験の満点x 0.6)に差し替えて成績を算出する.また再試験の得点が満点の6割に満たない場合も,本試験より高得点であれば再試験の得点に差し替えて成績を算出する.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本科目は,第3年次に履修する「物理化学Ⅰ」第4年次に履修する「物理化Ⅱ」の学習が基礎となる科目である.
<レポート等> 理解を深めるためにレポートを適宜課す.
<備考>数式及び反応式は,物理的及び化学的な意味を把握できるように努めてほしい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 界面の定義と界面で起こる諸現象 1.界面の定義・特徴を説明できる.
2週 気液界面 -表面自由エネルギ-,表面張力- 2.表面張力の定義を理解して、測定法・計算法を説明できる.
3週 気液界面 -溶液の表面張力- 3.Gibbsの吸着等温式 の導出と応用ができる.
4週 気固界面 -単分子層吸着と多分子層吸着-,演習 4.Langmuir式・BET式 の導出と応用ができる.
5週 液液界面 -界面張力,拡張係数-,演習 5.Fowkes式を理解し液-液界面張力を計算できるとともに,拡張係数の符号から液滴の液面上への拡がり方を説明できる。
6週 液固界面 -ぬれ,Youngの式-,演習 6.ぬれの性質・種類を理解し,Youngの式の導出とこれを用いたぬれの理論を定量的に説明できる.
7週 界面活性剤 -分類,性質- 7.界面活性剤の種類と性質,臨界ミセル濃度,ミセルの構造について説明できる.
8週 中間試験 1~6週で学習した内容を説明できる.
4thQ
9週 界面活性剤 -可溶化-,演習 8.界面活性剤による疎水性物質の水への可溶化の機構と種々の条件下における可溶化能の変化について説明できる.
10週 コロイド系概論 -コロイドの分類,性質- 9.コロイドの定義・分類,身近な実例,コロイドの運動学的性質を説明できる。
11週 エマルション -分類,破壊機構-,演習 10.エマルションの分類と破壊機構について説明できる.
12週 エマルション -乳化によるエマルションの作成-,演習 11.乳化によるエマルションの作成方法,エマルションの工業的利用について実例を挙げて説明できる.
13週 ゾル・ゲルの性質と利用 12.ゾル,ゲルの定義,ゲルの作成方法,ゲルの工業的・学術的利用について,実例を挙げて説明できる.
14週 接着 13.接着とヌレの関係,接着材と被接着物との相互作用について説明できる.
15週 アワ 14.アワの性質と工業的利用について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100