化学工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 化学工学Ⅱ
科目番号 0111 科目区分 専門 / コース必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「化学工学通論Ⅰ」 疋田晴夫著(朝倉書店),「化学工学演習」 藤田重文編(東京化学同人)
担当教員 澤田 善秋,田中 孝徳

到達目標

吸収や抽出,膜分離,調湿,乾燥に関する基礎理論を理解し,吸収速度や塔高の計算に必要な専門知識,液液並流多段抽出・液液向流多段抽出・固液抽出の計算に必要な専門知識,濾過膜に関する専門知識,増湿塔・冷水塔の塔高の見積もりに必要な専門知識,および連続向流乾燥器の長さの計算に必要な専門知識を習得し,吸収装置や抽出装置,膜分離装置,調湿装置・乾燥装置の設計に応用できる.また,プロセス設計に必要な物質収支,熱収支,経済性計算に必要な専門知識および物質の安全性に関する専門知識を習得し,プロセス設計に応用できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収塔の設計に応用できる.二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収等の計算ができる.二重境膜説,操作線,タイライン等から吸収塔の計算方法を理解していない.
評価項目23成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の設計に応用できる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の計算ができる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図,抽出装置の計算方法を理解していない.
評価項目3湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求め空気調湿の設計に応用できる.湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求めることができる.湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求める方法を理解していない.
評価項目4恒率乾燥速度および減率乾燥速度を理解しており,乾燥装置の設計に応用できる.恒率乾燥速度および減率乾燥速度の計算ができる.恒率乾燥速度および減率乾燥速度の計算方法を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学工学は,化学製品等を安全にかつ経済的に生産するために,化学プロセスを設定し原料から製品に至る物質およびエネルギーの流れの収支関係を明らかにし,各種装置の設計を行うための学問である.化学工学Ⅱでは,「吸収」や「抽出」,「膜分離」,「空気調湿」,「冷水操作」,「乾燥操作」,「プロセス設計」に関する基礎的な知識の習得と,装置設計に必要な基本的な考え方を学習する.
授業の進め方・方法:
・以下の内容は,すべて,学習・教育到達目標(B)<専門>,JABEE基準1(2)(d)(2)a) に相当する。
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
ガス吸収・抽出・膜分離・調湿・乾燥に関する「知識・能力」1~21の確認を演習および小テスト,中間試験,期末試験で行う.1~21に関する重みは概ね同じである.合計点の60%の得点で目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期中間・前期末・後期中間・後期末試験の試験結果および課題レポート等の結果で評価する.前期においては前期中間・前期末試験の成績を成績の平均点を50%,学習到達度確認課題を50%として学業成績を評価し、後期においては,後期中間および後期末は課題レポート等20%と試験80%で評価する.ただし,前期中間試験および前期末試験について再試験を行わないが,後期に関しては各期間の評価で60点に達していない学生については再試験を行い,再試験の結果のみで評価する.再試験の成績が該当する期間の評価を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換えるが,後期末試験においては再試験を行わない.
<単位修得要件> 演習課題を全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学(微分・積分学の基礎)や物理(力学),化学(物質の状態),物理化学Ⅰ(相平衡,熱力学),物理化学Ⅱ(反応速度論),および化学工学Ⅰ(3, 4年),反応工学の学習が基礎となる教科である.数学,物理化学Ⅰ,化学工学の基礎は充分に理解しているものとして講義を進める.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,期末試験,小テストのための学習も含む)及び演習・レポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,45時間に相当する学習内容である.
<注意事項> 数式の背景にある物理的意味をきちんと理解することが重要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (ガス吸収)気液平衡関係,Fickの法則 1. Fickの法則,物質移動現象について説明できる.
2週 拡散流束,二重境膜説,吸収速度 2. 二重境膜説や操作線,タイラインについて説明できる.
3週 吸収装置の種類,フラッディング・ロ-ディング速度 3. フラッディング速度やロ-ディング速度が計算できる.
4週 吸収塔の物質収支,操作線,最小液流量 4. 吸収塔内の物質収支が取れ,操作線を描くことができる.
5週 容量係数,移動単位数,H.T.U. 5. H.T.U.よりタイラインを描き,吸収塔の高さが計算できる.
6週 吸収塔の高さの算出,タイライン法による界面組成決定 上記 5
7週 ガス吸収のまとめと学習到達度確認 これまで学習した知識をベースにガス吸収に関する演習問題が解ける。
8週 中間試験
2ndQ
9週 (抽出)三角座標,3成分系の溶解度曲線,タイライン 6. 3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができる
10週 分配曲線,液液抽出装置 上記 6
11週 液液並流多段抽出の理論段数,抽出率 7. 液液並流多段抽出の理論段数や抽出率が計算できる.
12週 液液向流多段抽出の理論段数,抽出率 8. 液液向流多段抽出の理論段数や抽出率が計算できる.
13週 固液抽出装置,多回抽出操作の抽出率・段数の算出法 9. 固液多段抽出の理論段数や抽出率が計算できる.
14週 (膜分離)濾過膜の分類:精密濾過膜,限外濾過膜,ナノ濾過膜,逆浸透膜,ガス分離膜,透過流束
10. 各種濾過膜について説明できる.
15週 抽出・膜分離のまとめと学習到達度確認 これまで学習した知識をベースに抽出・膜分離に関する演習問題が解ける。
16週
後期
3rdQ
1週 湿度と湿り空気の諸性質,露点・湿球温度・断熱飽和温 11. 湿度の表現方法,湿り空気の諸性質,ルイスの関係について説明できる.
2週 顕熱ならびに水の移動速度,等湿球温度線・断熱冷却線,ルイスの関係,湿度図表とその使用法   12. 湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求めることができる.
3週 エンタルピ-線図とその使用法,増湿方法,減湿方法,断熱増湿装置の設計 13. 調湿装置ならびに冷水塔における物質収支式,熱収支式を用いて基本的な問題を解くことができる.
4週 温水増湿装置の設計 14. 断熱増湿塔の塔高,補給水量,予熱温度と予熱に必要な熱量を求めることができる.
5週 冷水塔の設計   15. 温水増湿塔・冷水塔の塔高を求めることができる.
6週 間接冷却法ならびに直接冷却法による減湿装置の設計 16. 減湿操作に関する問題の計算ができる.
7週 演習 これまで学習した知識をベースに調湿操作に関する演習問題が解ける。
8週 中間試験 これまでに学習した内容について説明できる.
4thQ
9週 材料の含水率,乾燥機構および乾燥特性曲線   17. 材料の含水率,乾燥特性曲線について説明できる.湿り材料の質量の時間変化から乾燥速度曲線を求めることができる.
10週 恒率乾燥期間における乾燥速度と乾燥所要時間の算出法 18. 一定の乾燥条件における恒率期の乾燥速度ならびに乾燥時間と減率期の乾燥速度曲線が直線で表される場合の減率期の乾燥時間が計算できる.
11週 減率乾燥速度曲線の形状,減率乾燥期間における乾燥所要時間 19. 減率期の乾燥速度曲線の形状について説明できる.
12週 プロセスの成り立ちと設計 20. 蒸留塔の熱収支およびエネルギー消費量を推算し,経済性計算ができる.
13週 物質収支,熱収支,経済性計算 21. プロセス安全工学でTMR(Time to Maximum Rate), TNR(Temperature of No Return,熱暴走温度)の推算ができる.
14週 プロセス安全工学 上記 20,21
15週 総まとめ これまで学習した知識をベースにプロセス設計に関する演習問題が解ける。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験学習到達度確認課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合75250000100
配点75250000100