生物化学工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物化学工学
科目番号 0116 科目区分 専門 / コース必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:新生物化学工学 第2版,岸本通雅・堀内淳一・藤原伸介・熊田陽一 共著 (三共出版)参考書:生物化学工学 海野 肇,中西 一弘,丹治保典,今井正直,養王田正文,荻野博康 共著 (講談社)
担当教員 小川 亜希子

到達目標

微生物や細胞を利用した物質生産に関する基礎的事項を理解し,バイオ生産に必要な専門知識,およびスケールアップ,生産物の分離精製プロセス設計に必要な専門知識を身に付け,バイオプロセスの設計に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解し,生体触媒の種類に応じたプロセス設計ができる.生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解できる.生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解していない.
評価項目2スケールアップに必要な項目について計算し,リアクターのスケールアップに応用できる.スケールアップに必要な項目を理解できる.スケールアップに必要な項目を理解していない.
評価項目3生産物の分離精製プロセス設計に必要な項目について理解して計算し,プロセス設計に応用できる.生産物の分離精製プロセス設計に必要な項目を理解している.生産物の分離精製プロセス設計に必要な項目を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
バイオサイエンスの急速な発展にともない細胞工学,遺伝子工学,蛋白質工学などの分野が工業化の中に組み込まれ生物機能を広範に利用する産業が確立されている.これまでにその過程において多くの新しいバイオ関連技術が開発されてきた.その新技術の原理,発想に至った経緯,そして技術として確立されるまでの過程を学習する.さらに,それらの技術が実際の製品開発へどのように応用されているのか,また,どのような工夫をして工業生産,すなわち大量生産に至るのかについても学習する.
授業の進め方・方法:
・前後期共に第1週~第15週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<専門>,JABEE基準1(2)(d)(2)a)に相当する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
 各週の到達目標に関する問題を中間試験(2回),定期試験(2回)および課題で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各到達目標の重みは概ね均等である.評価結果が100点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<備考>
 本教科は後に学習する分子生命科学,生体機能工学,細胞情報科学の基礎となる.数式の背景にある物理的意味をきちんと理解することが重要である.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
 化学工学,微生物学,分子生物学および細胞工学
<自己学習>
 授業で保証する学習時間と,予習・復習(定期試験も含む)および課題提出に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<学業成績の評価方法および評価基準>
 前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回の試験の平均点(80%)と課題点(20%)を学業成績として評価する.なお、いずれの試験においても再試験は実施しない.
<単位修得要件>
学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 バイオプロセスの概要 1.バイオプロセスを構成する各プロセスを理解している.
2週 物質収支と熱収支 2.物質収支や熱収支が計算できる.
3週 物質移動・熱移動 3.物質移動や熱移動が計算できる.
4週 有用物質生産に用いられている生物(1)微生物 4.生体触媒の特性について,概要を簡潔に説明できる.
5週 有用物質生産に用いられている生物(2)動物細胞と植物細胞 4に同じ
6週 殺菌および除菌操作 5.殺菌や除菌の操作や処理方法を理解している.
7週 培地について 6.代表的な培地の特徴について理解し,目的に応じた培地が選定できる.
8週 前期中間試験 第7週までの内容を理解している.
2ndQ
9週 生体反応と代謝 7.生体反応を化学量論式で表し,それらを定量的に取り扱うことができる.
10週 物質生産と収率 8.物質基準の収率が計算できる.
11週 酵素反応速度論 9. Michaelis-Menten式を導出し,そのパラメータが算出できる.
12週 阻害のある酵素反応 10.酵素反応に阻害剤がある場合の Michaelis-Menten式が導出できる.
13週 微生物反応における量論式 11.微生物の組成や呼吸商が計算できる.
14週 複合培地と収率 12.エネルギー基準の収率の定義を理解し,計算できる.
15週 最小培地と収率 13.ATP基準の収率の定義を理解し,計算できる.
16週
後期
3rdQ
1週 微生物の培養操作 14.微生物培養操作法における回分操作,半回分操作,連続操作を簡潔に説明できる.
2週 培養の経時変化と増殖 15.回分操作における微生物の増殖を数式として表現できる.
3週 微生物反応速度論(1)基質消費速度 16. 細胞での反応速度論(基質消費速度,生成物の生成速度)を理解している.
4週 微生物反応速度論(2)生成物の生成速度 16に同じ
5週 微生物培養の準備過程 17.熱死滅曲線,確率論的取り扱いを理解している.
6週 微生物用バイオリアクター 18.代表的なバイオリアクターの種類,用途と特徴について,概要を簡潔に説明できる.
7週 生体触媒の固定化法 19.生体触媒の固定化法の概要(種類,特徴,実用例など)を簡潔に説明できる.
8週 後期中間試験 第7週までの内容を理解している.
4thQ
9週 通気と攪拌 20.酸素移動容量係数が説明できる.
10週 バイオリアクターのスケールアップ(1)嫌気培養 21.バイオリアクターを工業的に使用するための検討すべきスケールアップ条件を理解している.
11週 バイオリアクターのスケールアップ(2)好気培養 21に同じ
12週 分離精製プロセスの概要 22.細胞破砕法の種類とその概要を簡潔に説明できる.
13週 分離精製プロセスの要素技術(1) 23.バイオプロダクトの分離精製の要素技術(遠心分離,ろ過法,膜分離法)を理解している.
14週 分離精製プロセスの要素技術(2) 24.クロマトグラフィーの種類と各分離原理について簡潔に説明できる.
15週 バイオプロセスの実際 25.バイオプロセスの実際の例について問題点を含め簡潔に説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100