分析化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 分析化学
科目番号 0125 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「基礎からわかる分析化学」加藤正直・塚原聡(森北出版株式会社), 配布授業用プリント
担当教員 甲斐 穂高

到達目標

分析化学に関する基本的事項を理解し,酸塩基と中和滴定,沈殿生成と沈殿滴定,錯体生成とキレート滴定,酸化還元と酸化還元滴定に関する分析化学についての基礎的な知識を習得し,実試料を分析する際に活かすことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1酸や塩基の水中での反応式や平衡式が書けて、pHや化学種の濃度を計算するための公式を自ら導出したうえで求めることができる.酸や塩基の水中での反応式や平衡式が書けて,pHや化学種の濃度を計算できる.酸や塩基の水中での反応式や平衡式が書けず,pHや化学種の濃度を計算できない.
評価項目2分別沈殿の可否を説明でき,分別沈殿の範囲を計算で求めることができる.沈殿が発生するときの条件が説明でき,沈殿発生後の金属イオンの濃度を求めることができる.沈殿が発生するときの条件を説明できない.
評価項目3沈殿が錯体として溶解した際の溶液中の化学種の濃度を求めることができる.錯体生成時の平衡反応を説明でき,遊離金属イオンの濃度を求めることができる.錯体生成時の平衡反応を説明できず,遊離金属イオンの濃度を求めることができない.
評価項目4酸化還元平衡反応と酸化還元平衡定数から,溶液中の化学種の濃度を求めることができる.電池をモデルにした酸化還元反応が説明でき,ネルンストの式を用いて起電力を計算できる.電池をモデルにした酸化還元反応が説明できない.
評価項目5それぞれの滴定の原理を説明でき,滴定による未知試料の濃度を計算できる.滴定による未知試料の濃度を計算できる.滴定による未知試料の濃度を計算できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
分析化学とは,元素や化合物の化学的,物理的な性質を利用して,目的とする物質を測定する方法であり,ここで学習する基礎的な「分析化学」と,分析機器を使用した「機器分析化学」に大別される.「分析化学」では,化学における分析化学の位置づけを明らかにするとともに,酸と塩基,錯体生成,酸化還元,沈殿生成を利用した分析方法についての修得をめざす.
授業の進め方・方法:
学習内容は,すべて学習・教育到達目標(B)<基礎>に対応する.
授業は講義とグループ学習を併用した形式で行う.講義は集中して聴講し,グループ学習では与えられた課題を積極的に取り組むこと.
「授業計画」における各週の「到達目標」は,この授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
この授業で習得する「知識・能力」において示されている『24』の到達目標について,理論的な考え方,及びそれを利用した計算問題ができるようになること.これらについて定期試験で確認を行う.各到達目標に関する重みづけは同じである.
<学業成績の評価方法および評価基準>
1.学業成績は,前期中間・前期末・後期中間・学年末試験の得点の平均値の6割に,課題点(4割)を加えた点数を学業成績評価点とし、学業成績評価点が60点以上であれば単位認定とする.
2.再試験は実施しない.定期試験を無断欠席した場合(試験開始時までに担任等への欠席の連絡がない場合)も同様である.
<単位修得要件>
学業成績評価点が60点以上であること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
1年生時に学んだ化学の内容
<レポート等>
レポートは課さない.授業の状況に応じて補習(参加は任意)を実施する場合がある.
<備考>
授業では関数電卓を忘れないこと.本科目,3年生以降で履修する無機化学,物理化学,機器分析化学,環境分析化学,生物応用化学実験の基礎知識や技術を学ぶものである.あらかじめ配布されるプリント類で予習を行ってから授業に臨むこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の進め方
分析化学とは?
科学者になるために!
分析化学で学ぶ内容と授業の進め方を理解する.
2週 酸と塩基(1) 1.アレニウスの定義, ブレンステッドの定義,平衡反応,
酸解離定数, 電荷均衡,質量均衡が説明できる.
3週 酸と塩基(2) 2.弱酸と弱塩基のpHを求めることができる.
4週 酸と塩基(3) 3.弱酸塩と弱塩基塩のpHを求めることができる.
5週 酸と塩基(4) 4.緩衝液のpHを求めることができる.
6週 酸と塩基(5) 5.多塩基弱酸のpHを求めることができる.
7週 酸と塩基(6) 6.水溶液中の化学種と均衡式を書くことができる.
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容をもとに,酸や塩基の水溶液の性質等を説明できる.
2ndQ
9週 前期中間試験を振り返って これまでに学習した内容をもとに,酸や塩基の水溶液の性質等を説明できる.
10週 酸と塩基(7) 7.多塩基弱酸塩のpHを求めることができる.
11週 酸と塩基(8) 8.多塩基弱酸塩の緩衝液のpHを求めることができる.
12週 酸と塩基(9) 9.中和滴定によって未知試料の濃度を求めることができる.
13週 沈殿平衡と分別沈殿(1) 10.沈殿発生の条件を説明することができる.
14週 沈殿平衡と分別沈殿(2) 11.完全に沈殿する条件を説明することができる.
15週 沈殿平衡と分別沈殿(3) 12.分別沈殿の条件や範囲を説明することができる.
16週
後期
3rdQ
1週 前期末試験の解答と解説
前期末試験を振り返って
これまでに学習した内容をもとに、酸や塩基の水溶液の性質,沈殿の発生条件を説明できる.
2週 沈殿平衡と分別沈殿(4) 13.硫化物や水酸化物の分別沈殿の条件や範囲を説明することができる.
3週 沈殿平衡と分別沈殿(5) 14.1属の定性分析を説明することができる.
4週 錯生成平衡(1) 15.錯体(錯イオン)の定義や錯生成平衡が説明できる.
5週 錯生成平衡(2) 16.錯体の逐次反応,逐次生成定数,全生成定数を説明できる.
6週 錯生成平衡(3) 17.錯体を形成しない遊離金属イオンの濃度を計算できる.
7週 錯生成平衡(4) 18.沈殿が錯体(錯イオン)として溶解する条件を説明できる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容をもとに,沈殿の発生条件や錯体の生成条件を説明できる.
4thQ
9週 中間試験の解答と解説
後期中間試験を振り返って
これまでに学習した内容をもとに,沈殿の発生条件や錯体の生成条件を説明できる.
10週 酸化還元平衡(1) 19.酸化,還元,半反応,電位,電位差,標準水素電極の説明ができる.
11週 酸化還元平衡(2) 20.ネルンストの式を用いて電池の起電力を求めることができる.
12週 酸化還元平衡(3) 21.酸化還元平衡定数を用いて電池の金属イオン濃度を求めることができる.
13週 酸化還元平衡(4) 22.電子を伴う様々な酸化還元反応の電位を求めることができる.
14週 酸化還元平衡(5) 23.酸化還元滴定の原理に基づいてた未知試料の定量が計算でできる.
15週 滴定 24.中和滴定,沈殿滴定,錯滴定の原理に基づいてた未知試料の定量が計算でできる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学英語英語運用能力向上のための学習英文資料を、自分の専門分野に関する論文の英文アブストラクトや口頭発表用の資料等の作成にもつながるよう、英文テクニカルライティングにおける基礎的な語彙や表現を使って書くことができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合60400000100
配点60400000100