生物化学工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 生物化学工学
科目番号 0130 科目区分 専門 / (生)コース必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「改訂新版 化学工学通論Ⅰ」 疋田晴夫著(朝倉書店),「化学工学演習 第2版」 藤田重文編(東京化学同人)
担当教員 船越 邦夫,岩田 政司

到達目標

吸収,抽出,膜分離,蒸発, 調湿,乾燥に関する基礎理論を理解し,吸収速度や塔高の計算に必要な専門知識,液液並流多段抽出・液液向流多段抽出・固液抽出の計算に必要な専門知識,濾過膜に関する専門知識,蒸発能力の計算に必要な専門知識,増湿塔の塔高の見積もりに必要な専門知識,および乾燥プロセスの計算に必要な専門知識を習得し,吸収装置,抽出装置,膜分離装置,蒸発装置,調湿装置,乾燥装置の設計に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収塔の設計に応用できる.二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収等の計算ができる.二重境膜説,操作線,タイライン等から吸収塔の計算方法を理解していない.
評価項目23成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の設計に応用できる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の計算ができる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図,抽出装置の計算方法を理解していない.
評価項目3蒸発装置における物質収支・熱収支を理解しており,装置の設計に応用できる.蒸発装置における物質収支・熱収支に関する基礎的な計算ができる.蒸発装置における物質収支・熱収支を理解していない.
評価項目4湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求め空気調湿の設計に応用できる.湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求めることができる.湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求める方法を理解していない.
評価項目5恒率乾燥速度および減率乾燥速度を理解しており,乾燥装置の設計に応用できる.恒率乾燥速度および減率乾燥速度の計算ができる.恒率乾燥速度および減率乾燥速度の計算方法を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学工学は,化学製品等を安全にかつ経済的に生産するために,化学プロセスを設定し原料から製品に至る物質およびエネルギーの流れの収支関係を明らかにし,各種装置の設計を行うための学問である.本科目では,「吸収」,「抽出」,「膜分離」,「蒸発」,「空気調湿」,「冷水操作」,「乾燥操作」に関する基礎的な知識の習得と,装置設計に必要な基本的な考え方を学習する.この科目は研究所で分離工学に関する研究を担当していた教員が,その経験を活かし,ガス吸収や抽出,膜分離等について授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
・以下の内容は,すべて,学習・教育到達目標(B)<専門>に相当する。
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
ガス吸収・抽出・膜分離・蒸発・調湿・乾燥に関する「知識・能力」1~20の確認を演習および小テスト,後期中間試験,前・後期末試験で行う.1~20に関する重みは概ね同じである.合計点の60%の得点で目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期末・後期中間・後期末試験の試験結果および課題レポート等の結果で評価する.学業成績は,前期末・後期中間・後期末試験65%と課題レポート等35%で評価する.後期中間試験に関しては,評価で60点に達していない学生については再試験を行い,再試験の結果のみで評価する.再試験の成績が該当する期間の評価を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換える.前期末および後期末試験においては再試験を行わない.
<単位修得要件> 演習課題を全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学(微分・積分学の基礎)や物理(力学),化学(物質の状態),物理化学Ⅰ(相平衡,熱力学)および化学工学Ⅰ(3, 4年)の学習が基礎となる教科である.数学,物理化学Ⅰ,化学工学の基礎は充分に理解しているものとして講義を進める.
<レポート等>理解を深めるため,課題レポートを適宜与える.
<注意事項> 数式の背景にある物理的意味をきちんと理解することが重要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (ガス吸収)気液平衡関係,Fickの法則 1. Fickの法則,物質移動現象について説明できる.
2週 拡散流束,運動量・熱・物質移動の類似性 上記1
3週 二重境膜説,吸収速度 2. 二重境膜説や操作線,タイラインについて説明できる.
4週 吸収装置の種類,フラッディング・ロ-ディング速度 3. フラッディング速度やロ-ディング速度が計算できる.
5週 吸収塔の物質収支,操作線,最小液流量 4. 吸収塔内の物質収支が取れ,操作線を描くことができる.
6週 容量係数,移動単位数,H.T.U. 5. H.T.U.よりタイラインを描き,吸収塔の高さが計算できる.
7週 吸収塔の高さの算出,タイライン法による界面組成決定 上記 5
8週 課題レポート作成 これまでに学習した内容を説明することができる.
2ndQ
9週 (抽出)三角座標,3成分系の溶解度曲線,タイライン 6. 3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができる
10週 分配曲線,液液抽出装置 上記 6
11週 液液並流多段抽出の理論段数,抽出率 7. 液液並流多段抽出の理論段数や抽出率が計算できる.
12週 液液向流多段抽出の理論段数 8. 液液向流多段抽出の理論段数が計算できる.
13週 固液抽出装置,多回抽出操作の段数の算出法 9. 固液多段抽出の理論段数が計算できる.
14週 (膜分離)濾過膜の分類:精密濾過膜,限外濾過膜,ナノ濾過膜,逆浸透膜 10. 各種濾過膜について説明できる.
15週 ガス分離膜,透過流束 上記10
16週
後期
3rdQ
1週 (伝熱の基礎知識の復習)
伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱
11. 伝熱の機構について説明できる.
2週 (蒸発)
蒸発装置,溶液の沸点上昇,蒸発缶の蒸発能力
12. 蒸発装置の概略を理解し,蒸発能力の計算ができる.
3週 (蒸発)
多重効用蒸発,蒸気圧縮蒸発
13. 多重効用蒸発,蒸気圧縮蒸発の原理を理解している.
4週 演習 上記11,12,13
5週 (空気調湿および冷水操作)
湿度と湿り空気の諸性質,露点・湿球温度・断熱飽和温度
14. 湿度,湿り空気の諸性質について説明できる.
6週 (空気調湿および冷水操作)
顕熱ならびに水の移動速度,等湿球温度線・断熱冷却線,ルイスの関係,湿度図表とその使用法  
15. 湿度図表を使って露点,湿球温度,絶対湿度,比較湿度,湿り比容,湿り比熱容量を求めることができる.
7週 演習 上記14,15
8週 中間試験
4thQ
9週 (空気調湿と冷水操作)
増湿操作と装置,断熱増湿装置の設計
16. 断熱増湿装置における物質収支式,熱収支式を用いて基本的な問題を解くことができる.
10週 (空気調湿と冷水操作)
減湿操作と装置,冷水操作と装置
17. 減湿操作,冷水操作の原理について説明できる.
11週 (空気調湿と冷水操作)
演習  
上記16,17
12週 (乾燥)
材料の含水率,乾燥機構および乾燥特性曲線  
18. 材料の含水率,乾燥特性曲線について説明できる.湿り材料の質量の時間変化から乾燥速度曲線を求めることができる.
13週 (乾燥)
恒率乾燥期間における乾燥速度と乾燥所要時間の算出法
19. 一定の乾燥条件における恒率期の乾燥速度ならびに乾燥時間と減率期の乾燥速度曲線が直線で表される場合の減率期の乾燥時間が計算できる.
14週 (乾燥)
減率乾燥速度曲線の形状,減率乾燥期間における乾燥所要時間
20. 減率期の乾燥速度曲線の形状について説明できる.
15週 総まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4

評価割合

試験学習到達度確認課題前期中間課題態度発表その他合計
総合評価割合651025000100
配点651025000100